受験生を“みんな“で応援!『おうえんしナイト』
全国の受験生を応援するために、受験や教育と縁が深い、お笑い芸人・ランパンプスと一緒に様々な情報をWebコンテンツとして発信していく企画です。
全国の受験生を応援する『おうえんしナイト』、今回は岡山県岡山市北区にある「吉備津神社」にやってきました。日本で一番有名なおとぎ話、桃太郎のモデルが御祭神と言われる勝ち運と長寿の御利益のある神社にてランパンプスが合格祈願に参ります!
――さて、それでは境内に入って吉備津神社、禰宜(ねぎ)の上西謙介さんにお話を聞いてみましょう。
小林:早速ですが、吉備津神社の創建の歴史、御由緒を聞かせていただけますか?
上西:まず、当社の神様の大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)には吉備の国で鬼退治をしたという神話があります。
小林:あらら!
上西:第七代天皇であられる孝霊天皇の皇子になりますので「人」だった方ですけれども、神として祀られており、吉備の国の礎を開いた方になります。
小林:土地柄も鑑みると、やっぱり桃太郎のモデルの方だったんですか?
上西:そうですね。この鬼退治の神話が桃太郎のモデルとして、全国によく知られるところになっていると言われています。
寺内:鬼退治をした神様は動物の家来を連れていたんですか?
上西:実は、楽々森彦命(ささもりひこのみこと)、犬飼健命(いぬかいたけるのみこと)、留玉臣命(とめたまおみのみこと)といった家来を連れていました。一番わかりやすいのが犬飼健命で、これは犬のモデルになったとされています。実際、犬養部( いぬかひべ )といって犬を飼っていた部族になります。楽々森彦が猿に相当すると言われており、鳥にあてられるのが留玉臣命になります。
寺内:それぞれの動物が割り当てられた家来がいたんだ!
小林:だとしたら鬼って何よ?
寺内:当時の疫病とかが元になってるのかな?
上西:おっしゃる通り鬼の起源はそういうものなんですけども、この神話では具体的に「温羅(うら)」という名前の鬼が現れております。
小林:年代的にはいつぐらいのことなんですか?
上西:西暦で言うと200~300年くらいですね。
小林:めっちゃ昔じゃん!
寺内:1700~1800年ぐらい前だ! 口で伝わってきたんですか? それとも何か書があったんですか?
上西:最古の書物ですと、712年に完成した古事記に載っています。ただ古事記には「言向和平(ことむけやわす」、つまり「言葉を向けて気持ちを和やかにしていった」と書かれているんですけれども、おそらく戦いがあったんだろうと言われていますね。
小林:こちらの神社はいつ創建されたんですか?
上西:第16代仁徳天皇が吉備の国に来た時に大吉備津彦命の霊夢をご覧になって「お祀りしなければならない」ということで、祀ったのが最初と言われております。時期はわからないのですが300年代だと言われております。
寺内:西暦ですか!?
上西:はい。具体的にはっきり出てきますのは「続日本後紀」という書物の中で、西暦840年代には吉備津神社はすごく大きな神社になっていると書かれております。さらに「白村江の戦い」というのが700年頃にあるんですけども、その前にもうあったのは考古学的にわかっています。
小林:『おうえんしナイト』でたくさん神社を取材させていただきましたけど、その中でも相当古いほうですね。
上西:大吉備津彦命のお墓もありまして、吉備津神社がある山の頂にいわゆる前方後円墳がございます。
小林:えええー!
寺内:大きさはどのくらいなんですか?
上西:全長が120mくらいですね。
小林:サッカーできるじゃん!
寺内:境内にも古いものはあったりするんですか?
上西:今現在残っている一番古いものは1357年の建物ですね。
寺内:約700年前!
上西:鎌倉時代が終わった頃に吉備津神社で大きな火事があったようで、いろんなものが燃えてしまっています。その後、小さいものから復興していって、ここから見ていただける大きなお社がありますけども、そのお社が1425年に35年ぐらいかけて再建されたものになります。
小林:新しめっすね(笑)。
寺内:築600年で新しい(笑)。
上西:(笑)。大きな屋根が二つ並んでいるように見えますよね。そちらが御本殿になります。
寺内:屋根が特殊に見えるんですけど、瓦じゃないですよね?
上西:「桧皮葺(ひわだぶき)」と言いまして、薄いヒノキの皮をあの厚みになるまで葺き重ねて葺いているんです。
寺内:いろんなヒノキが裸にされてたってことですね(笑)?
上西:皮を剥ぐとまた綺麗な皮が生えてくるので、木は傷めないんですよ。
寺内:そうなんだ! 作るの大変そう。
上西:桧皮葺は神様に対する屋根材としては最高のものになります。出雲大社さんなども桧皮葺なんですけども、吉備津神社は1つの建物に屋根が2つ並んでいる特殊な形状をしております。通常は本殿が小さくて、人が入る拝殿が大きいんですけども、本殿の方がとても大きいので、1つの建物に屋根が2つ乗っています。「入母屋造(いりもやづくり)」というんですが、ここでしか見られない形式なので「吉備津造(きびつづくり)」と言われています。
寺内:かっこいい!
小林:吉備津神社にはどんなご利益があるんですか?
上西:まず、大吉備津彦の神様が281歳の長命を保って亡くなられたということで健康長寿の御利益がございます。
小林:ちょっと待って(笑)! 何歳っておっしゃいました?
上西:281歳ですね。
寺内:もう300歳でよくない?
小林:なんかちょっと信じさせようとしてるよね(笑)。
寺内:1をつけることによってリアリティーを増してる(笑)。
上西:古事記や日本書記では最初の頃の天皇は長命なんですよ。ただ、1年を2期や4期に分けているなど、数え方はいろいろ説がありますね。それと、やはり桃太郎さんのモデルということで「勝ち」の神様という信仰も厚いです。また、神仏習合と言いまして、神様と仏様が一緒の時代も長いんですけれども、その時には虚空蔵菩薩と習合していましたので、知恵の仏様ということで、学問の知恵を授けてくださる神様としても信仰が厚いです。
小林:受験生にはもってこいですね。
寺内:来る時に、奥に芸能、学問の神様みたいな言葉が見えたんですけど、あれはまた別ってことなんですか?
上西:あれは末社といいまして、小さい神社があるんです。
小林:神社のイオンモールですね(笑)!
上西:その末社の1つで、一童社(いちどうしゃ)というんですが、たくさんの神様を祀られているんですけども、主に学問の神様、菅原道真公と芸能の神様の天鈿女命(あめのうずめのみこと)を祀ってますので、習い事の方がよく参られたり、書の上達を願ったりなど、そういった信仰も古くからあるんです。
小林:それにしてもめっちゃ広いですよね?
上西:約10万坪あります。
寺内:10万坪!
小林:HPで拝見したんですが、鳴釡神事(なるかましんじ)とはどんなものなんですか?
上西:先ほど鬼退治の神話があると申し上げたんですけども、首をはねられた「温羅」は首だけになっても唸り声を上げて止まらなかったんです。そこで、先ほどの犬飼健命の軍用犬に食わせたんですけども、しゃれこうべになった首が、なおも唸り声をあげて止まらなかったのです。そこで大吉備津彦の神様が、竈殿(へついどの)、つまり台所なんですけれども、その窯の火を焚く所の下、2m70cmほどのところに埋めたんです。そうしましても、まだ唸り声が止まらなかったんですが、13年ほど経った頃に、大吉備津彦の神様の夢枕に「温羅」が現れまして「自分の奥さんに大吉備津彦命の食事を作らせてほしい」と、お告げをしたんです。
寺内:鬼に奥さんがいたのもびっくりだけど、自分を倒した相手の食事を作らせるっていうのも不思議ですね。
上西:古代の習俗なんですけども「食事の世話をする」というのは完全に降伏しますという意味なんです。
小林:そうなんだ!
上西:さらに「温羅」は「自分はあなたの第1のしもべとなって、このあたりの人に賞罰を与える役割をしよう」と、「禍あれば釜の音が荒らかに鳴る」といったお告げをしました。そして、賞罰を与えるというのが「市民に吉凶を知らせる」といった役割になったという伝承がありまして、釜が鳴ることから「鳴釜神事」というのが行われるようになったんです。家内安全ですとか、受験の合格祈願とか、いろいろなことでお願いに来るんですが、御竈殿に行って鳴釜神事を受けると、釜の鳴る音で神様のお答えを頂戴できるんです。
寺内:成敗した鬼が一番のしもべとなって賞罰を与えるっていうのはわかりやすく言うとどういうことなんですか?
上西:褒めることと罰すること、つまり、良いことと悪いことをお知らせしますということです。
小林:それはここ以外にやっていたりするんですか?
上西:常設で絶えずやっているのは吉備津神社くらいかなと思います。御祈祷を申し込まないと受けていただくことはできないんですけれども、案内板にQRコードがありまして、動画で様子も見れますので、是非ご覧いただけたらと思います。
小林:受験生が参拝する時に「こうした方がいいよ」みたいなことはありますか?
上西:御本殿の前でお祈り、拝んでいただいて、学問、芸能の神様をお祀りする一童社に参っていただければ。絵馬もございまして、そこでは祈願トンネルというのがありますので、多くの受験生が絵馬をかけていかれます。
寺内:トンネルになってるんですか?
上西:絵馬掛けは普通、壁みたいになっていますが、吉備津神社ではトンネル状になっていまして、側面に絵馬が掛けられるようになっています。長い受験戦争をトンネルに例えて、抜けたら明るい世界が待ってるよということですね。
小林:そのほかに吉備津神社の見所はございますか?
上西:国宝の御本殿や、その横の壮大なお社以外ですと、やはり10万坪の広い境内を長い廊下が繋いでいる回廊が見所になります。200間の長廊下と言いまして390m弱の長さとなっております。とにかく皆さん「長い」と驚かれますね。地形のままに造成せずに建てられていますので、曲線が美しいと言われています。
寺内:すごい盛りだくさんですね。ちなみに吉備団子は売ってるんですか?
上西:門前のお店にありますよ。神社にはもちろんないんですけども(笑)。
寺内:「桃太郎神社」みたいに呼びたくなっちゃうんですけど、そういう呼ばれ方はしないですか?
上西:呼ばれないですね(笑)。
小林:そこはやっぱりしっかりしてるから。逆に桃太郎神社って言ってアップルウォッチとか着けられたらちょっと(笑)。
寺内:商業の匂いがしちゃうもんね(笑)。
小林:最後になるんですけれども、受験生に向けてメッセージをいただけますか?
上西:受験というのは人生において、最初の困難に直面するときかもしれませんけれども、そこでの努力は、受験のみならず、社会に出てからも、これからの先の長い人生でもきっとご自身の役に立つと思いますので、前向きにしっかり最後まで頑張っていただけたらなと思います。
寺内:ありがたいお言葉ありがとうございます。
小林:本日はありがとうございました。
上西:こちらこそありがとうございました。
――桃太郎のモデルとされた神様を祀っている吉備津神社に伺いましたいかがでしたか?
小林:とにかく古い! っていうのが第一印象ですね。あと、より桃太郎を近く感じられて、本当に「来て良かったな!」って思う神社でしたね。
寺内:桧皮葺の屋根は重厚感がすごくて、近くで見たら圧倒されましたよね。
小林:なっげー回廊もすごかった。マジでフォトスポット!
寺内:修学旅行生も来てて、ああいうの見るとやっぱコロナが落ち着いてきたなって感じますよね。
小林:違う話になっちゃうから!
寺内:上西さんのお話が面白かったよね?
小林:今までで一番話上手かったんじゃない?
寺内:いや今までの方も上手だったよ!
小林:いやいや、俺、話のプロじゃん? そのプロが言ってんだから。
寺内:なんか感じ悪い言い方(笑)。でも本当に分かりやすいし、話も面白かった。とっても素晴らしい、吉備津神社でございました。
小林:岡山に来た際は是非ご参拝してみてください!
「吉備津神社」は桃太郎のモデルとなっていたり、美しい回廊があったりと、見所満載の神社でした。お近くに立ち寄られた際は、是非、ご参拝してみてください。
さて、次回の『おうえんしナイト』は岡山理科大学にて取材をしてまいります。ご期待ください!
<吉備津神社>
住所:〒701-1390 岡山県岡山市北区吉備津931
HP:https://www.kibitujinja.com
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