2024年3月8日（金）、国際女性デーに『新内眞衣のSDGs MAGAZINE 増刊号』（ニッポン放送　19時～21時30分）が放送された。女性がいきいきと輝き続けるためには、女性にかかわる病気への理解も大切になることから、番組ではまだまだ知られていない「遺伝性乳がん卵巣がん（HBOC）」について紹介した。

日本人女性にもっとも多いがん、乳がん。その原因のひとつである「遺伝性乳がん卵巣がん（HBOC）」は、生まれつき遺伝子に変化があり、乳がんや卵巣がん、膵臓がんなどのリスクが高くなる体質のこと。若い年齢でがんを発症しやすいといった特徴もある。
そもそも乳がんは、乳腺と呼ばれる組織にできることが多いがんで、罹患する原因としては、エストロゲンなどの女性ホルモン、食生活、生活習慣などが挙げられる。それとは異なり、遺伝子の変化が原因となるのがHBOC。乳がん全体の4～5％、卵巣がん全体の10～15％といわれる。ただし、HBOCと診断されても必ずがんを発症するわけではない。
HBOCの診断には医療機関で行う遺伝学的検査が必要で、遺伝子にがんとの関連が強い変化が起きているかいないかを調べ、強い関連が起きていると認められた場合にHBOCと診断される。なお、検査を受けるかどうかは、医師や認定遺伝カウンセラーと相談して患者さんの希望によって決めるもので、本人の意思が尊重される。
もしも、HBOCと診断されると、すでにがんを発症している場合には、薬物療法や乳房の切除、卵管や卵巣の摘出などの手術が行われる。また、早期発見が難しい卵巣がんの発症予防を目指し、希望によっては発症前に手術を受ける「リスク低減手術」も選択できる。
HBOCとわかることは、本人や親族にとって、がん予防の選択肢が増えることにつながるといえる。

さらに、番組ではHBOCの情報を広く伝える取り組みを行っているミリアド・ジェネティクスの黒中陽介氏に、ニッポン放送 東島衣里アナウンサーが話を伺った。

東島：まず、ミリアド・ジェネティクスがどういった会社か教えてください。

黒中：私たちミリアド・ジェネティクスは、アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティを拠点とした医療機器開発会社です。主にがんやメンタルヘルスなどを対象とするさまざまな検査を手がけています。

東島：では、HBOCの啓発として、ミリアド・ジェネティクスではどんな取り組みをされているんでしょうか。

黒中：乳がん、卵巣がん、膵臓がん、そういったものは非常に多くの認知があるんですけど、そのなかでHBOCはまだまだ馴染みのない疾患です。一般の方が疑問や不安を感じたときに少しでもそれを解消できるように、あるいは正しい情報を入手できるように、HBOCを正しく知ってもらうためのWebサイト「正しく知りたい！遺伝性乳がん卵巣がん」を公開しています。
サイトでは、疾患の特徴やリスク、診断、治療をはじめ、医療保険の適用などについてご紹介しています。さらに、専門の医師による解説や患者さんの体験談に基づいた動画を公開しているほか、HBOCに関する啓発イベントの情報もご覧いただけます。

東島：イベントではどういったことを？

黒中：みなさまもよくご存知の通り毎年10月はピンクリボン月間で、その時期に医師や、HBOCの方だけではないのですが、乳がん当事者の方をお招きしてオンラインイベントを開催しました。当事者によるセミナーや医師の方を交えたトークセッション、さらにはご出演いただいたVTuberの方のスペシャルコンサートも行い、非常に多くの方にご試聴いただくことができました。
加えてミリアド・ジェネティクス公式のSNSアカウントを積極的に活用して、疾患に関する多くの情報を発信しています。

東島：多くの方にHBOCを知っていただくためのきっかけをたくさん作っていらっしゃるということですね。
では最後に、リスナーのみなさんへのメッセージをお願いします。

黒中：私たちの会社は医療従事者の方が適切な診断をしたり、あるいはがん患者のみなさまがご自身にあった最適な治療を受けられるよう、医療機関で行うゲノム医療を通して、すべての人の健康と幸せに貢献していきたいと考えています。
がんのことを正しく知って、知識を深めるのがいちばん大切なことだと思っているので、これからも情報発信を続けていき、一人でも多くの方にHBOCのことを知っていただきたいと考えています。

東島：そうですね。HBOCを知るための第一歩にしていただければと思います。みなさん、この機会に知っていただいて、ぜひWebサイトもチェックしてみてください。検索は「正しく知りたいHBOC」でお願いします。こうした情報発信が、女性が健康で、いきいきと輝き続けられる社会につながるといいですよね。
今日はありがとうございました。

黒中：ありがとうございました。

『新内眞衣のSDGs MAGAZINE 増刊号』は1週間後の3月15日までradikoのタイムフリー機能で楽しむことができる。