受験生を“みんな“で応援!『おうえんしナイト』
全国の受験生を応援するために、受験や教育と縁が深い、お笑い芸人・ランパンプスと一緒に様々な情報をWebコンテンツとして発信していく企画です。
全国の受験生を応援する『おうえんしナイト』、今回は兵庫県神戸市にある「湊川神社」にやってきました。
「智・仁・勇」の三徳を備えた聖人、南北朝時代の名将、楠木正成(くすのきまさしげ)公をお祀りしている湊川神社にてランパンプスが、偉人たちに多大な影響を与えた楠木正成公の正体に迫ります。まさに受験勉強のヒントとなる言葉がふんだんに出てきますので、是非、ご一読ください。
――さて、それではさっそくですが秘書課広報室の鈴木智子さんにお話を聞いてみましょう。
小林:吉本興業のランパンプスです。よろしくお願いいたします。
鈴木:鈴木と申します。よろしくお願いいたします。名刺の裏にSNSも載っておりますのでよろしければ見てください(笑)。
小林:やっていることが新しいっすよね!
寺内:インスタ1と2があるんですけど、プライベートと仕事用ですか?
鈴木:いえ、2種類作っておりまして……ちょっと今は使い分けができてないんですけど。
小林:じゃあ1個でいいっすね(笑)。
鈴木:そうなんですけどね(笑)。1つは美しい神社の姿、日本の文化を発信するもので、もう1つはダンスとか……いや、私のじゃないですよ? まあ、私も入ってはいるんですけど……。
小林:え? 鈴木さんもダンス踊るんですか?
鈴木:1回だけ流行っているやつを踊りました(笑)。
小林:なるほど、そっち系のだ!
鈴木:皆さんが、神社や神職さんに親しみを持っていただく入口になればと思って始めたんです。
寺内:最近「社長、社長!」みたいな質問する動画とか流行ってるから「神主、神主!」みたいな感じでやったら流行りそうですよね。
鈴木:やりたいですね! ですが……ちょっと……神社界では最先端を行きすぎていたみたいです。
小林:そうなんですか? だけど、どう考えても上が固い業態ではないですよね? だって、入ってくるとき見ましたけど、夕方から境内がビアガーデンになるんですよね?
鈴木:普段からそうなわけでなくて、今日から夏祭りだから特別です。
寺内:他の神社じゃまずやらないですよ。
鈴木:皆さんに、堅苦しくなく親しんで頂きたいとの思いもあり毎年開催してるんです。
小林:それでは改めまして湊川神社のご由緒をお聞かせいただけますか?
鈴木:湊川神社は神社の中では比較的新しく、明治5年に創建されました。皆さんがびっくりされるのは、新しいということと、御祭神が実在した楠木正成公であることです。ただ、皆さんがよく知っておられる「天神様」つまり菅原道真公も実在されていた方ですし、新しいところでは明治天皇をお祀りしているのが明治神宮ですから、よく考えれば珍しいことではないんです。
小林:楠木正成公とはどんな方なのですか?
鈴木:楠木正成公は鎌倉時代末期の大阪河内の武将なんですけれど、教科書には出てこないので受験生には馴染みがないかもしれませんね。
寺内:僕、漫画を読むんですけど、少年ジャンプで「逃げ上手の若君」という鎌倉時代を舞台にした漫画があって、それに楠木正成公は強キャラとして出てきますよ。
鈴木:今でも好きな方は好きなんですが、歴史の中で表舞台に立ったのが5~6年ぐらいしかないんです。後醍醐天皇に召し出され、活躍し、この地で亡くなられました。1336年に42歳で亡くなられたのですが、没後約700年です。一般的に歴史の人物の物語は「亡くなられました → 終わり」となるのですが、楠木正成公の場合は亡くなられた後にも生き続ける、というか、語り継がれています。
小林:ゴッホみたいですね!
鈴木:ちなみに特に関西の方々は楠木正成公のことを楠公(なんこう)さんって親しみを込めて呼んでいます。
寺内:大阪とか関西って飴ちゃんとか「ちゃん付け」したりしますもんね(笑)。
鈴木:江戸時代になると、いろんな方が楠公さんを崇敬するのですが、水戸黄門として有名な徳川光圀公が日本にとって大切なのは楠公の心だ、と強く思って楠公さんのお墓を立てました。その後、吉田松陰、坂本龍馬、西郷隆盛、勝海舟など、ほぼ全ての幕末の著名な方がそこにお参りし「楠公さんのようになりたい」「命を掛けてお国のために活躍をしたい」と願ったんです。
寺内:水戸黄門が建てたお墓に坂本龍馬がお参りしたんだ! すごい話ですね!
鈴木:そして明治維新が起こり、新しい国づくりをして行く中で、日本を強く、自立した国にしなければならないとなり「そのためには楠木正成公が歴史上で一番大事なんじゃないか」と明治天皇がお考えになり、楠木正成公をお祀りする神社を建てましょうということで創建されたのがこの神社になります。
寺内:明治天皇まで!
鈴木:楠公さんが亡くなった場所が、境内の北西隅、墓所が南東隅にあります。つまり、亡くなった場所とお墓を対角線に結ぶ四角形の土地が湊川神社になったんです。その土地を定めたのが初代兵庫県知事の伊藤博文です。伊藤博文はその後初代の総理大臣になりますね。
小林:本当にめちゃくちゃ有名な人たちに愛されていたんですね。
寺内:芸人なら絶対に売れる形だね(笑)。周りからその没後評価されたのは、戦略や戦術がすごかったっていうことですか?
鈴木:そういうことではないんです。強かったのはもちろんそうなんですけど「なんのために戦ったか」ということが周りから崇敬を集める理由でした。
寺内:忠義みたいなことですか?
鈴木:昔はそういわれていましたが、忠義というと現代の皆さんには伝わりにくいと思うので、本質を解りやすく言い換えようと思っています。楠木正成公は、自分のため私利利益ではなくて、公(おおやけ)のためを思って戦っていました。この国のあるべき形や、国民といった「最大公約数」が一番幸せになるにはどうしたらいいのかっていうことを常に考えて戦われた武将だと思います。たとえば、戦国時代の武将はまずは自分の国が勝たなきゃいけないんです。でも、戦って戦って戦いすぎて、戦国時代の末期は、国中が荒れていました。そんな中、明との貿易や宣教師の来航など外国のことも視野に入れなければならない。そのためには日本を1つの国としてちゃんとまとまらなければならなかったんです。そこで「国の中で戦っていていいのかどうか、日本という国づくりというのを考えないといけないんじゃないか」ということを楠木正成公の姿を見て気づき始めたのが戦国武将でした。
小林:幕末の方々はよりその辺を考えてそうですね。
鈴木:幕末の時代は、アジアの国々がたくさん植民地になっていた状態で、日本も植民地なるところだったのを、幕末の方たちが食い止めたわけです。
小林:その人たちが崇拝しているのが楠公さんなんですね。
寺内:それなら明治天皇も「神社を作ろうよ」ってなるわけだ。
鈴木:「歴史上で尊敬する人物って誰ですか?」と聞くと、吉田松陰や坂本龍馬などが多いと思いますが、同じように、その吉田松陰など幕末の偉人たちに「尊敬する人物は誰ですか?」と聞いたならば、「楠木正成公」と皆、討幕派佐幕派関わらず、当時の人、又武士だけではなく庶民も口をそろえて言うということです。
寺内:芸人だとすると大師匠ですね。
小林:つまり「エンタツアチャコ」だ!
寺内:いや、そうだけど、若い子知らないと思うよ。漫才の祖、エンタツアチャコ師匠のことは(笑)。
小林:松本人志さんもエンタツアチャコ好きですからね。あとは松本人志さんが憧れるのはオール阪神・巨人師匠とか。つまり、楠公さんは僕らからするとオール阪神・巨人師匠ってことですか?
鈴木:テレビ界のことに詳しくないんですけど、お笑いの礎を作った方ですね。その例えでいうと、この前の朝ドラの「わろてんか」の頃の方たちが「ないもの」から「笑いってこうだ」みたいな、本質を頑張って追求していった形に近いんじゃないかなと思います。松本人志さんとかオール阪神・巨人さんは笑いの形を大きく広げた方で吉田松陰とかに近いんじゃないかと。
小林:笑い論になっちゃった(笑)。
鈴木:もっといい例えがあるかもしれませんけど。笑いの本質は落語にあるとか? 全然知らないんですけど(笑)。
寺内:いえ、おっしゃるとおりです。勉強になります!
小林:楠木正成公以外の神様も祀っているんですか?
鈴木:勉学の神様の天神さんと、商売繁盛のお稲荷さんを祀っています。他にも境内の外の御本殿の接社という小さい社には楠木正成公の奥様、息子さん、そして、ここで亡くなられたご一族の皆様16柱と熊本の菊池武吉卿をお祀りしています。
寺内:お墓があった場所ってことですもんね。
小林:湊川神社にはどんな御利益があるんですか?
鈴木:楠木正成公は「智・仁・勇」の三徳を兼ね備えた武将と呼ばれています。昔は知恵といったら、勝ちそうな武将に味方をして、勝ち馬に乗るのが常だったんです。ですので、負けそうになると裏切ることもあるし、勝つためには何でもしてもいい、という考え方だったんです。でも、楠公さんは日本の国にとって、公にとって何が一番大事なのか、そして、武士という私人が日本を治めるのではなくて、皆、天照大神から繋がる皇室の元に集まって品行方正に国民全員生きましょう、ということを考えられた人なんです。皆が「勝ちたい、勝ちたい」という私利私欲が常識だった時代に「利他」のため、そして、公のために行動ができるという考えが「智」なんです。
寺内:本当に素晴らしいですね。
鈴木:「仁」というのはもちろん仁義です。敵をも見殺しにせずに救う。江戸城の無血開城のような余分な血は流さなくてもいい作戦をたくさん練り、それまでの戦い方とは違う戦い方をされたんです。時代時代の常識に則った当たり前の行いではない行いをするのは勇気がいることだと思うんです。それが「勇」です。ただ勇敢だとか、強いだとか、そういう意味だけじゃなくて、当時の常識とは違っても自分の意思を貫き通せるっていうのが「勇」ですね。それらを理由に「智・仁・勇」の武将と言われています。若い方にとっても一番大事なことではないかと思います。「なぜ自分が頑張りたいのか、何のために頑張るのか?」と自分の心に問いかけるんです。そうするとさらに強くなれます。
寺内:最大公約数の利他であり、仁義を通し、批判されてもやり続けるっていうのは、まさに湊川神社のインスタ2にぴったりですね(笑)。
小林:いいえ!
鈴木:(笑)。
寺内:なので、上から怒られてもダンスをし続けてほしいなあ(笑)。
小林:「智」がないのよ。「仁」もない。勇気しかない(笑)。
寺内:そんなことないよ。素敵だよ。「智・仁・勇」という精神は受験生だけでなくインフルエンサーにもぴったりだなと。
小林:「綺麗にまとめてます!」みたいにしゃべっているけど意味わかんないからね。
小林:湊川神社のおすすめポイントがあれば教えください。
鈴木:当社の建物は、戦争で焼けてしまい、昭和27年に新しく建て直しました。戦争が終わったばかりで物資がない状況の中、当時一番高価な資材である鉄筋コンクリートで建てられました。今では木造で何百年も経っている建築がすごいと思われるかもしれないですけれど、建てられた当時、貧しくて、焼け野原だった時の人々が立ち上がるための心の礎にとして建てられた時代背景を知ると、今では珍しくない鉄筋コンクリート作りの素晴らしさがわかると思います。その御本殿のお賽銭箱のところから中を覗いていただけるようになっているんですが、天井画が164点あるんです。
寺内:天井に絵が描かれてるってことですか?
鈴木:天井に絵が1つ1つはまっているんです。それも全国の有名な日本画家の方々が昭和27年に無償で書いて奉納してくださいました。
小林:受験生のお守りなどでオススメのものはありますか?
鈴木:難関突破御守りっていうのがございます。
寺内:あ、すごい! かわいらしい!
小林:なんか思ったのと違った!
鈴木:楠木正成公が数々の難関を突破したということで、裏に楠公さんの兜が書いてあります。
小林:ポケモンのカラーだ。
寺内:火、草、水だね(笑)。
小林:君ならどれを選ぶ?
寺内:ヒトカゲ、フシギダネ、ゼニガメ……僕はフシギダネ!
小林:鈴木さん……フシギダネですって。
寺内:「ですって」はやめたれ(笑)。
小林:でも、あなた漫才の衣装が緑ですからね。難関突破ですよ。M1グランプリ行くぞという気持ちを込めろ!
寺内:ダネダネッ!!
小林:最後に受験生にメッセージを一言お願いします。
鈴木:勝ち負け、合否に拘らず、自分の志を持ってほしいですね。正成公が後醍醐天皇に初めてお会いしたときの言葉が太平記に書いてあるのですが、「合戦の習(ならい)にて候へば、一旦(いつたん)の勝負をば、必ずしも御覧ぜらるべからず。正成一人未だ生きて有りと聞こし召され候はば、聖運遂(つい)に開かるべし、と思(おぼ)しめされ候へ。」とあります。一時の結果に一喜一憂せずに人生は長いスパンなので合格しても、そこが合わないかもしれなし、第二志望に行っても良いこともあるかもしれない。ですので、まずは自分というものをしっかりと持ち、将来何をしたいのかというのを考えながら受験というマラソンを走り抜いてほしいと思います。100m走で早く走るコツは「走り抜けて10m先をゴールだと思って走れ」って聞いたことがあるんですが、そういうふうに先を見ながら広い視野を持って受験勉強を頑張ってほしいと思います。
小林:受験はあくまで通過点だと! まさに「智・仁・勇」ですね! 素晴らしい言葉でございました。
寺内:いや、本当に良い言葉! ありがとうございました!
鈴木:こちらこそ、ありがとうございました。
――改めまして湊川神社の感想をお願いいたします。
小林:お祀りされている楠木正成公が、歴史上のスーパースターたちがファンだったと知って、楠公さんについて調べてみたくなりましたね。
寺内:あそこまで慕われていたって聞くと、どういうものを残したのかっていうのを詳しく知りたくなるよね。その遺志を継いで、今の神主さんとか、お話ししてくださった鈴木さんもお勤めされてるわけだから、まあ、頻繁にSNSはチェックしておきたいなと(笑)。
小林:フォローした?
寺内:インスタ、フォローしたよ。でも、踊ってるほうは途中で更新止まってた(笑)。
小林:怒られたな(笑)。
寺内:御本殿の天井の絵は迫力あったよね。
小林:まさに「迫力」だよね。ドカンと目に入ってきた!
寺内:本当に圧巻なので、遠方からも行く価値あるよね。あと、境内で「楠公さんを大河ドラマに!」っていうキャンペーンやってたね。
小林:あれだけの方ならいずれ本当に大河になるかもしれないよね!
寺内:「どうする楠公」!
小林:「どうする家康」とさすがに被りすぎてるから!
寺内:楠木正成公の大河ドラマ絶対面白いと思うので、皆さんも応援してほしいと思います。 きっと楠公さんなら難関突破してくれるでしょう!
湊川神社は日本を作ってきた歴史上のスーパースターのスーパースターである楠木正成公をお祀りし「智・仁・勇」を伝える地域に開かれた神社でした。お祭りの際は、境内がビアガーデンとなるとのことです。どんな方であっても楠木正成公の「智・仁・勇」の教えは人生を生きていくためのヒントになるかと思いますので、お近くに立ち寄られた際は、是非、ご参拝ください。
さて、次回の『おうえんしナイト』は始まって以来の初の「芸術大学」、神戸芸術工科大学にて取材をしてまいります。ご期待ください!
<湊川神社>
住所:〒650-0015 兵庫県神戸市中央区多聞通3-1-1
HP:https://www.minatogawajinja.or.jp/
『おうえんしナイト』では頑張る受験生を応援すべく、リスナーの皆様からのご意見や情報を募集しております。ランパンプスの二人に取材してほしい“あなたの街のおすすめスポット”や“合格祈願にまつわるスポット”など受験生に役立つ情報を特設サイトまでお寄せください。
おうえんしナイト
この企画は、全国の受験生を応援するために、受験や、教育と縁が深い、お笑い芸人・ランパンプスと一緒に様々な情報をWebコンテンツとして発信していきます。