青学大・原晋監督の“キャプテン論”「競技能力とチームをまとめる能力は別物」

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黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(12月29日放送)に青山学院大学陸上競技部監督の原晋が出演。自身のリーダー論について語った。

第98回箱根駅伝 青学大が壮行会 中央は原晋監督 撮影日:2021年12月17日 写真提供:産経新聞社

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。12月26日(月)~12月30日(金)のゲストは青山学院大学陸上競技部監督の原晋。4日目は、監督と学生の向き合い方について---

黒木)監督もおやりになりながら、教鞭もふるっていらっしゃるということですよね。

原)そうなのですよ。いつの間にか原監督教授ですよ。

黒木)講義ではどういったことを。

原)リーダーシップ論演習という。リーダー論、あるいは組織論。そのあたりを専門にして、箱根駅伝で培ったノウハウを転用して学生に指導しているということなのです。

黒木)リーダーの育成?

原)そうなのです。

黒木)大切なことは何ですか。

原)大切なことは簡単に言ったら、理念の共有ですね。組織をまとめるうえでは、理念の共有をして、そしてどんな振る舞いをするのかという行動指針をつくっていく。そして最後、リーダーは決断する力だと思います。なかなか最近はサーバント型と言いながら、サポート型と言いますか、決断をしないリーダー。

みんなの意見を聞いて、シャシャッと決めるようなところがあるのですけれども、最後はリーダーが決断する。決断をするということは責任を持つということですから。だから、正しい理論というのは、今日何が正しいのかというのはよくわからない時代になっているはずなのです。正解が読める時代なら、その正解をというところがあるのでしょうけれども、何が正しいのかよくわからない時代においては、リーダーがある程度「これでいく」ということを示していかないと私はいけないと思います。それが示されないリーダーが最近多いなと感じます。

黒木)駅伝のチームだとしたら、リーダーとしてキャプテンが選ばれていくわけですよね。それは監督がお決めになるのですか。

原)これは、私は19年間のなかで4年目に一度だけ決めたことがありましたけれども、それ以外は学生が話し合ってリーダーを決める。キャプテンを決めるという仕組み。それを私が承認をするという仕組みをとっています。

黒木)4年生がやはりキャプテンになるのですか。

原)ここは、私は4年生に頑張ってもらいたい。キャプテンというのは、陸上競技の選手能力が高いとか低いで選ぶわけではないというのが私の思いです。やはり、チームをまとめる能力というのは、競技能力が高いからまとめるというものではないと思うのです。それは理想ですけれども、なかなかそんなスーパースターはいませんから、「競技能力が低いからリーダーになれない」ではないと思うのです。競技能力とチームをまとめる能力というのは別物だと私は考えていますので、先輩のために、キャプテンのために私たちが頑張ろうとなれば、チームとして成り立つわけですから、そういう視点を私は持っています。

黒木)生徒たちのなかから選ばれた人がキャプテンになっていくと。意外なときってありましたか。

原)「ええ? お前?」というのは実際に何回かありました。

黒木)ですけれど、選手たちはその人がリーダーになってほしいという。

原)思いがあったのでしょうね。そのときには突き返すようなことをします。「プレッシャーに押し潰されて、お前自身がだめになるよ。逆に後輩が悪さをしたときに、私の代わりに強い口調で、ある種指導をすることも求められるけれど、それができるの」という形で投げかけて、「できないでしょう。お前もうちょっと考え直したほうがいいんじゃないの。みんなで」とわざと意地悪なことを言って。

黒木)意地悪というか、一応考えさせるという作戦ですね。

原)何が言いたいかというと、覚悟がないとだめだと思っているので、覚悟を持つ。「いや、それでも私はやります」と自分がやりますという言葉で再度返ってきたら、「じゃあ一緒に頑張ろう」というような形をつくります。

黒木)そうですね。責任を持って決断力を持ってという人でないと。

原)監督は監督の責任がありますけれども、学生もまったく責任がないかというとそんなことはなくて、学生には学生の立場の責任というものがあると私は思っています。それぞれの立場でリーダーマインドを持って取り組んでいくことが、チームが成長するものだと私は思っていますし、そう伝えています。

黒木)その精神。理念は選手たちに浸透しているのではないですか。

原)おかげさまで、今年私は監督就任19年目を迎えましたけれども、ここ最近は極力距離を置くようにして、私がちょっと口を出すと、それが全部答えになってしまいますから、そうなっていけないなと思って、あえてちょっと距離を置くような対応。それでも頑張ってくれている学生がいるというチームになってきました。

黒木)ますます楽しみになってきましたね。1月2日、3日。

原)やりますよ。

原晋(はら・すすむ)/ 青山学院大学陸上競技部監督

原晋(はら・すすむ)/ 青山学院大学陸上競技部監督

■1967年 広島県三原市出身。
■中学時代に陸上を始め、1984年、世羅高校3年時に主将として全国高校駅伝2位。
■中京大学に進学し、3年時に日本インカレ5000メートル3位。
■1989年、中国電力に入社。中国電力陸上競技部1期生として部の創設に参加。
■1993年、主将として全日本実業団駅伝に初出場。
■5年目の1995年、27歳のとき、故障が原因で競技生活を引退。その後10年間、中国電力でサラリーマン生活を送る。
■知人の紹介により、2004年、青山学院大学陸上競技部監督に就任。
■2009年、青山学院大学を33年ぶりに箱根駅伝出場に導く。
■2015年、青山学院大学初となる箱根駅伝総合優勝を達成。
■2017年には箱根駅伝3連覇に加え、大学3大駅伝である出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝の優勝により、大学駅伝3冠を達成した。
■2018年、史上6校目となる箱根駅伝4連覇を達成。
■2019年4月より青山学院大学の地球社会共生学部の教授を務める。
■2022年箱根駅伝2年ぶり6回目の総合優勝を達成。
■2022年は出雲駅伝4位、全日本大学駅伝3位。2023年の箱根駅伝では2年連続7度目の総合優勝を目指す。

 

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毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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