ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月21日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。デジタル・ネットワーク通信事業におけるいまの世界情勢、米中関係と日本の立ち位置を解説した。
TikTokとオラクルの提携 トランプ大統領が承認
アメリカのトランプ大統領は9月19日、中国初の短編動画投稿アプリ「TikTok」のアメリカ事業を巡って、ソフトウェア大手オラクルとの提携案を原則的に承認したと明らかにした。国家安全保障上の懸念に対処できる枠組みだと判断し、TikTokの配信禁止を1週間延期すると発表している。
飯田)アメリカでの事業は新会社に引き継がれるということで、ここにオラクルとウォルマートが出資をすると。ただ、アメリカ資本は2割程だそうです。
須田)少数株主という形を取られるということと、そしてやはりアメリカサイドが関与できるところというのはソフトの部分ではなくて、原則データ管理を含めたハードのところということになるのかなと思います。ただその前段として忘れてはいけないことがあります。なぜか日本のメディアがきちんと報道しないのだけれども、実は8月5日にポンペオ国務長官がこういった問題に関連する重要な方針といいますか、構想プロジェクトを発表したのです。
クリーンネットワークプロジェクトというプロジェクトですが、その中身を見てみると、クリーンなネットワークを推進していこう、その一歩でダーティなものがあるから、それについては排除していきましょうということなのだれども、汚れたものが中国というところをものすごく意識しているのです。そうすると、やはりこういったTikTokのようなアプリであるとか、販売するアプリストア、或いはハードの端末であるとか、海底ケーブルとかクラウドなんかも入ってくるのです。個別の企業というよりも、そういった中国のネットワーク通信事業に関するものについては、一定の基準を満たさなければすべて排除していきますよ、ということになっているのです。
中国のネットワーク通信事業は、基準を満たさなければすべて排除
須田)ですからクラウド事業などを考えてみると、例えばアリババは電子商取引の会社と思われているかもしれませんが、ここ近年クラウド事業の方にシフトしてきているのです。クラウドというのは、相手の企業、取引先が一旦入ってくるとなかなか抜け出ないということで、巨大な装置産業ではあるのだけれども、一定程度のお金が毎月きちんとコンスタントに入ってくるので、おいしいビジネスなのです。例えば日本においてはニトリなんかがアリババのクラウドを使っていて、けっこう西側先進国でも普及している。しかし、そういったものをそこに使っていいのか、という問題提起をアメリカはしている。
それから海底ケーブル。検索していただければ報道ベースでもわかるように、ここ近年米中間で海底ケーブルの争いってものすごく激化しているじゃないですか。それを使うことによって情報漏洩とか起こっていないのですか、という問題意識をアメリカは持っている。ですから包括的な対策を打ち出してきているのです。
飯田)この間、太平洋を渡るケーブル、チリから出るものについて直接中国に行くのでなくニュージーランドなどを経由しながら西側で入れる、みたいな計画が出てきましたよね。
須田)まさにその一環なのです。
飯田)どっちかというのを争っていて、チリはそっちを選んだということになりましたね。
あまりにもガードが甘すぎる日本企業
須田)その背景にもちろんアメリカなどの働きかけ、これは圧力といってもいいのかもしれませんが、そういった動きがあることは間違いない。ですからそういったなかにおいて、日本の企業はあまりそういう認識がないのかなと。いま世界でどういった動きがあって、アメリカがなにをやろうとしているか。あまりにもガードが甘すぎるのです。
要するに、私はここで中国はダーティだとかアメリカがクリーンだとか言うつもりは毛頭ありませんが、いま日本が置かれている立場であるとか、日本が今後どうやって対応していくのかを考えてみると、アメリカ寄りになっていかざるを得ないという状況になっているのではないかと。日本の方もその辺全部含めて考えて国家安全保障局に経済班を設けたり、あるいは今回のデジタル庁構想。これもデジタルの分野のセキュリティ、これにかなり力を入れていますからね。
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