#3 高橋由伸・亀井義行・小笠原道大(巨人)3者連続HR
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◎2008年4月3日 東京ドーム
中日 0 1 1 0 3 0 0 0 0 = 5
巨人 0 0 0 1 0 0 5 0 X = 6
HR (中日)和田1号
(巨人)小笠原1号・2号 高橋由1号 亀井1号
「バッターは小笠原。第2球を投げた! ……打ちました! これもライトに上がった!ホームラン! ホームラン! ホームラン! 第2号の勝ち越しホームラン! 3連発! ジャイアンツ、何度もこれまでの悪夢を引き払うかのごとく3連発、高橋由伸、亀井、そして小笠原! 見事な川上からのホームラン! 文句なしのホームランで、今ホームイン! 逆転! 6対5! ドラゴンズサイドから考えると、なんと信じられない川上の3連発被弾!ジャイアンツはお祭り騒ぎ!」(実況:胡口和雄アナウンサー)
2008年、原辰徳監督率いる巨人は開幕から苦境にあえいでいた。ヤクルトとの開幕3連戦で3連敗を食らい、続く中日戦でも2連敗。なんと開幕5連敗を喫したのである。
2007年、巨人は5年ぶりのペナント奪回を果たしながら、この年から始まったクライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージで中日に3連敗。このときは優勝チームにアドバンテージはなく、先に3勝したほうが勝ち上がり、というシステムだったため、日本シリーズ進出を逃すという悪夢を味わっていた。
そこで2007年オフ、巨人軍フロントは大型補強に打って出た。ヤクルトから打点王のラミレスと最多勝投手のグライシンガー、そして横浜の守護神だったクルーンを獲得。同じセのライバル球団から外国人3人を獲得するというなりふり構わぬ補強は、リーグ連覇と日本一奪回が至上命題だったからだ。
この新戦力を武器に、2008年は開幕ダッシュを決めるはずが、まさかの開幕5連敗。チームは重苦しいムードに包まれた。5連敗を喫した4月2日の試合後、高橋由伸(以下「由伸」)はチームメイトの上原浩治と一緒にいた。2人は共に1975年4月3日生まれ。33歳の誕生日をお互いに祝い合うはずだったが、祝いの席は「どうしたらチームは浮上できるのか?」を論議する場に変わった。まずは目の前のプレーに集中して、とにかく1つ勝とう。1勝すればきっと風向きは変わるはず……同い年の2人はそう誓い合った。
なんとか1勝を、という気持ちは、大卒4年目の亀井義行(現・善行)も同じだった。外野のレギュラー候補として期待されながら、3年目の2007年は一軍出場がわずか20試合に終わった。そこで亀井はオフに由伸と自主トレを共にして、先輩からいろいろと教えを請うた。その甲斐あって、開幕6戦目の前夜に2番・センターでスタメン出場を告げられた亀井。中日先発・川上憲伸の投球をビデオで何度も観て試合に臨んだという。
巨人移籍2年目の小笠原道大も、5連敗中2度も最後の打者になるという屈辱を味わっていた。とにかく、みんなが何とかしようと燃えていた。迎えた開幕第6戦・中日戦。この日も試合は巨人劣勢で進む。7回ウラ開始時点で1-5。開幕6連敗がチラつく中、この日の巨人打線は違った。2死一・二塁のチャンスを作ると、打順は上位に回って1番・由伸。川上とは東京六大学野球以来のライバルでもある由伸は、真ん中に入ってきた甘い球を見逃さず、逆方向の左翼席に叩き込んだ。
由伸のバースデー3ランで4-5と1点差に迫ると、2番・亀井も左翼席へ連続アーチを浴びせ、一気に同点に追いついた。東京ドームが沸き上がる中、3番・小笠原も続く。「下だけは向くのをやめよう。いつか光は差してくる」……そんな思いを込めて、内角高めの速球をフルスイングすると、打球は右翼ポール際にスタンドイン! 3連発を川上に浴びせて6-5と試合をひっくり返した巨人は1点リードを守り抜き、待望のシーズン初勝利を挙げた。
この2008年のセ・リーグは、阪神が前半戦で独走。巨人は最大13ゲームも引き離されたが、9月に12連勝で一気に追いつくと、阪神との直接対決にも勝って逆転Vを飾った。「メークレジェンド」と呼ばれた球史に残る大逆転劇は、由伸・亀井・小笠原が思いを一つにした3連発がその起点となった。
<チャッピー加藤>