元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が7月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。内閣府が前年度比2.6%と予測した物価上昇率について解説した。

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内閣府が物価上昇率を2.6%と予測

内閣府は7月20日の経済財政諮問会議で、2023年度の消費者物価指数が前年度比2.6%上昇するとの見通しを示した。1月に閣議決定した見込みから0.9ポイント上方修正。食品などに加え、サービスの値上げが進んだことなどを反映した。

飯田）国内総生産（GDP）の成長率予測は1.3%程度と試算しています。これは実質なので、物価上昇を織り込むと、少し引き下げになったようです。ものの値段が上がったことは、生活していても実感しますか？

松井）欧米諸国に比べると、日本の物価高騰はそれほどではないと言われますが、実感はしています。いまの若い人たちはインフレを知らないわけですよね。賃金も上がらないし物価も上がらない。むしろ下がる。

飯田）隣で新行アナウンサーが激しく頷いています。やはりインフレは知らないですか？

新行市佳アナウンサー）平成4年（1992年）生まれなので、知らないです。

飯田）ものの値段も下がる一方だった。

松井）私はあまり1つの場所で仕事ができないので、ファミレスで仕事をすることがあります。

飯田）電源もありますからね。

松井）5割ぐらい上がった感じがします。いままで500円ぐらいだったのが、気付いたら1000円くらいになっています。もともとリーズナブルなところでも。

飯田）もともとリーズナブルな、GとかJなどでも。

松井）他方である程度、私たちのような世代の人間は、第1次・第2次石油危機など、狂乱物価などの経験をしているわけです。

ガソリン補助金を出すのはいいが、「いつまでやるのか」　～日本の競争力を考えて本当に使わなければならない場面で使うことができなくなるのでは

松井）値上げになり、ガソリン代が高いから経済産業省の資源エネルギー庁が補助を出し、数千円ほど下げるようなことをずっと続けています。経済財政諮問会議の民間議員がおっしゃっていましたけれど。

飯田）まさに昨日（7月20日）、ペーパーが出されました。

松井）「いつまでやるのかな」と思います。コロナ禍があり、いろいろなインフレもあり、国民生活にダメージが出たときに「何とかしなければいけない」というのは理解するし、私も単に財政再建などという意味で言っているわけではありません。ただ、こういうことにお金を使い続けるのが癖になってしまうと、本当に日本の競争力を考えなければいけないことに対して、お金を使えなくなるのではないかと心配になります。

安倍元総理であれば「ガソリン補助金」はやらなかった

飯田）経済財政諮問会議で正式にペーパーが出ましたが、ガソリン補助について、一方では1リットル当たりのガソリン価格が9週連続で値上がりしているそうです。これは補助金を徐々に下げていることもあるのですが。最初はガソリン税の暫定の部分をどうするかという話でしたが、補助金にすり替わったわけですよね。

松井）そうです。

飯田）この辺りは、いい加減グランドデザインのようなものから考えてもいいと思うのですが。

松井）そう思います。これは玉木さんなどが言い出したことです。

飯田）国民民主党代表の玉木雄一郎さん。

松井）安倍首相を近くで支えていた方と話すこともあるのですが、「安倍政権でこれをやりますか？」と聞いたら、「やらないよこんなもの」とおっしゃっていました。

飯田）安倍政権はやらない。

松井）絶対にこんなものはやらせない。「いつまでやっているのだ」という意見でした。

飯田）最初なら、激変緩和という意味ではやるかも知れないけれど。

松井）伸ばしに伸ばして、現実にやめられなくなってきているわけです。

9月半ばに改造・党役員人事と言われているが、9月でガソリン補助金をやめられるのか

飯田）当時、補助金を出すときに「始めたらやめられなくなる」という指摘がありましたよね。

松井）予定は9月末までですが、やめられるのでしょうか。岸田さんが選挙に関してどう考えているのかにもよるけれど。でも、改造は9月ですか？

飯田）9月上旬～半ばくらいに改造・党役員人事があるのではないかと言われています。

松井）そのときに、「これをやめられますか？」という話です。

飯田）タイミングがドンピシャで合ってしまいますものね。

同じお金を使うのであれば、未来の投資などへ使った方がいいのでは

松井）同じお金を使うのであれば、もう少し違うことに使った方がいいのではないでしょうか。確かに、私のようなガソリンのヘビーユーザーにとっては、ガソリン補助金は日々の生活を考えると助かります。

飯田）そうですよね。

松井）助かるけれど、こういうことにお金を使い続けていいのでしょうか？　国民生活には密着しているので、抽象的な無駄遣いではないと思うけれど……という気がします。

飯田）昨日、財務省から出た貿易統計などを見ても、エネルギー価格はドルベースでも落ち着いてきているから、輸入部分の赤字が減っているという指摘がありました。そうすると、そろそろ別に振り向けることも考えなくてはいけない時期ではあります。

松井）未来への投資などに使った方がいいのではないでしょうか。