中国共産党の体制が揺らぐときまで「現状維持のまま時間を稼ぐ」のが台湾の作戦

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日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が8月18日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。台湾と各国の動きについて解説した。

中国共産党の体制が揺らぐときまで「現状維持のまま時間を稼ぐ」のが台湾の作戦

中国の習近平国家主席(中国・北京)=2023年6月19日 AFP=時事 写真提供:時事通信

アメリカで目立った動きをしなかった台湾・総統選候補の頼清徳氏 ~「現状維持」を目指すということ

飯田)台湾情勢についてですが、来年(2024年)の1月には総統選が行われます。その与党候補として頼清徳氏が現在、副総統のポジションにいます。頼清徳氏はアメリカを経由してパラグアイに行きましたけれど、アメリカで誰に会うのかが注目されていました。しかし、今回は大人しかったですね。

秋田)ブッシュ政権時代に起きた台湾・民進党の陳水扁政権での失敗を繰り返さないよう、肝に銘じていることが明らかになったと思います。

独立志向の強かった陳水扁政権の失敗を繰り返さない ~戦争を防ぐために台湾が独立へ向かうことを抑えた当時のブッシュ政権

秋田)陳水扁政権、ブッシュ政権だった当時、私はワシントンにいました。陳水扁氏は独立志向が強く、このままだと台湾が原因で米中戦争になってしまうというくらい緊迫した時期がありました。

飯田)陳水扁氏の。

秋田)その結果、ブッシュ政権と当時の中国・胡錦濤政権が秘密裏に話し合い、お互いに「戦争を防ぐため台湾を抑えなければならない」という暗黙の了解までできてしまったのです。

飯田)戦争を防ぐために。

秋田)そのような状態になるのは自殺行為なので、頼清徳副総統も独立をあからさまに目指すのではなく、いまの蔡英文政権と似たような安全運転を目指す。それが今回、アメリカでの行動でわかってきたのではないかと思います。

飯田)蔡英文さんも再三再四「現状維持」と言っていますものね。

秋田)アメリカからしても、現状維持の方が受け入れてもらいやすい。台湾の世論調査では「独立を目指して欲しい」と思っている人よりも、「現状維持を目指して欲しい」と思っている人の方が圧倒的に多いのです。

飯田)独立を目指すよりも。

秋田)みんなから見て……みんなというのは「日米その他西側諸国」から見て、今回の民進党の候補はいい路線に向かっているのではないかという気がします。

中国の共産党体制が揺らぐときまでは「現状維持のまま時間を稼ぐ」のが台湾の作戦

飯田)「独立」と言い出すと、「台湾側が現状変更しようとしているではないか」と中国側が手を出すきっかけになるのですか?

秋田)中国側は(台湾が)独立することがあからさまになれば、確実に軍事介入を考えると思います。それは公言しています。台湾の目指すであろう賢い路線は、「独立はしない。でも統一もいまのままでは無理だ」と30年~40年ほど言い続ける。

飯田)独立はしないが、いまのままでは統一もできないと。

秋田)民主主義政権なので、強権国家より社会的には安定しやすいと思うのです。それを30年~40年くらい引っ張ったときに、共産党体制がどうなっているかと言えば……。

飯田)北京の方ですね。

秋田)「もしかすると揺らいでくるかも知れない」というのが台湾の戦略だと思います。要するに体制間競争でしばらく、いまの状態を続ける。逆に言えば、「共産党体制がいずれ揺らぐときまで時間を稼ぐ」という戦略なのではないでしょうか。

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