Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1204回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、9月13日から公開の『スオミの話をしよう』と『アビゲイル』をご紹介します。
『スオミの話をしよう』三谷幸喜監督、5年ぶりの新作映画
大河ドラマ「13人の鎌倉殿」をはじめ、数多くの大ヒット作を世に送り出し、日本中に笑いと感動を届け続けている三谷幸喜。5年ぶりに脚本と監督を務めた映画最新作『スオミの話をしよう』が、ついに劇場公開となりました。
突如失踪した大富豪の妻と、彼女を愛した5人の男たちが繰り広げるミステリー・コメディ。新たなる三谷幸喜ワールドの幕開けです。
『スオミの話をしよう』のあらすじ
著名な詩人・寒川しずおの妻・スオミがいなくなった。知らせを受けて寒川の豪邸を訪れた刑事・草野圭吾は、すぐにでも捜査依頼を出すよう主張。しかし寒川は、大ごとになるからと言って、その提案を拒否する。
実は、草野はスオミの元夫。やがて寒川邸には、スオミの過去を知る男たちが次々と集まってくる。血の気の多い庭師、怪しげなYouTuber、情にもろい警察官。
スオミの安否のことなどそっちのけで、自分がいかにスオミに愛されていたかを熱く語り合う5人の男たち。
ところが彼らが知っているスオミは、それぞれ別人かと思うほど、見た目も性格もバラバラで……。
『スオミの話をしよう』のみどころ
主人公・スオミを演じたのは、長澤まさみ。「いつか長澤さんと映画をやりたいと思っていた」という三谷幸喜監督からの熱烈なラブコールを受け、初の三谷映画への出演が実現しました。
相手の男性によって見せる顔が変化するスオミ。彼女に内在する5つの側面を演じ分けると同時に、ひとつのキャラクターとして確立させていく。難しい役どころながら、それを感じさせない演じっぷりに、長澤まさみの俳優としての底力を感じさせられます。
そんなスオミと対峙する現夫&元夫に扮したのが、西島秀俊、松坂桃李、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎という豪華な面々。日本のエンターテンメント界きっての実力派俳優陣がクセ強なキャラクターを生き生きと演じる姿に、笑いが止まらなくなる人も多いはず。
さらに三谷作品常連の瀬戸康史に宮澤エマ、三谷演出作品初参加となる戸塚純貴が加わり、賑やかに作品世界を盛り上げていることも見逃せませんよ。
ワンシーンワンカットの長回しを多用し、映画でありながら、まるで演劇を見ているかのような面白みに満ちた本作。中でも、物語の舞台となる寒川の豪邸を縦横無尽に動き回る俳優たちの演技が、ユーモラスかつ秀逸。三谷幸喜監督の演出力が光っています。
一瞬たりとも目が離せない、三谷幸喜映画の真骨頂。キャストが華やかに歌い踊るミュージカルシーンまで、とくとご堪能あれ。
『アビゲイル』怖くてキュートな吸血鬼が大暴れ!
大富豪の娘であり、バレリーナのアビゲイルを誘拐した、犯罪グループ6人組。5000万ドルの身代金を手に入れるため、彼らは郊外の屋敷で少女の身柄を拘束する。
だが、彼女の正体は吸血鬼。
屋敷に監禁されてしまった誘拐犯たちは脱出を試みるが……。
“バレリーナ・ヴァンパイア”という設定が斬新な、新感覚のサバイバル・アクションスリラー。華麗に舞いながら誘拐犯に襲いかかっていく。アビゲイルの怖くてキュートな魅力が炸裂しています。随所にブラックユーモアが盛り込まれており、ホラー映画でありながら、コメディとして楽しめる要素もあり。
ホラー好きにとっては外せない一作です。
<作品情報>
スオミの話をしよう
2024年9月13日(金)から全国東宝系にて公開
脚本と監督:三谷幸喜
出演:
長澤まさみ
西島秀俊 松坂桃李 瀬戸康史 遠藤憲一 小林隆 坂東彌十郎
戸塚純貴 阿南健治 梶原善 宮澤エマ
製作:フジテレビ 東宝
制作プロダクション:エピスコープ
配給:東宝
(C)2024「スオミの話をしよう」製作委員会
公式サイト https://suomi-movie.jp/
<作品情報>
アビゲイル
2024年9月13日(金)から全国ロードショー
監督: マット・ベティネッリ=オルピン タイラー・ジレット
出演: メリッサ・バレラ、ダン・スティーヴンス、キャスリン・ニュートン、ウィル・キャトレット、ケヴィン・デュランド、アンガス・クラウド、アリーシャ・ウィアー、マシュー・グード、ジャンカルロ・エスポジート
原題:ABIGAIL
配給:東宝東和
(C)2024 Universal Studios
公式サイト https://www.universalpictures.jp/micro/abigail
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連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/