「なぜ、今の櫻坂46が『BAN』を歌うのか」セント・フォース随一のアイドルオタク・吉田悠希が気づいた“意味”

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吉田悠希「愛の避雷針」~坂道にズーム そこまで推すか!~

乃木坂46、日向坂46、櫻坂46……“坂道シリーズ”を愛する、セント・フォース随一のアイドルオタク・吉田悠希が、“今推すべき楽曲”をグループの魅力とともにご紹介していきます

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坂道オタクの吉田悠希です!

このコラムでは、今、推すべき楽曲を、坂道グループの魅力と共にご紹介していきます。

今回は、4月14日に発売された櫻坂46の2ndシングル『BAN』にズーム! 昨年12月の再始動、改名から踏み出した“グループとしての2歩目”にどんな意味が込められているのか、愛をこめてお届けします!

さらに、この『BAN』のコラムに限っては“みんなで作る、愛の避雷針”ということで、私のYouTubeチャンネルで募集したオタク目線の意見も加えて作成しました。(動画へのコメント、各SNSへのメッセージ含め、100件以上いただきました!ご協力ありがとうございます!)

フラゲした『BAN』のCDとともに(私物)

画像を見る(全9枚) フラゲした『BAN』のCDとともに(私物)

■欅坂46としての最後の作品が発売。激動の3月から今まで。

4月14日に発売した、櫻坂46として2枚目のシングル『BAN』ですが、この日を迎えるまで、オタクには大きな試練が待ち受けていましたね。欅坂46としての最後のライブのDVD & Blu-ray『THE LAST LIVE -DAY1 & DAY2-』が発売され、改名によって、少しずつ前進していた心が、過去に引き戻されてしまう瞬間がありました。お仕事として書かせていただいているこのコラム『愛の避雷針』ですが、なにをどう書いたらいいのかわからなくなってしまい、お休みしたほどです。

1つ前のコラムで「櫻坂46の楽曲や世界観を楽しむと、同時に、欅坂46として表現してきたことが、生き続けることができる」と述べましたが、この反対のパターン「欅坂46と向き合うことで、櫻坂46もより楽しくなる」と、簡単に考えられないのが、複雑なオタク心で(笑)やっぱり欅坂46は、それとして味わい、ゆっくり咀嚼して、消化したいんだよなあと、個人的には感じました。

そんな状況の中、リリースされた本作『BAN』は、爽快で疾走感溢れるアップテンポな曲調に加えて、MVのダンスも“グループ史上、最高難易度”と言われているくらい、メンバー全員で、息つく暇もないほど、全身でパフォーマンスしています。作品の完成度は勿論高いのですが、欅坂46と再び向き合った、私たちオタクのセンチメンタルな心とは、どう考えてもリンクしてないし、全く歩み寄ってもいない。一時はそんな風に感じてしまったのですが……何度もMVを観て、楽曲を聴くうちに、今だからこそ、今の櫻坂46だからこそ意味がある『BAN』という作品なのだということに気が付きました。

櫻坂46『BAN』          (C)Seed & Flower LLC

櫻坂46『BAN』          (C)Seed & Flower LLC

■なぜ、今の櫻坂46が『BAN』歌うのか

楽曲のタイトルと共に、歌詞にも頻繁に放たれる“BANされる”というフレーズ。これは所謂、ネットスラングの一つで、「禁止」や「退場」といった意味合いを持つ言葉なのですが……この“BANされる”という表現を使ってくる、そしてそれを、今の櫻坂46に歌わせるあたり、ものすごく絶秒です。欅坂46として、アイドルで在り続けることを、ある意味で“BAN”された彼女たちだからこそ、ものすごく生きてくる、力溢れる、説得力のある表現が沢山ある。でもそれ以上に、また秋元さんが、残酷な隠し味を入れてきたなあ(笑)と。これが第一印象でした。そうはいっても、これだけで終わらないのが『BAN』の持つメッセージ性。私のYouTubeチャンネルの視聴者さんから、こんなコメントが来たのでご紹介します。

「この歌の主人公は、実際“BAN”されていないと思います!“眩しすぎる太陽が”からの歌詞の部分がBANされる悪夢から目覚めたことを示唆していて、それで、最後の“絶対BANされるものか!”に繋がるからです」

そう、一見するとなんだか、BANという言葉の持つ「禁止」や「退場」という言葉のニュアンスがより濃く伝わってしまうのですが、その先に大きなメッセージと楽しみ方が隠されているのが、『BAN』の聴きどころなんです。

櫻坂46『BAN』キービジュアル     (C)Seed & Flower LLC

櫻坂46『BAN』キービジュアル     (C)Seed & Flower LLC

■『BAN』でより鮮明になった、櫻坂46の生きざま

この作品が私たちに伝えてくれるものって、“開き直る強さ”だと思っています。歌詞には“BAN”される、退場させられることを不安に感じて、もう一度チャンスが欲しいと“神様”に懇願するほどでありながらも、サビ以降は、今さら自分自身を変えることなんてできない、変わらないことの何がいけないのか、反省もしない、と“本来の自分”がどんどんと顔を出してきて。極め付けには、BANされるもんか!と言い切っちゃう。この “開き直り”って、今のグループにとっても、応援する私たちオタク側にも必要な強さなんですよね。欅坂46の改名、櫻坂46の再スタートという、オタクの独断と偏愛なしでは片づけられない事象を、前向きな力に変える方法って、現状、これが最善なんじゃないかと。

更にいうと、この欅坂46と櫻坂46との間に抱いている葛藤を、『BAN』で描くところの“主人公と社会の葛藤”に重ねることができる点が、オタクとしては面白いポイントです。かつての欅坂46では、“大人や社会への反発”という、自分の中だけで完結できてしまう感情やセリフが作品軸となっていましたが、櫻坂46になってからは、“僕”が成長し、大人の世界に片足が入ってしまっているが故に、自分を少し変えようとしてみて、でも結局、自分自身を守りたいんだ!と開き直って加速する。欅坂46時代とは、葛藤の中身が変化、成長している点は、グループを見守る私たちの心模様とも、少しリンクしている気がします。

「主人公の一連のストーリー。欅の曲ではどこか大人に反抗心を持っていた主人公がですが、いざ大人になり、かつて思い描いていた“大人像”とのギャップに悩んでいる様が『BAN』では描かれていると思います。」

「欅坂46も櫻坂46も違う視点からではあるけれど“幸せはどこにあるんだろう?”っていう、同じゴールを見ているんだろうなあ。」

視聴者様から、このような素敵なご意見もいただきましたが、本当にその通りで。櫻坂46って、表現方法は変えたものの、芯の部分は欅坂46から全くぶれていない。オタク的に観た『BAN』の凄さ、最大の魅力って、歌詞の重みとか主人公の“僕像”は、欅坂46時代の作品とほとんど変わらないのに、それを、カラっと歌い上げているところだと思っています。欅坂46では、あえてモノクロにしていた同じ絵が、櫻坂46として描くと、カラフルで鮮やかな作品に出来上がるような感覚で。勿論これは、欅坂46の作品を知らないと出来ないことですが、この、色塗りするみたいな感覚や楽しみ方を、一人でも多くの方に味わってもらえたらなあ、と願っています。

『BAN』と共に

『BAN』と共に

■今、なぜ櫻坂46なのか?

このコラムの掲載やYouTubeチャンネル開設もあって、私も最近、坂道グループが好きです!とお話する機会が増えてきたのですが、「今の櫻坂46には何が期待できるの?」ということをよく聞かれます。

そんなこと聞かないでよ、が心の中の第一声ですが(笑) この手のやりとりや、疑問が生まれることこそが、欅坂46・櫻坂46の魅力と可能性だと思っています。欅坂46時代を思い返せば「センター不在がありえるグループって大丈夫なの?」に始まり、「欅坂46の曲ってなんか明るくないよね」とか、ちょっと前は「改名して何が変わるの?」とか。これらの言葉って、私のグループ愛に対しては、燃料にしかならないので全く問題はないですし、きちんとした回答を用意しておく必要もない。究極言ってしまえば「この良さがわからないなら、それまでだよね」でしかないからです。

それに、メンバー増員も解散もせず、改名のみを選んだ櫻坂46って、予定調和とかけ離れていて面白いじゃないですか。“秋元康×未知なるもの”って、今のところハズレなしですよ(笑)

『BAN』タイプAのCDと吉田悠希

『BAN』タイプAのCDと吉田悠希

■『BAN』 MVの見どころ解説!

では最後に、MusicVideoの見どころをいくつかご紹介します。ちなみに、YouTubeチャンネルで今回募集した中で、一番多くいただいたコメントがこのテーマのものでした。

正直、なんの予備知識なしで観たとしても、素敵だなと思っていただける仕上がりです。ですが! これからご紹介する“推しポイント”を把握した上で観ていただけると、さらに作品を楽しめるはずです。いただいたポイント、全ては書けないので超厳選しました。では、スタート!

・MVの見どころは、ラストのサビの“笑顔”だと思っています。シンプルなアイドルとしてのスマイルではなく、酸いも甘いも知りつくした、今の彼女たちにしかできない顔つき。アンビバレントのMVラストでも同じようなシーンがありますが、また一回り経験を積んだ、表現者としての笑顔に注目してほしいです。(by吉田悠希)

・BANの魅力は何と言ってもイントロ!最初の5秒でその曲の印象を作りだしている。

・センターの2期生、るんちゃん(森田ひかる)を挟む、ゆいぽん(小林由依)とりさ(渡邉理佐)のシンメが大好きです

・1:59のゆいぽん(小林由依)メンバー&グループを私が守る!!みたいなシーンが好きです

・サビ直前のBANって音と共に、るんちゃんのスカートが広がって上を向くシーンがかっこよくて大好きポイント!

・BANのラスサビ、特にひかるちゃん(森田ひかる)の力を振り絞って立ち上がるシーン、水場での表情、かっこよかった……

・水のシーン(3:20)やめろって言われても私はこれがしたい!と訴えるような強い表情を見せる森田ひかると、まるで水を得た魚のように躍動するメンバー

・MVのラスト(3:56)何か答えを見つけたような表情で終わるところ。

……などなど。皆さんは、どのシーンに心を掴まれましたか?

【櫻坂46『BAN』Music Video】

【吉田悠希 YouTube動画】

2ndシングル「BAN」発売記念 特別ライティング

2ndシングル「BAN」発売記念 特別ライティング

【吉田悠希の坂活日誌: スカイツリー見に行きました!】
『BAN』発売記念ライトアップ、とっても綺麗でした

協力:Seed&Flower合同会社

 

連載情報

吉田悠希「愛の避雷針」~坂道にズーム そこまで推すか!~

今推すべき楽曲を坂道グループの魅力と共にご紹介していきます。

著者:吉田悠希
セント・フォース所属。AKB48の劇場公演を観に行ったことがきっかけで、アイドルに興味を持ち、乃木坂46、欅坂46、日向坂46、櫻坂46……全ての坂道シリーズを推し続けて今に至る。各グループの推しは、橋本奈々未(乃木坂46)、平手友梨奈 志田愛佳(欅坂46)、 佐々木久美 東村芽依(日向坂46)、菅井友香 藤吉夏鈴(櫻坂46)。ニッポン放送では「辛坊治郎ズーム そこまで言うか!」にて、中継レポーターを担当中(水・木曜)。
『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』公式 Twitter https://twitter.com/zoom1242
セント・フォース公式 YouTube https://www.youtube.com/user/centforceofficial

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