追悼・三輪勝恵さん 幅の広い演技で昭和アニメに命を吹き込む

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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1193回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

三輪勝恵さん ※写真提供:青二プロダクション / ~Blu-ray「パーマン <1967年版> Blu-ray【想い出のアニメライブラリー 第138集】」より (C)藤子プロ (C)スタジオゼロ・TMS

三輪勝恵さん ※写真提供:青二プロダクション / ~Blu-ray「パーマン <1967年版> Blu-ray【想い出のアニメライブラリー 第138集】」より (C)藤子プロ (C)スタジオゼロ・TMS

2024年7月1日、声優の三輪勝恵さんが6月19日に逝去されていたことが発表されました。

増山江威子さんにTARAKOさん、松野太紀さんと、昭和・平成のアニメ文化を支えた人気声優の方々の訃報が相次ぎ、アニメファンのみならず、日本国民が悲しみに包まれている昨今。またひとり、三輪勝恵さんという昭和を代表する声優が旅立ってしまったことに、驚きを隠せない人も多いことでしょう。

そこで今回は、声優・三輪勝恵さんをクローズアップ。私、八雲ふみねも大好きだった三輪さんの代表作「パーマン」を中心に、昭和アニメが令和にもたらす影響力にも迫ります。

三輪勝恵さん ※写真提供:青二プロダクション

三輪勝恵さん ※写真提供:青二プロダクション

元気な少年少女から老婆まで、幅広い演技で昭和のアニメキャラクターに命を吹き込む

耳なじみの良いキュートな声が印象的で、多くの人に愛された三輪勝恵さん。幼い頃は児童劇団に所属し、子役として活躍。国民的幼児番組「おかあさんといっしょ」の初代ぬいぐるみ人形劇「ブーフーウー」では、子ぶた三兄弟の次男・フーの声を演じたことでも知られています。

その後、声優として様々なアニメキャラクターの声を担当。「あさりちゃん」では、元気いっぱいのおてんば少女・浜野あさり。「オバケのQ太郎」では、Q太郎の相棒的少年・大原正太。卵の殻をかぶった姿が愛らしい小さなひよこ「カリメロ」のカリメロ役や、鳴き声が特徴的な「ウッドペッカー」のウッドペッカーなど、列挙するとキリがないほど。

そうそう、「じゃりん子チエ」で演じた、チエの親友・平山ヒラメ役も忘れられません。エピソードによっては、ヒラメちゃんが中心人物に据えられることもあり、その愛嬌ある声と演技に魅了されたものです。

そんな中で、三輪勝恵さんの代表作と言えば、やはり「パーマン」です。

~Blu-ray「パーマン <1967年版> Blu-ray【想い出のアニメライブラリー 第138集】」より (C)藤子プロ (C)スタジオゼロ・TMS

~Blu-ray「パーマン <1967年版> Blu-ray【想い出のアニメライブラリー 第138集】」より (C)藤子プロ (C)スタジオゼロ・TMS

日本を代表する漫画家・藤子不二雄名義で執筆された児童漫画が原作。マスク、マント、そしてバッジを“パーチャク”。さらに、身代わりとなるコピーロボットを起動。想像を絶する怪力や空を飛べる能力を手に入れて、世のため人のために活躍するパーマンの姿を、軽快なギャグに乗せて描いたヒーローアニメです。

「実は子どもの頃、『パーマン』が大好きだった!」という熱烈なファンが絶えない屈指の名作で、主人公・須羽ミツオことパーマン1号を演じた三輪勝恵さん。1967年から放送された第1作、1983年から放送された第2作、そして最近では、川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムで上映されている短編アニメにもパーマン役で参加するなど、その歴史は半世紀以上。実に57年に及びます。

これだけ 長期にわたり、ひとつのキャラクターを演じ続けてこられて、しかも声が昔と変わらないことには、ただただ驚かされるばかり。おっちょこちょいだけど正義感が強く、4人のパーマンたちのリーダー的存在であるミツオの声を聴くと、懐かしさとともに自分の幼少の頃の記憶までよみがえってくるような感覚を覚えてしまいます。

~Blu-ray「パーマン <1967年版> Blu-ray【想い出のアニメライブラリー 第138集】」より (C)藤子プロ (C)スタジオゼロ・TMS

~Blu-ray「パーマン <1967年版> Blu-ray【想い出のアニメライブラリー 第138集】」より (C)藤子プロ (C)スタジオゼロ・TMS

いま、改めてアニメ「パーマン」を見てみると、アニメ第1作と第2作で設定の違いはあれども、作品の底辺には“本当の正義とは何か"を問いかける永遠不変なテーマが流れていることに気付かされます。
どんな子どもにも、やがて訪れる“自立の時”。その時が来てもずっと忘れずにいてほしいことが、昭和の児童向けアニメにはしっかりと根付いていたように感じます。だからこそ、令和の時代に観ても、世代を問わず愛される独創的な作品が多いのでしょう。

~Blu-ray「パーマン <1967年版> Blu-ray【想い出のアニメライブラリー 第138集】」より (C)藤子プロ (C)スタジオゼロ・TMS

~Blu-ray「パーマン <1967年版> Blu-ray【想い出のアニメライブラリー 第138集】」より (C)藤子プロ (C)スタジオゼロ・TMS

新・旧「パーマン」の魅力

「パーマン <1967年版> Blu-ray【想い出のアニメライブラリー 第138集】」

1967年から1968年にかけて放送されたモノクロ版「パーマン」。原作者の藤子・F・不二雄生誕90周年を記念して、全108話のうち、第31話と第93話を除く106話を収録したBlu-rayが発売となりました。

三輪勝恵さん演じるミツオの元気で明るい声は、今も変わらず観る人に勇気と希望を与えてくれます。

~「ドラえもん&Fキャラオールスターズ ゆめの町、Fランド」より  (c)Fujiko-Pro

~「ドラえもん&Fキャラオールスターズ ゆめの町、Fランド」より  (c)Fujiko-Pro

「ドラえもん&Fキャラオールスターズ ゆめの町、Fランド」

『ドラえもん』の「ゆめの町、ノビタランド」と「なんでも空港」を原案としたオリジナルストーリー。ドラえもん、コロ助、おばけのQ太郎にエスパー魔美。藤子・F・不二雄先生が生み出したキャラクターたちが勢揃いし、ワクワクが止まらない!

三輪勝恵さんが最期に演じたパーマンの勇姿も、是非ご覧あれ。

末筆ではありますが、三輪勝恵さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

<作品情報>

『パーマン <1967年版> Blu-ray【想い出のアニメライブラリー 第138集】』 (C)藤子プロ (C)スタジオゼロ・TMS

『パーマン <1967年版> Blu-ray【想い出のアニメライブラリー 第138集】』 (C)藤子プロ (C)スタジオゼロ・TMS

『パーマン <1967年版> Blu-ray【想い出のアニメライブラリー 第138集】』
2024年6月28日Blu-rayリリース
価格:¥38,500(税抜価格 ¥35,000)
品番:BFTD-0490
発売元:ベストフィールド
販売元:TCエンタテインメント<キャスト>
声の出演:三輪勝恵、大竹 宏、栗 葉子、加茂嘉久、白石冬美、勝田 久、近藤高子、菅谷政子、肝付兼太、野村道子、江美京子、島田 彰 ほか<スタッフ>
原作:藤子・F・不二雄
脚本:広田 清、浪江志摩、中野健次、たむら・たつお、小林 準、三春こうじ ほか
演出:鈴木伸一、岡部英二、長浜忠夫、大隅正秋、前川治男、斉藤 博 ほか
音楽:筒井広志
主題歌:「ぼくらのパーマン」(作詞:藤子不二雄 / 作曲・編曲:越部信義 /歌:三輪勝恵、石川 進)
制作:東京ムービー(現:トムス・エンタテインメント)、スタジオゼロ

関連サイト https://www.tc-ent.co.jp/products/detail/BFTD-0490

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『ドラえもん&Fキャラオールスターズ ゆめの町、Fランド』 (c)Fujiko-Pro

『ドラえもん&Fキャラオールスターズ ゆめの町、Fランド』 (c)Fujiko-Pro

『ドラえもん&Fキャラオールスターズ ゆめの町、Fランド』
川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム内「Fシアター」にて上映中
(c)Fujiko-Pro

公式サイト https://fujiko-museum.com/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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