受験生を“みんな“で応援!『おうえんしナイト』
全国の受験生を応援するために、受験や教育と縁が深い、お笑い芸人・ランパンプスと一緒に様々な情報をWebコンテンツとして発信していく企画です。
全国の受験生を応援する『おうえんしナイト』、今回は愛知県名古屋市にある「大須観音」にやってきました。学徳共に高い能信上人を御祭神とする大須観音にてランパンプスが合格祈願させていただきます!
――さて、『おうえんしナイト』初の愛知県、本日お伺いするのは大須観音さんです。早速ですが、境内に入って院代の岡部快雅さんのお話を聞きにいきましょう。
小林:初めまして。ランパンプスの小林です。
寺内:寺内です。よろしくお願いいたします。
岡部:岡部です。こういうのに慣れておらず緊張していますので、お手柔らかにお願いします(笑)。
小林:いえいえ、こちらこそ。それでは「大須観音」の御由緒や創建の歴史などを教えていただけますか?
岡部:元々、大須観音は岐阜県の羽島市にあったお寺なんです。岐阜県には長良川と木曽川という大きな川があるのですが、その大きな川の間の大きな中洲に創建されました。元々は北野天満宮、つまり神社だったのです。受験生の応援の企画とのことでしたが、まさに天神様の神社ですね。そこに1333年に大須観音というお寺ができたんです。
寺内:大きな中州に?
岡部:当初は「大須観音」という名前ではなく、正式名称が「北野山真福寺寶生院」という名前なんです。そこが「大きな中洲にある観音さん」ということで「大洲観音」と呼ばれたんです。当時は「須」という字も「洲」と表記されていました。
寺内:大須観音が岐阜から、この場所に来たことで地名まで「大須」に変わったってことですか?
岡部:名古屋は当時、町がなかったので、名古屋城が創建された際に、名古屋の町を作るということになったのです。そして、一から作るよりも、どこかから持ってきたほうが早いということで、このあたりで一番大きかった清須という町をごそっと持ってきたんですよ。
寺内:清須! 清須会議で有名ですよね。
岡部:「清須越し」に合わせて、徳川家康の命で岐阜から大須観音も移動してきました。
小林:いろんなものをくっつけて作った町なんですね。
岡部:ただ、人が移動してくるのってなかなか難しいんですよ。当時は、お寺や神社など、信仰の対象を移動させると町の人たちも一緒についてきていたので、大須という岐阜の地名もこっちに持ってきたんです。
寺内:人、町を動かしたい時は寺を動かすといいんですね。
岡部:当時はそうだったようですね。
小林:それはいつ頃のことなんですか?
岡部:1612年です。
寺内:じゃあ江戸が出来立ての頃だ。
岡部:江戸ができて、名古屋城、名古屋の町を作るとなった時に、他の町からお寺をいっぱい持ってきたので、この辺りは寺町だったんです。
小林:面白い! いつも、創建の歴史を聞くと「何々という和尚さんがこうやって作って」とかっていうのを聞くんですけど、物理的な理由なのが新鮮ですね。愛知の県民性みたいのを感じますね。いろんなものを混ぜるのが上手なイメージあります。
岡部:確かに西と東が混ざった文化がありますね。
小林:観音様にはどういったご利益があるんですか?
岡部:創建の話になるんですけれども、能信上人という方が、お寺を作るにあたって、どなたを仏様にしようかということで100日間、伊勢神宮に篭られて、修行されたのですが、ある時、霊夢といって、夢の中で仏様の姿が出てきたのです。能信さんは、当時、天皇の庇護を受けていた方だったので、そのことを朝廷にお伝えして、全国を探したら、大阪の四天王寺にいらっしゃる観音様と瓜二つだったということがわかりました。それを譲り受けたんです。その観音様は、真言宗の宗祖である弘法大師空海様が掘られたものでした。
寺内:霊夢を信じてもらえたってことですか?
岡部:それだけの力がある方だったんでしょうね。
寺内:それを信じてもらえるぐらい説得力がある人だったと!
小林:先ほど「元々神社で今はお寺」みたいな話だったと思うのですが、神社がお寺になるなんてことがあるんですか?
岡部:昔は神仏習合で神社とお寺が近かったこともありますし、北野天満宮が建てられたところに「別当寺院(べっとうじいん)」と言って、神社を守るためのお寺ができたところから始まっているんです。
小林:神道と近しいところにあるお寺なんですね。
岡部:当時は、神社のそばにお寺を作ることはよくある話だったみたいですね。御利益に関しては、観音様は「これ」というお願い事はない方なんです。正式名称は「観世音菩薩」と言って、それを縮めて「観音さん」って言うんですけども、意味合いとしては「世の中の困っている人の声を、まるで目で見るかのように聞いてくださって、救ってくださる仏様」が観音様と言われています。なので、本当に困った人に手を差し伸べて、いろんな悩み事、困ったことを救ってくださる仏様なのです。
寺内:ありがたいですね。「観・世・音」。世の中の音を観るってことですね。御本尊は拝見できるんですか?
岡部:弘法大師様が彫られた観音さんは本堂にはいらっしゃるんですけど、扉の中にいらっしゃって、普段はお姿を見ていただけないんです。ですが、本当の御本尊様の前に、同じ観音様が立っていて、お姿を見られるようになっています。御開帳されるのは50年に1回なので、なかなか姿を見ていただけないですね。
小林:50年に1回!
寺内:ご覧になったことはあるんですか?
岡部:前回の、50年に1回の時はすごく幼かったので、あまり覚えはないんですけど、先日、岐阜から今の場所に遷ってきて400年の年に法要を大きくやったんです。その際に1週間だけ御開帳して皆さんに見ていただけるようにさせてもらったので、その時に見せていただきました。
寺内:それは50年周期とは別で特別に?
岡部:そうですね。次の御開帳は2030年になります。
寺内:SDGsのゴールの年だ。
小林:関係ないですね(笑)。国宝があるとお聞きしたのですがどういったものがあるのですか?
岡部:「真福寺文庫」や「大須文庫」という名前が付いているんですけども、能信さんは勉強熱心な方で、お弟子さんもたくさんいらっしゃったので、いろんなところに派遣して、お経などを写して持って帰らせていたんです。そういったものが今も残っており、国宝は4点ございます。
小林:え? これマジっすか? 古事記があるんですか?
岡部:社会の教科書に載ってる古事記の写真はこちらのものになります。
寺内:ええー!!
岡部:古文書は基本的に原本が残ってないんです。ですので、今世界で現存している一番古い写しがこちらの国宝になります。
寺内:えー! すごすぎる! よくコーヒーとかこぼさなかったっすよね(笑)。
小林:コーヒー飲みながら古事記読まねえから!
岡部:今も1万5千点ぐらいの古文書が残っています。
寺内:言ってしまえば全部国宝級ですよね?
岡部:調べればまだ出てくるだろうと思います。大学の教授さんにずっと研究はしていただいてます。
小林:多大なる功績ですね。日本が「世界一古い国」だって言えるのって、こういうものがないと言えないですもんね。
岡部:残っていたのがすごいことなんですよ。元々は中州にあって、洪水もよく起こったので、その中で当時の住職さんたちが守ってきたんです。しかも、遷ってきたこの場所も戦争でお寺が全部焼けており、たまたま、蔵が焼け残ったので今でも残ってるんです。
小林:その国宝はどうやったら見れるんですか?
岡部:基本的にお出ししてないです。ただ、所蔵は大須観音ですが、保管が難しいので、市の博物館に預けてあります。先ほどお話した400年の法要の時には博物館で大須観音展をやっていたので、そういう時に見ることができます。
小林:エグいパワーを持ってそうだよね。
寺内:守り抜いてきた国宝だもんね。この鬼面っていうのもすごいですね。
岡部:そちらも能信さんが、伊勢神宮に篭っていた時に「鬼面がお寺の守り神になるので大切にするように」ということで、今でも残ってるんです。鬼面は節分のときに御本尊の前に出してご祈祷しております。大須観音の豆まきは大きく開催するんですけど、鬼を外に出せないので「鬼は外」は禁句なんです。
寺内:じゃあなんて言うんですか?
岡部:「福は内」だけなんです。
寺内:「鬼は外」を言わないんだ! 守り神の鬼面がありますもんね。
小林:なんか「呪術廻戦」とかで出てきそうな逸話だね。
寺内:確かに(笑)。特級呪物だ!
小林:制約で強くなりそう(笑)。『おうえんしナイト』は受験生を応援するという記事なんですけれども、大須観音さんでは合格祈願もしているんですか?
岡部:北野天満宮の流れを汲んでいるお寺なので、私たちのお寺の紋は梅鉢なんです。これは菅原道真公の紋なんですよ。
岡部:ですので、合格祈願や学業成就のお参りに見える方はすごく多いですね。毎日、火を焚いてお護摩祈祷をしています。また、受験シーズンになると、天神様の自筆と言われている絵がこちらに残っていまして、それが描いてある合格祈願の絵馬に名前を書いてお参りされる方が多くいらっしゃいます。
小林:ほかにも大須観音の見所はありますか?
岡部:本堂の前に大きな提灯があるんですけど、それが数年前に新しくなっています。あれだけのサイズの提灯はなかなかないので、見ごたえあると思いますよ。
小林:お守りはどんなものがあるんですか?
岡部:合格祈願のお守りは、先ほどの天神さんの絵馬が付いたお守りになっています。また、観音様は本当にいろんな困っている人の声を聞いてくださる方なので、多種多様のお守りがございます。
寺内:この歯歯塚(ハハヅカ)というのは、抜けた歯を供養する塚なんですか?
岡部:「歯塚」というのは結構あるのですが、「歯歯塚」と二つ重ねているのは、抜けた歯と義歯のどちらも収めることができるからなんです。納めてもらったものを年に1回、8月8日に供養させてもらっています。
小林:歯の供養ってどうするんですか?
岡部:お経をあげさせていただいて、納めてもらった歯を全部ご供養させていただいてます。
寺内:結構な量ですよね?
岡部:ですので、我々だけじゃなくて、愛知県の歯科医師会さんと合同で行っています。我々が法要をやって、歯医者さんの方で処分をしていただいています。
小林:ミステリー小説の完璧なトリックに使えそう(笑)。
岡部:人形塚もございまして、その隣には松尾芭蕉の句碑がございます。
寺内:ほんとだ。「いざさらば 雪みにころぶ 所まで」か……いや、改善の余地あるな。
小林:松尾芭蕉に「プレバト」すんじゃないよ!
岡部:他にも、日本舞踊の方などが使っていた扇の「扇塚」や、大須発祥の大正琴を法要する「大正琴発祥の地碑」もございます。
寺内:いろんな人たちに愛されて親しみを持たれていたから、暮らしに馴染んだ塚ができてるんですね。
岡部:ありがたいことです。
小林:最後に、受験生に向けてのメッセージをいただけますか?
岡部:お寺に合格祈願に行くと仏様の姿を見ることが出来ると思います。逆に仏様もこちらを向いて私たちの事を見て下さっています。受験は結果が出るものなので不安な気持ちはあると思います。しかし一生懸命頑張っている姿をちゃんと仏様は見てくれていますので、安心してしっかりと勉強に集中して、頑張って頂ければと思います。
寺内:温かいお言葉ありがとうございました。
岡部:こちらこそありがとうございました。
――大須観音の岡部さんにお話を伺い、見所満載な大須観音を一通り見て周りましたがどうでしたか?
小林:「ここから名古屋ができた」というダイナミックな話を聞いて、町とお寺っていうのは切り離せないもんなんだなって改めて感じましたね。
寺内:国宝の古事記を所蔵しているのはびっくりしたよね。あれ? 古事記のイントネーション合ってたか?
小林:文字なんで大丈夫です(笑)。
寺内:教科書で見ていた古事記が大須観音のものだって知って興奮したし、しかもそれが「ガンポン」じゃなくて写されたものだったのも初めて知りましたね。
小林:ガンポン? どういう字?
寺内:原っぱの原に本。
小林:「ゲンポン」じゃない?
寺内:いや、文字だから大丈夫でしょ(笑)。
小林:ああ、文字に起こしたら一緒か……なんか納得いかない!
寺内:人形塚もめちゃくちゃ大きかったし、歯歯塚もすごいしっかりしてたよね。
小林:地域密着っていう感じがしましたよね。お話に出なかったけど十二支の守り本尊も立派だったし。
寺内:しかも北野天満宮から始まってるから、学業の御利益も間違いないよね。
小林:お寺なのに絵馬があったり、お寺と神社の良いところを併せ持ってる感じがしましたね。
寺内:珍しいけれど、馴染み深いというか、とてもいいお寺だと思いましたね。近隣の方は是非、大須観音にお参りしてほしいな。おすすめです!
大須観音は、貴重な国宝を有した北野天満宮の流れ汲んだ学業成就に最適なお寺でした。観音様は困っている全ての方を救ってくださるとのことですので、どんな方でもお近くに立ち寄られた際は、是非、ご参拝してみるのはいかがでしょうか。
さて、次回の『おうえんしナイト』は国立大学である名古屋大学に伺って取材をしてまいりますので、ご期待ください!
<大須観音>
住所:〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須2丁目21-47
HP:http://www.osu-kannon.jp/
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