受験生を“みんな“で応援!『おうえんしナイト』
全国の受験生を応援するために、受験や教育と縁が深い、お笑い芸人・ランパンプスと一緒に様々な情報をWebコンテンツとして発信していく企画です。

受験生を応援するため全国各地を飛び回る『おうえんしナイト』。
今回、お伺いする大学は広島県呉市にある海上保安大学校になります。海上保安大学校の創立の歴史や教育方針、入試情報などをランパンプスが取材してまいります!

――それでは、大学内に入って海上保安大学校・訓練部学生課学生第一係の鈴木亜実さんにお話しを聞きに行きましょう。

小林:ランパンプスと申します。よろしくお願いします。
鈴木:鈴木です。よろしくお願いします。海上保安大学校の訓練部学生課という学生の指導等を行っています。
小林:アミーゴは生徒とbe togetherしてる?
寺内:いや、「すずきあみ」だけど(笑)! 世代じゃないから絶対わかんないって!

鈴木:私の母親世代で同じ名前というお話で聞いております(笑)。
小林:鈴木さんは、元々こちらの卒業生だとお聞きしたのですが?
鈴木:はい。令和4年度に卒業して2年間、船に乗った上で教官をしております。
小林:2年で教官ってすごく早いんじゃないですか?
鈴木:私は27歳なんですが、この年で教官をしている人は結構いますよ。
寺内:そうなんだ! おもにどういったことをされているんですか?
鈴木:学生寮に学生と一緒に泊まって、例えばベッドメイクですと、学生研修生はベッドの上に毛布、タオルケットを畳んで毎日綺麗に整頓するのですが、出来ていない者がいれば指導します。
小林:姑みたい(笑)。
寺内:やめろ! それも船上生活の訓練の一部になっているんですよね。
鈴木:ベッドメイクで「シワが少しでもあるな」という意識付けの結果、船の中の小さな異常に気付けるようになるんです。

寺内:散らかっていると、ネジとか混じってる可能性あるからね。
小林:え? ネジ(笑)?
鈴木:(笑)。
小林:海上保安大学校の創立の歴史について教えていただけますか?
鈴木:海上保安大学校は1951年4月に設立され、6月に東京都江東区の方に仮校舎が建てられ、第一期生を受け入れました。そして翌年の1952年、こちらの広島県呉市に移転しました。
小林:海上保安庁自体はいつからあったんですか?
鈴木:1948年、昭和23年です。
小林:終戦が昭和20年でしたっけ?
寺内:戦後すぐに海上保安庁ができて、3年後に育成のために海上保安大学校ができたんですね。
鈴木:この地に70年近くあって、現在2,900名の幹部職員を輩出しております。
寺内:すげー!
小林:一学年に何人くらい在籍しているんですか?
鈴木:高卒向けの4年制の本科と、大卒向けの2年制の初任科という課程があり、本科生は毎年60~65名ほど、初任科生は30名ほどです。本科生に関しては4年制なので、現段階で本科生のみで206(ふたひゃくろく)名になります。
寺内:やっぱり「ふた」っていうんすね(笑)。

鈴木:すみません(笑)。
小林:海上保安大学校が掲げる教育理念を教えてください。
鈴木:「人格の陶冶(とうや)」と「リーダーシップの涵養(かんよう)」という教育理念がございます。(※注・陶冶:才能や性質などを練って作り上げること。涵養:自然にしみこむように養成すること。)
寺内:「陶冶」と「涵養」って言葉、初めて聞きました!
鈴木:これから幹部海上保安官になっていくものとしての規律支援や、リーダーシップを求められるので、そういった力をこの学校で養ってもらうことを教育理念として挙げています。
寺内:即戦力にならなければいけないですもんね。
小林:大学校ってことは、もう働いてるわけだしね。
寺内:確かに!
鈴木:学生時代に人を指導したり、チームを引っ張っていた経験がない子にも、日々指揮をしてもらいます。海上保安大学校での教育を経たのちは、現場巡視船艇の若手幹部として上司もいながら部下もいる立場になるので、部下を引っ張っていく力が重要になってきます。そのため、学年が上がるにつれてしっかり指揮ができるようにならければならないんです。
寺内:つまり、リーダーだらけってことですか?
鈴木:そうですね(笑)。

小林:『世紀末リーダー伝たけし』だ(笑)。
寺内:鈴木さんは高校時代、皆を引っ張っていくタイプだったんですか?
鈴木:いえ、まったくでしたね。一応、部長はしておりましたが。
寺内:何部だったんですか?
鈴木:美術部なんです。
寺内:え!? 美術部部長が海上保安大学校に!? まあ、美術部って「縦が厳しい」って言いますもんね。
小林:ないない! ないよ。

鈴木:運動をあまりやったことがない子たちもいるんですよ。
寺内:勝手に、映画『海猿』みたいな運動好きなマッチョな方が多いのかなって思っていましたけど、そんなこともないんですね。
小林:鈴木さんはデッサン一発で入ったんですよね?
鈴木:私はちゃんと公務員試験等を乗り越えて入りました(笑)。

小林:課程、コースはどういう形になっているんですか?
鈴木:先ほどお話したように、まず、本科と初任科という課程があります。
寺内:高卒組と大卒組みたいなイメージですよね。
鈴木:一学年は基礎的な教養を学び、二学年の10月から航海科、機関科、情報通信科の3コースに分かれます。航海科は船の操船や、海上交通安全法などを学びます。
寺内:道路交通法の海バージョンみたいなことですか?
鈴木:はい。機関科は船のエンジン、発電機などの工学的なことを学び、情報通信科は通信機器のことなどを学びます。
小林:モールス信号も習うんですか?
鈴木:訓練でやりますね。
小林:愛してるのサインみたいな?

寺内:そんな単純じゃないだろ!
小林:(モールス信号のマネで机を叩く) 。「あれ? 隣の人、モールス信号で喋ってんな」みたいなことはあるんですか(笑)?
寺内:ここに通っている人は、全員分かっちゃうから暗号にならないんだよ!
鈴木:(笑)。実際に海の上に浮いているブイも、ものによっては発光して、モールス信号のように、例えば英語の「A」を表す光り方をしているものがあったりするんです。
寺内:シグナルになってるんだ!
小林:学内を歩かせてもらったら、思ったより女性が多いと思ったんですよ。
鈴木:現在、女性は三分の一ほど在籍しています。徐々に増えてきていますね。
小林:そもそも鈴木さんはなぜ、この大学を目指したんですか?
鈴木:もともとは警察関係の仕事に就きたいと思っていたんですけど、海上保安大学校の資料を調べていた際に「遠洋航海の世界一周」というキーワードに魅力を感じて、入りたいと思ったんです。

小林:99万円で世界一周?
寺内:それ、居酒屋のポスターのやつ(笑)! 実際に世界一周はできたんですか?
鈴木:私たちの代はコロナで行けなかったんですよ。
小林:かわいそう! いつか行けるように願っております。
鈴木:ありがとうございます(笑)。
小林:海上保安庁として求められる資質、また、今後どのようなスキルが必要になってきますか?
鈴木:近年は、海上保安業務が高度化、多様化していることもあり、これまでの幹部海上保安官に求められるスキルに加え、新たに国際的なコミュニケーション能力、語学力、国際法や海洋政策に関する知識などのグローバルな視野も必要になってきたことが挙げられます。

寺内:授業でもそういったことは学ぶんですか?
鈴木:国際法などは専門的な分野として習っていきます。
寺内:入学前にその辺りを押さえておくべきですか?
鈴木:当然、その側面もございます。しかし私自身、高校生の頃は国際法に触れたことなんてなかったのですが、学校に入って教官方に丁寧に教えていただけましたので、そこまで心配することはないとも思います。
寺内:確かに国際法を知っている高校生っていないですよね(笑)。
鈴木:あと、海上保安庁と海上自衛隊を混同している方も多いと思うのですが、例えば「海上自衛隊はどこまでの段階になったら出動するのか」、「海上保安庁はどういう権限を持ってるのか」といったことも大学で学びます。
寺内:語学も学ぶんですか?
鈴木:英語と、第二外国語として中国語、韓国語、ロシア語もいずれか1つを学びます。
寺内:接する機会が多そうな国々ですね。
小林:他の大学にはない実務教育などはありますか?
鈴木:本校は全寮制なのですが、各学年がそれぞれ混在する部屋になっており、その中でリーダーシップを涵養していくというところは本校ならではかと思います。
小林:同級生じゃなくて違う学年の方と一緒の部屋なんですか!?
寺内:10人部屋もあるんですよね?
鈴木:その中でも一学年3名、二学年3名などバラバラなんですよ。
小林:それは大変だよ。YouTubeでPL野球部の寮生活を見たけど、「立浪が怖かった」って言っていたもん (笑)。

寺内:そんなイメージあるけど(笑)!
小林:受験の種類と内容を教えていただけますか?
鈴木:海上保安大学校に入学するには、本科(高卒程度)または初任科(大卒程度)の入学試験に合格する必要があります。本科については、第1次試験で“基礎能力試験(多肢選択式)”、“学科試験(多肢選択式・記述式)”及び“作文試験“が課されます。初任科については、“基礎能力試験(多肢選択式)”及び“課題論文試験”が課されます。
小林:学科試験の教科はなんですか?
鈴木:学科試験では、数学と英語の試験が課されます。幅広く優秀な人材を確保するため、2022年度採用試験から「物理・化学」がなくなりました。
寺内:物理と化学の負担分が減ったことにより数学に専念できるんだ。

鈴木:そして、一次試験をクリアした人たちは二次試験として身体検査、体力検査、人物試験(個人面接)を実施します。
小林:体力検査って何をするんですか?
鈴木:反復横跳び、鉄棒両手ぶら下がりですが、海上保安官として職務を遂行するために必要な基礎体力が備わっているかを確認するためのものです。その後に面接となります。
小林:推薦はないんですよね? つまり、「実力で上がってこい。お前ら海を守るんだろう」ってことですね (笑)。
寺内:海猿感が強い(笑)。
小林:卒業生はどのような現場で働いているんですか?
鈴木:卒業した後は、全国にある大型の巡視船に乗って主任航海士、主任機関士、主任通信士として働きます。
寺内:いきなり主任なんだ!
小林:年上の部下もいますよね?
鈴木:私が行ったところにはいましたね。
小林:鈴木さんはパッと行って、きちっとできたんですか?
鈴木:私たちよりも経験を積んでいる年上の部下がフォローしてくれたので、出来る時は出来ました(笑)。その際に、いろんな情報、意見、部下の声を聞いて、上司に届けながら船として上手く回せるか、というところが求められます。

寺内:いきなり主任で巡視船ってすごいよね?
小林:踊る大捜査線のギバちゃんだよ。
寺内:事件は現場で起きてんだよね(笑)。
鈴木:見てないです。すみません(笑)。
ランパンプス:(笑)。

寺内:高校の同級生は海上保安大学校で教官をしているなんて、びっくりするんじゃないですか?
鈴木:まだ会っていないので、どうなんでしょうね。
小林:「亜実、絵描いていたじゃん! それなのにいつのまにか海、守っちゃってさ」ってなってるでしょ(笑)?
鈴木:意外ではあると思います(笑)。一般の大学も考えたんですけど、そこで特別やりたいことがあるわけでもなかったので、警察のような仕事ができる海上保安大学校にしたんです。
小林:ありがとうございます!

鈴木:(笑)。
寺内:やっぱり、帽子をかぶっている時じゃないと、敬礼はしないんですか?
鈴木:まだ、ちょっと慣れていなくて……すみません(笑)。
小林:実は、寺内さんのお父さんは警察官だったんですよ。
鈴木:そうなんですか!?
寺内:鈴木さんの憧れの存在です!
小林:あなたに憧れてはいないから! お父さんが実際に「帽子かぶってない時は敬礼しねえから」って言っていたんですよ(笑)。

寺内:よく覚えているね(笑)。
小林:海上保安大学校では、どんな学生に入学してもらいたいと考えていますか?
鈴木:私の中には「こんな人がいい」というのはありません。というのも、私自身が、高校時代に文化系で、運動が得意ではなくて、人を引っ張っていくような人間じゃなかったのですがそんな私も今こうやって海上保安大学校の教官をしております。実際、今の学生研修生の中にも、苦手なことを頑張って、乗り越えている子たちがいます。ですので「警備の仕事がしたい」というだけではなく、自分を変えたい、成長したい、と思う人たちにも、ぜひ入ってもらえたらと思っています。

小林:今の言葉はグッときた!
寺内:実体験も交えたメッセージがすごく伝わってきたね!
鈴木:うまくいかなくて悩むことは4年間の中で絶対にあると思います。大学を卒業されて入ってこられる方でも、人間関係であったり、勉強内容について悩むことも多いかと思います。けれど、同期と協力して乗り越えてきていますので、一緒に成長して学べると思っています。
寺内:どんな学生でも一緒に成長していこうよ、ということですね。素晴らしい!
小林:これぞ海上保安庁! 荒波にみんなで……ね!

寺内:「みんなで」のあとなんだよ(笑)!
小林:最後に、今、頑張っている受験生にメッセージをお願いします。
鈴木:受験期は悩みが多いと思いますが、少しでも自分を変えたい、頑張ってみたい、と思う人たちと一緒に頑張っていけたらと思っています。試験は大変だと思いますが、自分の体を大切にして、悔いのないように勉強を頑張ってもらえたら。
寺内:教官、感動しました!
小林:教官! 本日はありがとうございました!

鈴木:(笑)。こちらこそありがとうございました。

――それでは、学食へ向かいましょう。海上保安庁の船が入港する日の定番メニューはカレーとのことですので、本日はお二人とも同じメニューになります。

小林:見た目だけで具が多いのがわかるね。
寺内:そもそもルーが多い!
小林:この、絶対に割れない皿ね。久しぶりに給食を食べるみたいな気持ちです(笑)。それでは、いただきます!

小林:いや、恐ろしいぐらい具が入ってますね。
寺内:本当だ。すげえ!

小林:寺内さんの顔が近づくと、具が小さく見えちゃうから(笑)! うん、美味しい!

小林:辛みがゼロの甘めのポークカレーですね。実家のカレーみたいでいい感じ!

寺内:万人が食べれるようになっているんだね。それにしても食堂の回転が速い! 富士そばぐらい入れ替わってます(笑)。
小林:富士そばより速いよ!
寺内:さて、私は……これよ!

小林:教官に怒られるやつ!
寺内:いただきます!

寺内:うまっ! 落ち着く味です。足湯にしたいくらい(笑)。
小林:気持ち悪い表現だな!
寺内:具材が多くて栄養満点! カレーの日に来れてよかった! ただ、もうちょっとスプーンは大きい方がいいですね。
小林:いや、それヨーグルト用!

寺内:コクがあって美味しい! 野菜の角が死んでいないから手作り感がありますね。
小林:ただ、めちゃくちゃ大盛りです(笑)。
寺内:僕でも全部完食するのは大変なんで、小林さんはもう諦めてるでしょ?
小林:はやく「よし!」って言われたい(笑)。
寺内:でもルーをもらって、ご飯は自分でよそうスタイルだから食堂がどうこうではなくて、職員さんが多く盛ってくれただけだね(笑)。
小林:もうお腹いっぱい! でも、これは学生にはありがたいよ。

寺内:ごちそうさまでした!
――海上保安大学校という特殊な専門領域の学校でしたがいかがでしたか?
小林:アミーゴ教官の最後のメッセージは本当に気持ちが入っていてグッときましたね。
寺内:自分も体力に自信がなくてリーダーシップを発揮するタイプではなかったけど、4年間の生活で変われたから、変わりたいと思っている人なら誰でも来てくださいって、素敵だよね。
小林:それくらい自分が変わった自信があるんだろうね。
寺内:あと通っている学生さんがみんな、「立派」っていう言葉が似合う方々でしたね。学食を通った時、みんな、「ラス! ラス!」って挨拶してくれたもんね(笑)。
小林:大型犬がいるのかと思ったよ(笑)。
寺内:食器を片付ける時も「ごそさっした!」って(笑)。それぐらい礼儀を重んじているんですよ。
小林:だから日本の海は平和なんだよね。
寺内:さて! 次回……学生インタビュー! 乞うご期待!
小林:そんなの今までやってなかったじゃん(笑)。
次回の『おうえんしナイト』は海上保安大学校の後編としてランパンプスが在学生にインタビューしてまいります。ご期待ください!
<海上保安大学校>
住所:〒737-8512 広島県呉市若葉町5番1号
HP:https://www.academy.kaiho.mlit.go.jp/
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おうえんしナイト
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