アメリカのトランプ大統領は8月14日、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国企業に対し、この米国事業を90日以内に売却するよう命じた。
こうした状況のなか、10~20代層を中心に深く生活にも溶け込み1千万人のユーザーがいるという日本ではどうなっていくのか。ITジャーナリストの三上洋氏が8月11日のニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」で解説した。
日本の現行法にはサービスを止める制度は無い
辛坊)日本の取るべき態度はなかなか難しいと思うのですが、アメリカは制度的に安全保障上の理由で大統領令を使って、今回TikTokみたいなサービスを差し止めることがアメリカの国内法的にはできる枠組みがあるのですが、日本の場合は私の知っている限りなかなか日本で特定のサービスその他を安全保障上の事由で差し止める制度はないですよね。
三上)ないと思います。特に今回の場合はSNSですので、言論の自由も含めて言うと、どうやってSNSのようなネットサービスを禁止にするのかと。インドの場合は、政府からの命令でアプリを配布しているストアに対してやめなさいという形を取りました。それと同じやり方をとるとしても、さて法律をどうするのかというのは難しい問題で。
辛坊)実際に日本で現行法ないですよね。この間からアメリカでTikTokに対する締め付けが厳しくなってきたという情報を受けて、自治体でTikTokを使っていた団体がすでに自主的にやめるという判断は関西で言うと神戸市や、関東で言うと埼玉県など、ニュースになりましたけれども、それはあくまで自治体が自主的にやめるという話で、国家を揚げて禁止するなんていうことはいまの日本ではできないと思いますが、アメリカとの付き合いということもあって、では日本はどうしたいいのか、日本でTikTokはどうなるのかという。日本でTikTokを使っている私の息子も含めて、みんな思っていると思うのですが、どうなりますか?
三上)日本にも1千万人くらいユーザーがいると言われていて、どうやって止めていいのか分からないという政府側もあると思います。また、もしマイクロソフトやツイッターが買収するとしても、日本が対象に含まれない可能性が高いのですよ。だから、買収した場合、なおさら厄介で、もし買収してしまったらアメリカでは使えるけれど日本ではどうするかという、日本独自の判断になってくるのでそれもまた難しくなってきますね。
辛坊)マイクロソフトなどが買収しようというのは、ByteDance(バイトダンス)という親会社全体を買収するのではなくてアメリカにおける事業のみを買収するとなると、日本での事業は中国のByteDanceという親会社の傘下にそのまま残るということになるわけですね。
三上)そうですね。アメリカとカナダとオーストラリアなど情報共有をしている5ヵ国のサービスを。
辛坊)ファイブ・アイズ(※)ですね。
(※米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド5カ国によるUKUSA協定に基づく機密情報共有の枠組みの呼称)
三上)それです。その5ヵ国のサービスのみを買収するという報道になっています。日本が対象外なのですね。
辛坊)ではその安全保障上の理由でアメリカその他から日本はどうするのかと言われたときに、日本は国内法があるわけではないのでどうしようもない。いまのところはそういう答えしかないですね。
三上)本当にその通りで、どう対応していくのか。しかし、アメリカからどうするのかと言われるのですが、TikTokに触法行為があるわけではないので、すぐに反応ができないところも難しいかじ取りだと思います。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)