黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、雑誌『ハルメク』編集長・山岡朝子が出演。『ハルメク』と読者の特別な関係について語った。
黒木)今週のゲストは50代からの女性を対象とした女性誌『ハルメク』の編集長、山岡朝子さんです。『ハルメク』の前身は『いきいき』という雑誌でしたが、なぜ50歳以上の女性なのでしょうか?
山岡)20数年前には、そういう世代向けの雑誌があまりなかったのだと思います。雑誌は若い人が読むというイメージで、自分たちが知りたいことや悩みに答えてくれる媒体がなかったので、当時は社会現象になるくらい人気があったと聞いています。時代に求められて生まれた雑誌だったのだと思います。
黒木)2000人以上のモニター会員「ハルトモ」は、定期的に座談会を開いているということですが、どういう座談会なのですか?
山岡)全部合わせると、週に1回くらいやっているのではないかと思うのですが、いろいろなタイプの座談会があります。私の出席するものだと、2月号は年金の特集です。例えば年金について何を悩んでいるとか、どういうことを知りたいかなどをお聞きします。『ハルメク』には強い武器がありまして、社内にシニアの生活や悩みについて毎日研究する、「生きかた上手研究所」という部署が編集部とは別にあります。その研究所の人たちと読者の人たちに集まっていただいて、インタビューをして、その人が何に悩んでいるのかを聞き出す作業をします。
黒木)そして、研究する。
山岡)そうです。統計や分析のプロ、調査のプロなので、雑誌の編集はまったくやりません。でも、読者の方と集まって座談会をするときは、編集部でやると、知らず知らずのうちに私たちがやろうとしていることに沿った質問をしてしまったり、出て来た意見を誘導してしまったりします。あとは、読者の方のなかにたくさん喋る人がいた場合、みんながそれに引っ張られてしまいますよね。そういうものを調査のプロの方がコントロールして、上手にやってくれます。
黒木)この座談会に参加するには、「ハルトモ」にならないといけないのですよね。入ると、開催のお知らせが来る。これは東京のみですか?
山岡)2600人いて、全国でやります。遠隔地の方であれば紙ベースのアンケートをお願いしたり、首都圏の方には来ていただきます。
黒木)たくさんの方が登場されていますが、みなさんはどんな反応ですか?
山岡)「是非出たい」という感じです。10人に出ていただきたいと思って、リストの順番に電話をすると、10人に電話したところで埋まるくらいです。「『ハルメク』大好き」という感じで、ありがたいです。
黒木)50歳以上の女性たちのエネルギーを感じますね。
山岡)こちらが元気をもらいます。
黒木)出版社と読者のコミュニティを大事にしていらっしゃるところが、ファンの多い理由なのでしょうか?
山岡)そう思います。書店で売っている一般的な雑誌は、通りかかってその特集に興味があれば買うけれど、その特集に興味がなければ別の雑誌でもいいという場合が多いと思います。『ハルメク』は年間定期購読誌なので、毎月必ず届きます。ご本人たちも「私は『ハルメク』を定期購読している」という意識が高く、『ハルメク』と年間を通して付き合っているという思いがあるので、読者の方もお互いにこれをよりよいものにしようという参加意識を持ってくださっています。いつもお届けするときに、「編集長からの手紙」というものが雑誌に同封されているのですが、それに対するお返事がたくさん送られて来たりして、とても近い友達のような感じがあります。
黒木)この時代に、ある意味でアナログな交流ができているというのは、心温まるお話ですね。
山岡朝子(やまおか・あさこ)/雑誌「ハルメク」編集長
■1997年、主婦と生活社に入社。雑誌『すてきな奥さん』『CHANTO』などライフスタイル系の雑誌の編集長を歴任。
■2017年に「ハルメク」に入社。50代からの女性を対象とし、健康、料理、旅、ファッション、美容など、さまざまなテーマを取りあげている月刊誌『ハルメク』の編集長に就任。就任後2年で実売部数を2倍に引き上げた。
【ハルメクとは…】
■自宅直送の有料定期購読誌。書店には流通していない。
■主に50代からの女性に向けて、生き方や暮らし方を提案する雑誌構成。
■出版不況が叫ばれるなか、月間31万部を発行。
■徹底したリサーチや読者からのはがき、モニター会員との座談会など、読者とのコミュニティを活かした雑誌づくりが行われている。
■通販やイベント、リアル店舗など、雑誌との連動するコンテンツが人気。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳