7月9日、辛坊治郎が、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に生出演。新型コロナウィルスの東京都の感染者数について、翌日7月10日の数値を“予言”するとともに、この日々の感染者数の発表の仕方について苦言を呈した。
感染者数「速報」は単に不安を煽るだけでなんの役にも立たない
東京都で9日、新型コロナウイルス感染者が新たに224人報告された。
辛坊)この番組の本番直前に東京都の感染者数の新しい数字が飛び込んでくるじゃないですか。「速報 計〇〇」みたいなもので。こういうのが本当にだめだと思う。つまり「何人感染しました、年齢層は何歳と何歳です、重症者は何人です、何区が中心です」……そういう基本的な情報をパッケージにして感染者数が伝わらないといけないのに、「第一報」「速報」みたいなかたちは、単に不安を煽るだけでなんの役にも立たない。なにのためにこんなことをしているんだ。誰がこんなことこんなことを始めたんだ。ちゃんと詳しいデータを発表してほしいです。
飯田浩司アナウンサー)おっしゃる通りなんです。詳しいデータはあとからやってくるんですけど。
辛坊)最初の何人というだけのインパクト。
「10日も100人台には確実にのります」
辛坊)10日の発表数を予言しておきます。10日も100人台には確実にのります。多ければ200人台に乗るか乗らないかくらいですね、100人台の後半くらいかもしれません。
なぜそんな予言ができるかと言いますと、ネタがありまして、10日発表される母数になるところの「検査者数」がすでに出ておりまして、これが2,700人です。9日は3,200人が検査して、224人。8日は500人が検査して75人。10日発表のものは2,700人分の検査結果ですから、これも常識的に言うと、100人から200人のあいだくらいだろうという想像がつきます。それって意味があるのか、という話ですよね。
だから、何回も申し上げているように、無駄なPCR検査は不安を招くだけでなにの役にも立たない。今回のように、20代、30代で新宿夜の街感染が広がっていますと言われているのだけれども、そうじゃなくて、そこしか調べていないからそこの数字しか出ていないだけで、ほかを調べたらもっと出てくる可能性はあるだろうと思います。
感染者数はPCR検査の数に連動するため、感染の「広がり」はわからない
辛坊)「感染抑止のために、PCR検査が大切です」ということを言う人がいるのだけれども、全数を検査すれば、現在の陽性者を炙り出して、その人たちを隔離するなどして感染を止めると言うことはできますけれども、いまみたいに「夜の街だ」ということでホストクラブ中心に調べて、それ以外の感染者をまったく洗い出せていないなかで、何の感染抑止に役に立つんだよ、と思います。なんでこんなに当たり前のことがわからないんだ。謎だよ、この国でやられていることって。すごくそう思う。
飯田)これも毎日昼頃にちょろちょろっと(出てくる)。「200人ちょっと超える」みたいな話も、だいたい「関係者によると」というあやふやなソースなんですよ。
辛坊)つまり、「何人出ました。母数の検査数は何人です。そのうちの重症者が何人、軽症者が何人、無症状が何人で、何歳くらいの人で、どのようなプロファイル、例えばホストクラブの人なのかどうなのか」ということも含めて、あわせて全部のデータを同時に発表しないと、感染者数だけ先にリークするかたちで、先行して発表して、そこの数だけ報道するという、構図自体がおかしいよ。
飯田)東京都は新型コロナウイルス感染症の対策サイトというのはそこそこわかりやすいものを出していて、8日の時点なのですが、重症者と入院者数が444人なのですが、重症者が6人。
辛坊)激減していますね。
飯田)そうなんです。そういう意味では、感染者は増えているように見えますけれども、医療崩壊とかなんとかということではなさそうです。
辛坊)それがまさに本質で、今週ずっと1週間かけてお伝えしていますけれども、結局のところ、陽性者数というのは、たしかにいま、夜の街関連の人たちで調べてほしいというホストを集団で調べていますから、そこで多数の感染者が出ている。だけど、ほか調べていないところで感染者がいるかいないかは、わからないわけです。感染者数というのは、PCR検査の数に連動しますから、結局のところ、市中感染がどのくらい広がっているかということを調べるためのデータには全然ならない。使い物にならないデータなんです。
感染の「広がり」を類推できるのは重症化率と死者数
辛坊)唯一、現状の感染がどのくらい広がっているかというのを類推させるのは、重症化率と死者数です。一部では、「20代・30代でしか広がっていないから、高齢者は死んでいない」と言う人がいますけれども、たまたま調べているところがそういう層なだけで、世の中で実際に感染が広がり出したら、同じようなバランスで広がっていきますから、若い人たちだけに集中的に広がっていくということはあり得ないので、感染が広がっていく拡大局面においては、高齢者も一定数かかってきます。高齢者が一定数かかったら、高齢者の一定数は重症化します。その一定数は亡くなります。これはもう、残念ながら新型コロナウイルスに関しては、決して否定できない事実です。おそらく、WHO(世界保健機関)が当初発表した数字に比べると、圧倒的に低い数字ではあるだろうと言うことは、いろいろなんデータから想像ができてきまして、重症化率も相当低いし、致死率も相当低いのだけれども、ご高齢の方や基礎疾患のある方に関して言うと、ごく少ない、おそらく1%以下だと思いますけれども、重症化して亡くなるのは厳然たる事実です。
そうなると、社会一般に感染が広がり始めたときに、この感染者数というデータはなにの参考にもならないけれど、重症者の数と死者数と言うのは、相当信頼できる。むしろ、それしか信用できるものがないわけです。この重症者、死亡者と言うのが見事に減り続けている。いまは東京都だけで6人。
飯田)8日の段階で6人です。
感染者数に驚くべきではない
辛坊)今後、PCR検査で大量の感染者を炙り出した時に、いまは夜の街だけ集中的に調べているから、このくらいの数字で済むかもしれないけれども、夏場だとは言いながらもシンガポールで4万人以上の感染者は出ています。ただ、45,000人くらいで、人口のほぼ10,000人に1人くらいが感染しているのだけれども、亡くなっている方は26人くらいです。死亡率は0.01%以下です。だから、調べれば(日本でも)ものすごい数が出てくると思います。全員隔離しないといけないのか、という話になったときに、もうちょっとこの病気を客観的に誰かが評価しなければいけないのだけれども、結局、誰も評価しないままここまできてしまった。
飯田)新たな法整備をしなければならないという声が一部上がってはきていますが、まだ具体的なことはなにも決まっていません。
辛坊)誰もそんなこと言っても得しませんからね。圧倒的多数のご高齢の方は「俺にうつすな」とみんな思っているわけだから、その人たちに配慮しないと政治としては機能しないというところがあって、なかなか話は進んでいかないのだけれども、現状において、客観的に感染の広がり方を示しているのは、重症者の数しかないです。他にデータはない。本当は客観的に定点観測をして、PCR検査などを一定数続けていけば、感染傾向だとかがわかってくるのだろうけれども、それをやっていないので、重症化率と死者数以外に客観データがない。ただ、恐ろしいのは死亡者と重症者の数というのは、感染者よりも遅れて出てくるデータですから、これが上がってくると、かなり危険です。だから「いま下がっているから大丈夫です」と現状においては言えるかもしれないけれども、これが10日後くらいに「重症者が増えてきました」ということになったら手遅れです。
飯田)2週間くらい遅れて出てくる数字だと言われています。
辛坊)だけど、ほかにデータがないから、当面はこの死者、重症者の数というのを見る必要があるのだけれども、現状においては、こうやって炙り出された感染者数に驚くということをしない方が、社会のためにはいいと思います。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)