これは聴いてみたい「5日間連続の講談」
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、講談師の神田松之丞が出演。5日間連続の講談について語った。
黒木)今週のゲストは講談師の神田松之丞さんです。
140の持ちネタがあるということですが、いま、「これやって」と言ったらできてしまうわけですか?
神田)140のうちの、30くらいはすぐにできます。あとの110は2~3時間台本を見る時間があれば思い出せますね。
この前、歌舞伎役者さんとお話する機会がありましたが、覚え方が違うみたいです。我々は生涯同じネタを再放送して行くような感じですが、黒木さんみたいな女優さんや歌舞伎役者さんは次から次へとあるので、常に脳をいまやっているものへ集中させる。講談の場合は毎日のようにやりますし、何のネタをやるか決まっていないのですよ。この日までにこれということはありません。当日、座布団に座って少し雑談して、きょうは何の話をしようかな、とその場で決めます。
黒木)怖くないですか?
神田)慣れると怖くはないですね。きょうのお客様にぴったりのお話を、頭のなかから引っ張り出して「これにしよう」と決めます。何年もやっていると自然にそれが当たり前になってしまいます。
黒木)「5日間連続の講談」とはどういうものですか?
神田)19席、1話が30分~50分あるものを5日間、「1、2、3、4話で初日」と行って、連続してやる。トータル10時間ぐらいかかったと思います。
黒木)全部聴きたいですよね。
神田)お客さんは300人だったのですが、300人同じお客さんに来てもらいました。平日の夜7時からですよ。
黒木)でも途中で終わられてしまったら、気になって仕方ないですよね。
神田)芝居でも5日間同じお客さんというのは、なかなかないじゃないですか。でも面白いのが、初日と2日目はまだ堅いのですが、3日、4日となると一体感ができて来ます。いつも同じお客さんが仕事帰りに頑張って、同僚とかに嫌な事を言われても早く帰って、そこに座ってくれている。演者とお客さんの呼吸が1日だけでは味わえないようになって行って、最後、主人公が亡くなるところでは、5日かけて通っている自分の苦労もあるからみんなの思いが爆発する。
黒木)素晴らしい千秋楽になるわけですね。
神田)お客さんも演者も頑張ったカタルシスというか、物語も面白かった。
黒木)すごいですね、5日間のチケット分なのですね。
神田)チケットもちゃんと考えられていて、毎回同じ席が好きな人と毎日変えたい人もいるので、チケットの売り方も変えています。横にマナーの悪い人が座っていたら嫌じゃないですか。
教師になったみたいですよ。卒業生を1回世の中に出して、その後に新1年生たちがやって来て、また卒業するという感じです。
神田松之丞(かんだ・まつのじょう)/ 講談師■1983年・東京都豊島区出身。35歳。
■日本講談協会、落語芸術協会に所属。
■2007年、3代目神田松鯉(かんだ・しょうり)に入門。
■2012年、二ツ目昇進。
■2015年、「読売杯争奪 激突!二ツ目バトル」で優勝。
■2016年、「今夜も落語漬け」3分漫談、「真冬の話術」で優勝。
■2017年、「平成28年度花形演芸大賞」銀賞受賞。
■2020年2月に真打ちへ昇進することが決定。
■連続物と言われる「寛永宮本武蔵伝」全17席、「慶安太平記」全19席、「村井長庵」全12席、「天保水滸伝」全7席、「天明白狼伝」全10席、「畦倉重四郎」全19席、また一席物と言われる数々の読み物を異例の早さで継承。
■持ちネタは入門11年で140を超え、独演会のチケットは即日完売。 メディアを席巻し、講談普及の先頭に立つ活躍をしている。
■いまや勢いある高座が世代を超えて圧倒的な支持を受け、「講談界の風雲児」、「チケットのもっとも取れない講談師」とも言われている。
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