家族を大切にすることが講談につながる
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、講談師の神田松之丞が出演。家族と仕事(講談)について語った。
黒木)今週のゲストは講談師の神田松之丞さんです。
松之丞さんは独身でいらっしゃるのですか?
神田)妻と子供がおります。もう僕は本当にカミさんがいないと生きていけないです。
黒木)良いですね。何でもやってもらえるのですか?
神田)というか、仕事の上でもパートナーのような存在です。精神的に支えられていますね。
黒木)前座時代があって、師匠への気配りをして来たので松之丞さんは気が利くでしょう? だから、女性に「こういうときはこうすればいいのに」と思うことはないのですか?
神田)僕の良いところは、気が利かない前座だったということです。気が利かないのが功を奏して相手にも何も求めないという。でもカミさんは僕以上にチャキチャキやってくれますから、楽ですね。
黒木)何がビビッと来たのですか?
神田)何でしょうかね、相性が良くって。僕は女性にフラれてばかりいました。
黒木)そうだったのですか。
神田)僕も仕事でバタバタしていて、去年まで365日のうち360日働いていました。去年それをやってみて思ったのは、「そんなに働くものではない」ということです。クオリティが落ちてしまいますからね。僕はそんなに疲れてはいけないタイプだなと思って、週に1回は無理やり休むようにしています。それが仕事の質を向上させるなと思いました。そんな当たり前のことでも、フリーランスだとついつい仕事を取ってしまう。体とか家族への気遣いは、休みが1個あるだけで全然違うのだな、と思いました。
黒木)長く続けていただきたい日本の伝統なわけです。それを長く行うためには、そういうことを決めてなさった方が良いですよね。いまそれに気づけて良かったですね。お休みの1日は何をしているのですか?
神田)スパに行って体を休めたりしています。ラクーアという温泉施設があるのですが、温泉に浸かってマッサージしてもらいます。カミさんと一緒に。
黒木)そのとき、頭のなかはからっぽでした?
神田)無理やり空っぽにしていました。子供も預けるところがあるので、数時間預けて、カミさんもずっと子供といるので彼女にも癒しが必要ですしね。
黒木)優しいですね。
神田)講釈師としての人生もありますが、家族の時間も大事にしないと、長い人生なのでお互いもたないなということにようやく気付きました。
黒木)でもそういうところから情が生まれたり、いままで経験したこともない感情が生まれて、講談師として更に飛躍なさるということではないでしょうか。
神田)おっしゃるように、話に活きてくると思います。子供が出て来る話とか。お子さんがいなくてもそういう気持ちを表現できる人はたくさんいると思いますが、僕みたいな不器用な人間は自分の人生に照らし合わせないと、なかなか感情を出すことは難しいと思います。
神田松之丞(かんだ・まつのじょう)/ 講談師■1983年・東京都豊島区出身。35歳。
■日本講談協会、落語芸術協会に所属。
■2007年、3代目神田松鯉(かんだ・しょうり)に入門。
■2012年、二ツ目昇進。
■2015年、「読売杯争奪 激突!二ツ目バトル」で優勝。
■2016年、「今夜も落語漬け」3分漫談、「真冬の話術」で優勝。
■2017年、「平成28年度花形演芸大賞」銀賞受賞。
■2020年2月に真打ちへ昇進することが決定。
■連続物と言われる「寛永宮本武蔵伝」全17席、「慶安太平記」全19席、「村井長庵」全12席、「天保水滸伝」全7席、「天明白狼伝」全10席、「畦倉重四郎」全19席、また一席物と言われる数々の読み物を異例の早さで継承。
■持ちネタは入門11年で140を超え、独演会のチケットは即日完売。 メディアを席巻し、講談普及の先頭に立つ活躍をしている。
■いまや勢いある高座が世代を超えて圧倒的な支持を受け、「講談界の風雲児」、「チケットのもっとも取れない講談師」とも言われている。
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