7月17日、東京都内で新たに293人が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、小池都知事は「若い人が中心。7割以上」などと話した。
そうしたなか、日本感染症学会の専門医で東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科の寺嶋毅教授は13日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、新型コロナウイルス感染症の現状と今後の見通しについて解説した。
若い人であっても1週間~10日目くらいに重症化する場合も
辛坊)東京都で、連日200人超の感染者が出ていますよね。ここで、重症者や死者数が急激に出ていないのはどういうことなのでしょうね。
寺嶋)おそらく、大部分は若い人であって、症状がないか軽症の人という段階ですから、重症者が少ないということなのでしょうけれども、ここに来て、連鎖の末、高齢者の施設であるとか、あるいは医療機関のクラスターというのも出てきています。ですから、そういう方が、今後重症度がどのようになっていくかということと、若い人であっても入院した時はあまり重くなくても、1週間、10日目くらいに重症化する人もいますから。どちらかというと、感染者のピークよりも、重症者のピークの方が遅れてきます。
辛坊)それはそうですね。今後、1週間・2週間経って、重症者や死者が増えてくると、本格的な流行期に突入していってやばいぞということになるのですよね。
寺嶋)そういう感じです。
辛坊)この病気をどういう風に判断すべきかということで、私もこの半年くらい、いろいろなデータを見ながら考えているのですが、いままでの世界における死者の推移とか感染の広がり方を見ていると、1950年代のアジア風という新型インフルエンザの時や、1960年代の香港風という新型インフルエンザで、数百万人のオーダーで人が死んでいるのですが、それにかなり近い感じかなと思うのですが。今回の新型コロナという病気を我々はどう捉えたらいいのですかね。
寺嶋)やはり世界全体でいうと、感染者数や死亡率などもそれに匹敵するようになってきているのではないかと思います。
辛坊)今後、どうなるのですか。
寺嶋)やはり長い戦いになってくると。抗体がどれくらい保つのかとか、1回かかって来シーズンはどうなるのかという問題もありますが。いままでのインフルエンザがそうであったように、新しいものが出て段々とそれが季節性になっていく。それまでの間にワクチンができるか、徐々にかかっていって集団免疫という、そういったことにしばらくはなると思います。
辛坊)劇的に効くワクチンが出てくればいいですが、そうならなければ、長い時間をかけて毎年一定数が亡くなるようなインフルエンザ的な病気に収束していくということなのでしょうか。
寺嶋)そうですね、いまのところはそういう風に思っています。
ウイルスが変異してもワクチンは決して無駄ではない
辛坊)ワクチンでいうと、RNAウイルスがよく変異するという話を聞きますが、例えば天然痘のワクチンなんかは1回打てば絶対にかからないですよね。だけど、インフルエンザのワクチンは、打ったからといってかからないかどうかはわからない、そこから先は運次第……のようなところがあるじゃないですか。新型コロナウイルスのワクチンが開発に成功したとしても、天然痘のようにビチっと効くワクチンにはどうもならないのではないかと思うのですが。
寺嶋)確かに、1回打てばもう大丈夫、かからないというのは難しいかもしれませんが、インフルエンザも若干形を変えると次のシーズンもかかることもありますし。ワクチンは、うまく当たることも当たらないこともありますが、1回かかっているか、あるいはワクチンを毎年打っていると、すごい重症化がしにくいということもあります。
辛坊)なるほど、そういう意味では決して無駄ではないということになりますね。
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[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)