目の不自由な方たちが安心して街を歩けるように「音の出る信号機」を設置するための基金を募るチャリティキャンペーン『ニッポン放送 ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』。1975年にスタートしたこのチャリティキャンペーンは、今回で第48回を迎えた。
昨年2022年11月から3か月間にわたるキャンペーン展開も残り1週間を切った。1月25日に発表された「ビデオリサーチ首都圏ラジオ聴取率調査」では、昨年クリスマス(12月24日正午~25日正午)に24時間生放送された特別番組が、24時間平均で単独首位となったが、この特別番組を担当した長濵純プロデューサーに、あらためて話を聞いた。
---プロデューサーとしてまず心がけていたことは?
24時間特別番組が注目されがちですが、3か月間のキャンペーンであることを常に意識して制作してきました。ずっと、キャンペーン期間は“注力期間”だと思っていて、その期間以外でも取材を続けていますし、各番組での啓蒙を心掛けています。
---プロデューサーがまず取り掛かることは?
全体を導く、テーマとキャッチフレーズを考えます。一冊の本に例えるならば、タイトルを決めるような感覚かもしれません。特別番組を含めて全体を表す言葉だけに、ずっと考えて過ごしています。私は、5年連続で担当させて頂いていまして、第48回は「夢をチカラに」をキャッチフレーズに掲げました。これには、連続するストーリーと背景があります。
第44回のキャッチフレーズは「ありがとうは魔法のコトバ」でした。これは、盲学校の校庭で運動会に参加している時に浮かんだ言葉です。目の不自由な児童のみんなにとって、声がコミュニケーションの重要なツールとなっていて、共に行動する中で飛び交う「ありがとう!」という感謝の声がすっと心に響いてきました。まるで、感謝の言葉が笑顔の魔法ようだなと思って、メモしていました。
第45回のキャッチフレーズは「With Your Smile」でした。これは第44回の特別番組を終えたタイミングで浮かんだ言葉です。放送拠点となったイマジンスタジオで、パーソナリティと盲学校児童がずっと笑顔で語り合う姿に、この笑顔に寄り添っていきたいという想いを言葉にしていました。
そんな中、世界中を新型コロナウィルスの猛威が襲いました。そうして迎えた第46回のキャッチフレーズは「とどけ、ニッポンエール」。これまでのセオリーが通用しない状況となり、自分たちの考えを変えながら、試行錯誤する日々。だからこそ日本全体を応援していきたいという想いで、フレーズを書きました。人気グループ2組をメインパーソナリティにお迎えし、課題に真摯に向き合う姿に励まされました。
第47回のキャッチフレーズは「ココロのバトン MY HEART YOUR HEART」。前年度の特別番組エンディング挨拶で、「離れていても、心で繋がっている」・「どんな時でも、心は動く」という言葉が出てきたことがきっかけです。真心で繋がっていきたい、真心を届けていきたいという想いを込めました。
そして、今回の第48回を迎え、「夢をチカラに」をキャッチフレーズに掲げました。これは、パーソナリティと私達が出逢った1人の盲学校児童のエピソードがきっかけです。「音の出る信号機」を頼りに、一人下校を頑張りたいと話す彼の夢を前回紹介し、多くの反響を頂戴しました。その夢の続きを取材していくと、努力と出逢いが彼を強くしていました。いまだ終わりのないコロナ禍、世界では争いも起きている、それでも僕らが力強く発信していくことは、彼から学んだ夢の力だろうと思っての言葉でした。
---キャンペーン期間中や特別番組中のプロデューサー業務は?
キャンペーン運営事務局と共に、日々打合せを重ねて、各所調整や準備、特別番組に向けての取材などを行います。情報解禁に向けた、ポスターやチラシにも採用されるメインビジュアル撮影や、募金ツールにもなるチャリティLINEスタンプ制作などもそのひとつです。
そして、24時間特別番組では、全体の指揮をとります。一緒にタッグを組んでくれるチーフディレクターとは、常に二人三脚です。また、私達の想いに沿って、取材し言葉を紡いでくれる作家陣に支えられながら、数百時間を制作準備に注ぎます。
番組は24時間生放送ですから、途中で出演者やスタッフに体調不良があるかもしれませんし、自然災害が起きるかもしれません。そうなったら、どう構成しなおすかなど、常にちょっと先を考えながら24時間を過ごします。ちょっとした変化に気づけるかを意識して過ごすようにしているので、頭はフル回転していますね。でも、それが周りに緊張として伝わらないように、的確に声を掛け合うよう心掛けています。
---そんな第48回特別番組で意識したことは?
真摯に課題解決に向き合うメインパーソナリティにご担当頂けていますので、学んだことの「継続性」を内容の随所にとりいれて、内容の浸透度をアップさせたいと思いました。また、24時間の「LIVE感」と「共感」を大切にしました。
さらに、好評だった企画をバージョンアップさせ、メインパーソナリティは生朗読に初挑戦。テーマ選定、朗読後の選曲にもこだわってお届けしまして、多くの反響を頂戴しました。
また、歴代パーソナリティを中心に、生ゲストも続々応援に駆けつけてくださいました。新たに3組のアーティスト生ライブも加えて、ミュージックソン(※ミュージックソンは、ミュージック+マラソンの造語)の名前を体現する企画になったと思います。スタジオでは、その歌声に涙する姿もあり、ご協力頂いたアーティストの皆さんに感謝しかありません。
そして、少しずつではありますが、コロナ禍前に実施していた展開(アナウンサー中継や、募金拠点“愛の泉”各所への設置など)も復活できました。各施設やご担当の方々にご協力頂いたからこそ実現できたので、感謝の気持ちでいっぱいです。
---キャンペーンを続ける中での支えは?
日本点字図書館の長岡英司さんから頂いた「皆さんが、その発信力で、現状と課題を訴えてくださっていることに感謝しています。物理的に“音の出る信号機”が増えることはもちろん有難いことですが、お聴きの方おひとりおひとりが“音の出る信号機”になり得ることをお伝えしたいです。その声が、視覚障がい者の安心と安全に繋がるんです」という言葉です。
「目の不自由な方へ 音の出る信号機を」という言葉にある通り、ハードを増やしていこうというのがキャンペーンの目的です。が、それを運用するのは、ソフトでもある私達。行動する私達は、ハードにもなりうるんだという発見が、アプローチの仕方に変化を与えてくれました。
募金の呼びかけはもちろんですが、お聴き頂いた方々に“声がけの仕方”が伝わり、一歩目の行動に繋がることができたらと思い、様々な取り組みをご紹介してきました。その感謝の気持ちも込めて、長岡さんの物語は今回朗読作品でもお届けしました。
---最後に
たくさんのあたたかいお気持ちをありがとうございます。これからも「ラジオ・チャリティ・ミュージックソン」を大切にお届けしていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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★1月31日(火)まで、『ニッポン放送 ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』では、さまざまな方法で募金受付中。詳しくは→こちらから
番組情報
ラジオ・チャリティ・ミュージックソン
番組HPニッポン放送「ラジオ・チャリティ・ミュージックソン」は、“目の不自由な方へ音の出る信号機”を贈るためのチャリティキャンペーンで、毎年11/1~翌年1/31に展開しています。