東京都感染者106人……何の根拠もない「若者の間で感染拡大」論〜辛坊治郎が解説

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キャスターの辛坊治郎氏が7月7日(火)、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。この日発表の東京都の感染者が106人であることを受け、数字だけでは見えない実態について持論を述べた。

東京都感染者106人……何の根拠もない「若者の間で感染拡大」論〜辛坊治郎が解説

新宿・歌舞伎町の歓楽街へ向かう人達=2020年6月4日夜、新宿区 写真提供:産経新聞社

PCR検査の中身から感染者の実態を考える

本日7月7日、東京都で新型コロナウイルス感染者が新たに106人報告されたことがわかった。昨日7月6日の東京都の感染者は102人で、そのうち20代と30代は合わせて72人とおよそ7割を占めている。

辛坊)感染者の数のグラフだけ見ると、4月の頭に緊急事態宣言が出される直前の伸びと同じくらいの感染者が、いま毎日出ているようなイメージをお持ちの方多いと思います。確かに、新聞などに出ている感染者数のグラフを見ると同じような棒グラフになっていますが、中身は全く違います。中身は全く違うということがわからずに、感染者の数だけで物事を見ていると、少し勘違いをしてしまうということで、ここにきてなぜそのような感染者数が増えているかと言うと、圧倒的に新宿区が多いのだということを昨日7月6日に話しました。基本的に、発表される感染者数をもとに「日本ではいま若者の間で感染が広がっている」などとよく新聞に書いてありますが、何の根拠もないのですよ。

中国の武漢、1000万人くらいの人口がいますよね。あそこで実際にやったのですけれど、1000万人全員のPCR検査をすれば、どういう世代にどういう感染の広がりをしているかということが分かりますが。いま東京でPCR検査のマックスのキャパは1日6000人くらいとだいぶ増えて、実際は2800人、およそ3000人近く調べているはずです。一時に比べると圧倒的にPCR検査の数が多いわけです。となるとPCR検査の数が多ければ、陽性者が出てくる可能性も高いですね。そして、中国の武漢がやったみたいに1000万人全員調べたということなら、PCR検査にかなりの意味が出てきます。ただし、中国の検査に関して言えば、「どこまで本当か?」と言わざるを得なくて、中国でPCR検査をよく1000万人もできたな、と思うのですが、どうやって検査しているかと言うと、20人分の検体を1つに合わせて、それをPCR検査にかけるのです。そして、20人分の検体を集めて検査を一回しますよね。陰性だとそれで終わりなのです。陽性が出たらその20人のうち“誰かが”感染している可能性があると。

増山)20人のうちの誰かというのは明確に分からずじまいということですか?

辛坊)そこからもう一回やるわけです。今度はその20人に関して検査をしていると中国は発表しています。だから1000万人全員を1人1人やっているわけではなくて、すごく大雑把にやっているのです。そういうことをしないと、それだけの大量の検査はできないのですが、それでも1000万人、東京都民全員やりましたということなら、若い人に感染が広がっている、ということも言えるわけです。ところが、いま行われているのは最大でも数千人、2800人ですね。どうやって検査しているかというと、少し前までPCR検査をするためには、ものすごくハードルが高かったのです。

東京都感染者106人……何の根拠もない「若者の間で感染拡大」論〜辛坊治郎が解説

京都・ドライブスルー方式PCR検査デモ PCR検査に用いる綿棒状の検査器具=2020年4月27日午後、京都市中京区 写真提供:産経新聞社

「若い人に感染が広がっている」と言う論はおかしいと誰でも気がつくはず

辛坊)いちばんひどかったときの感染した人がPCR検査の結果を手に入れるまでプロセスを説明します。まず、感染します。人によって個体差はありますが、1週間前後潜伏期間があります。潜伏期間が終わり発症したとします。発症して発熱したとします。4日連続で発熱して、それが37.5度を超えていると、ようやくPCR検査の権利を獲得できて、PCR検査してもらえて、そこから陽性と出ます。だから、いま出ているPCR検査の陽性のデータというのが、2週間前くらいの数字であるということが言われていて、7月7日の新聞を読んだら、同じような発想で記事を書いている新聞があって愕然としたのですが、いまはそういう状況ではありません。いまPCR検査はどのように行われているかと言うと、特に新宿のホストクラブのような場合はハイリスクな職業であると認定されていて、店で1人も感染者が出ていなくても、店のホストは3日続けてPCR検査、症状も出ていないとなって初めてオッケーなのです。

なぜ20代、30代が多いのか、なぜ新宿区が多いのか、と言うと、つまり発熱していなくても、前だったら2週間くらい経たないと検査結果出なかったのが、感染直後で喉や鼻の奥にウイルスが増殖し始めた感染まもない人もPCR検査で炙り出すことができる。だから、前みたいな2週間のタイムラグはまずないのです。もちろん、タイムラグがある人もいると思いますが、前のように一律ほぼ2週間のタイムラグがあるという時代ではありませんから、おそらく感染してから数日間でPCR検査で結果が出ている人もいるでしょう。そういうPCR検査をしてもらえる権利を得ている人たちがどういう人たちかと言うと、新宿の歌舞伎町のホストクラブのホストなどかなり限定されたところであり、だから20代、30代が陽性と出ているわけで、全員検査しているわけではないのです。だから、別のところで、別の職業で集中的にPCR検査をしたら出ないとは限らないわけです。となると、この検査結果のみをベースに20代、30代の若い人に感染が広がっている、と言う論はおかしいと誰でも気がつくはずなのに、そういうことを前提に平気で新聞記事を書くのです。

番組情報

辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!

月~木曜日 15時30分~17時30分 

番組HP

辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)

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