株式会社 幻冬舎 社長・見城徹「それでも文学がなくなることはない」

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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、株式会社 幻冬舎 社長の見城徹が出演。出版業界の現状と幻冬舎の今後について語った。


黒木)今週のゲストは株式会社 幻冬舎 代表取締役社長の見城徹さんです。
世間では出版業界は不況だと言われて久しいのですが、見城さん自身はどのように捉えていらっしゃるのですか?

見城)25年前に幻冬舎ができて、僕が作ったのですけれど、そのときからずっとシュリンクしている業界なのです。25年間、前年割れ、前年割れ、前年割れなのですよ、業界が。25年前から書店も半分に減っているし、トーハンや日版などの取次という流通の会社も、売上高が半分に減っています。そして出版社だけは数が減っていないのですよ。ということは、読者は減っているのに作り出す出版社は減っていないというなかで、本が売れないのは当然なのです。そのなかで大きな売り上げを出して行くのは大変です。けれども、何かのせいにしても仕方ないと思うのです。やはり圧倒的なコンテンツ、「この本を読むことが自分にとっていちばんの快楽なのだ、いちばん楽しいのだ」というコンテンツを作るしかないのですよ。それをやり続けて来たという気持ちはあります。でも、やはり出版は完全な斜陽産業なのです。僕は、幻冬舎という出版社はコアな事業としてやり続ける、利益が0になってもやり続けようと思っています。その為に子会社をいくつも作って、ハワイのデベロッパーをやったり、野菜ジュースの会社をやったりいろいろなことをやっているのですよ。でもそれは利益を確保して、いつでも出版業を続けられるという体制を作りたいのです。活字が本という紙に印刷された形で、出版業がこれから伸びて行くことは無いと思うのですよ。電子書籍で読む人も増えて来るし、ゲームやSNSに時間は奪われるし。昔は人生に悩んだり失恋したら本を読んだのです。いまはそんな人はいないですよ。電車に乗ったって皆スマホをやっていて、本を読んでいる人なんていないもの。雑誌は基本的に情報ではないですか。それはもう完全にインターネットに取ってかわられると思うのです。だから、新聞の情報も、いまはポンと押せば情報が出て来るわけです。しかし新聞で本当に大事なのは、昨日はどういうことが起こったのか、社会ではどういうことが起こり、誰が亡くなり、どんな出版の広告が出ていて、政治はどうで、経済はどうで、どんな事件が起きているかということが、新聞では全部俯瞰で見られるということです。インターネットで情報を拾うとその断片だけですよね。それは全体を俯瞰して自分の考えを深めるということにはならないと思うけれども、それも時代の流れで仕方ないですよ。僕はあるテレビ局の番組審議委員長をやっているのですけれど、必ず新入社員が来ると、きょう新聞を読んで来た人、と聞くのですね。40人位いて、1人もいないですよ。そういう時代なのです。それから新聞を取っている人、と言っても1人も手が上がらないです。ニュースをテレビで知った人と聞くと、ぱらぱらと2人か3人です。何で見ているのかと言うと、結局インターネットなのですよ。
文学は残りますよ。詩でもエッセイでも小説でも。絵や音楽や、そういう表現、文字で書いた表現は残って行くだろうから、そこできちんとしたものをやって行くという考え方にシフトしない限り、情報系のものは変わっていきます。

黒木)どんどんインターネットのものになって行きますよね。

見城)それは仕方ないですよ。

黒木)寿命という余命を生きているという。

見城)そうです。良い言葉ですね。そういうことですよ。


見城徹/株式会社幻冬舎・代表取締役社長

■慶應義塾大学法学部卒業後、廣済堂出版に入社。編集者としてのキャリアがスタート。
■1975年、角川書店に入社。『野性時代』副編集長を経て、『月刊カドカワ』編集長に。部数を30倍に伸ばし、雑誌界の伝説となる。
■その後、直木賞作品を数多く手掛けるなど、ベストセラー作品を次々と送り出す。41歳のときには取締役編集部長に昇進。凄腕の編集者として知られるようになる。
■1993年、独立して株式会社「幻冬舎」を設立。斬新なアイデアでベストセラーを生み出し続けている。
■最近は『絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ(藤田晋氏共著)』、『たった一人の熱狂』、『読書という荒野』など、自身の著書が話題を集めている。

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