中国国内は「危ないガス」が充満しつつある 前外相、国防部長が失脚し、ロケット軍の司令官が交代する特異な事態

By -  公開:  更新:

日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が9月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国国内の現状について解説した。

中国国内は「危ないガス」が充満しつつある 前外相、国防部長が失脚し、ロケット軍の司令官が交代する特異な事態

中国の習近平国家主席(南アフリカのヨハネスブルク)=2023年8月24日 EPA=時事 写真提供:時事通信

中国・李尚福国防相の動静不明が続く

飯田)中国の国防相である李尚福氏の行方が、8月29日の「中国・アフリカ平和安全フォーラム」を最後に、かれこれ3週間ほどわかっていません。米駐日大使のラーム・エマニュエル氏が興味深いポスト(ツイート)を続けています。

秋田)アガサ・クリスティの小説『そして誰もいなくなった』のようになっていくと。彼は外交官というより、政治家として天下一品の才能があって、相手の痛点を突くような言及でしたね。

前外相・秦剛氏、国防部長・李尚福氏が失脚し、ロケット軍の司令官が交代 ~混乱している中国国内

飯田)シェイクスピアの『ハムレット』を引いた言及もありましたね。中国国内は相当、ゴタゴタしているのでしょうか?

秋田)報道でしかわかりませんが、フィナンシャル・タイムズによると、中国の国防部長が失脚したようです。また既に、秦剛前外相が公式に失脚しています。さらには中国軍の中枢部隊である戦略ミサイル部隊「ロケット軍」の司令官が交代させられている。

飯田)次々と。

秋田)「ロケット軍」は国家の生き残りを担う核ミサイル部隊であり、その司令官です。日本で言えば外務大臣、防衛大臣、さらに自衛隊の中枢の司令官がみんな失脚しているような、かなり大変な状態だと思います。

中央規律検査委員会が汚職などの理由で交代させている

飯田)外交・安保を担うところが揺れている。

秋田)おそらく中央規律検査委員会が汚職などの理由で交代させていると思うのですが、そんなことを言ったら、時速40キロ制限の車道をみんなが45キロ~50キロで走っているような、厳格に言えばみんなが交通違反になってしまう面がありますよね。中国の汚職摘発もそのような面があると思います。

飯田)多かれ少なかれということですね。

秋田)普通に考えたら、失脚させなければならない理由があるのでしょう。政治的にパージしたか、本当に目に余る汚職をしていたか、もしくは両方か。

権力闘争に近いような状態になっている可能性も ~路線をめぐる争いが起きやすい、危ないガスが充満しつつあるような状況

秋田)いずれにしても、権力闘争に近いような状態ではないかと思います。原因はわかりませんが、不動産不況によって、中国のなかで「誰の責任なんだ」というような話になっている場合もあります。

飯田)経済面で。

秋田)共産党は政治的な自由を与えない代わりに、「明日はもっと豊かになる」と言って中国国民を引っ張ってきた。そこが崩れかけているという意味でも、路線をめぐる争いが起きやすく、危ないガスが充満しつつあるような状況なのかも知れません。

圧力釜のような状態になっている中国が対外的にどのように出るのか

飯田)胡錦濤体制までのような、ある意味で経済重視的な改革開放の考え方から、もう少し別の部分に舵を切ってきた。そのような部分で路線対立的なものが燻っているのでしょうか?

秋田)対外開放、改革開放で経済を底上げするという路線から切り替え、最近もiPhoneの使用を禁止するなど、外国との交流を制限しています。経済状況の苦境は、「それがいいのかどうか」という問題にも行き着きます。

飯田)制限することが。

秋田)問題は、それが対日関係や米中首脳会談などにおいて、どう作用するか。「圧力釜のような状態になっている中国が、対外的にどう出るのか」は注目すべき点だと思います。

習近平氏の「強権大国」路線が正しいのかどうかという議論になる可能性も

飯田)一方、不動産バブルの問題は20年くらい前から言われています。習近平氏からすれば「前政権の積み残しを進めているのだ」という意識もあるのかも知れませんが。

秋田)前政権が積み残した面もありますが、明らかに「強権大国になる」という方向に舵を切ったのは習近平氏です。積み残しだけでなく、彼の路線が本当に正しいのかどうか議論されている可能性もあります。

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組HP

忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。

Page top