黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、株式会社 幻冬舎 社長の見城徹が出演。自らの読書論について語った。
黒木)今週のゲストは株式会社 幻冬舎 代表取締役社長の見城徹さんです。
以前から見城さんの仕事に対する姿勢は「見城語録」と呼ばれていまして、多くの方々に影響を与えていらっしゃいます。去年の6月に販売された『読書という荒野』、『編集者という病い』、『たった一人の熱狂』など、いろいろなミリオンセラー本を出されていらっしゃいます。
見城)藤田晋というサイバーエージェント社長との共著で『憂鬱でなければ、仕事じゃない』という書籍が講談社から出ていますが、これは30万部以上売れてベストセラーになっています。本当に頑張って仕事をして来た人には、心に響くと思います。
黒木)響きます。凄いタイトルですよね。
見城)僕と藤田が会議をしているときに、僕が「藤田、憂鬱でなければ仕事じゃないんだよ」と言ったその一言が藤田の胸に響いて、講談社から2人の共著を出したいと言われたときに「絶対このタイトルにしましょう」と言うので、タイトルにしました。
黒木)結局それも「見城語録」になっているわけですね。
見城)みんなが「無理だ、無謀だ、無茶だ」と言うことをやるしかなくて、そんなことをやれば憂鬱になるに決まっている、憂鬱になるということは「正しい道を行っている」ということです。
黒木)逆にね。その言葉に励まされますね。
見城)だから30万部以上売れたのだと思います。響いたのだと思います、いろいろな人に。
黒木)読書論をお話したいと思うのですが、著書のなかで「読書とは何が書かれてあるのかではなくて、どう感じるのかだ」というものがありました。
見城)読書してそれで満足していたら、読書の意味は無いと思うのですよ。そこで感じたことをどう自分の人生のなかで実行していくか、実践していくかということだと思います。そのことを僕は皆さんに言いたくて『読書という荒野』を書いたのです。僕は小さい頃から孤独な、人と馴染めない、付き合いにくい少年だったのだと思うのです。本を読むときだけが自分の世界でした。想像力を広げてその世界に没頭していればいい。それで本を読むようになって行くわけです。もちろん漫画も含めて全部ですが、そういうなかで他者に対する想像力も磨かれて行ったのだと思います。
本を読むことの根本は、心に食い込んで来たものをどう自分の人生に活かすかだと思うのです。How To的なものではなくて、どう血となり肉となるかということなのです。そのことを僕の体験を踏まえて書いたのが「読書という荒野」です。
黒木)私も読書が大好きなのですが、どういうジャンルであろうと「この人はこういうことを思うんだ」と思えばそれを活かしますし、書きとめますし。
見城)影響されるよね。影響されない読書は読書ではないと思う。僕は昔、夏目漱石の『こころ』を読んだとき、自意識って何かとか自己嫌悪って何だろう、罪の意識って何だろうと初めて思いました。中学のときに読んで、こんなに真剣に生きている人がいるのかとびっくりしましたよ。僕の最初の読書体験が夏目漱石の『こころ』なのですが、それで自分の心に向かい合う、自己検証する習慣がついたのですよね。あれを読まなければ、そういうことはなかったと思います。
黒木)こんな人たちがいるのだ、と。
見城)自分が命を落とすかもしれない、監獄に入れられるかもしれないけれど、それでも自分が正しいと思ったことをやり抜く小説なので。
黒木)やはり小説は読まないといけませんね。
見城)でも本を読んだことによって、この世の中では住みにくい人になってしまうかもしれませんがね。
見城徹/株式会社幻冬舎・代表取締役社長■1950年・静岡県出身。
■慶應義塾大学法学部卒業後、廣済堂出版に入社。編集者としてのキャリアがスタート。
■1975年、角川書店に入社。『野性時代』副編集長を経て、『月刊カドカワ』編集長に。部数を30倍に伸ばし、雑誌界の伝説となる。
■その後、直木賞作品を数多く手掛けるなど、ベストセラー作品を次々と送り出す。41歳のときには取締役編集部長に昇進。凄腕の編集者として知られるようになる。
■1993年、独立して株式会社「幻冬舎」を設立。斬新なアイデアでベストセラーを生み出し続けている。
■最近は『絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ(藤田晋氏共著)』、『たった一人の熱狂』、『読書という荒野』など、自身の著書が話題を集めている。
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