『襲名』市川團十郎×市川新之助、ヴェネチア受賞作がスクリーンに

By -  公開:  更新:

Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1332回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、9月25日公開の話題作の中から『襲名』と 『ハート・オブ・ウルフ』をご紹介します。

『襲名』市川團十郎×市川新之助、ヴェネチア受賞作がスクリーンに

画像を見る(全14枚) (c) Kazuko Wakayama

※写真は「第83回ヴェネチア国際映画祭」レッドカーペットにて。

『襲名』市川團十郎×市川新之助、ヴェネチア受賞作がスクリーンに

(C)2026 K2 Pictures・3Top

『襲名』歌舞伎の名跡継承を通して、歌舞伎界の“今”を映し出す

9月12日まで開催された「第83回ヴェネチア国際映画祭」でアウト・オブ・コンペティション部門最優秀賞を受賞した映画『襲名』。

レッドカーペットでは市川團十郎が、歌舞伎の演目『男伊達花廓(おとこだて はなのよしわら)』の江戸一番の男伊達である御所五郎蔵(ごしょのごろぞう)の衣裳で登場。カンヌ・ベルリン・ヴェネチアの世界三大映画祭のレッドカーペットを歌舞伎の衣裳で歩くのは、史上初の試み。世界各国から集まったメディアを前に見得を切る姿が話題となりました。

映画『襲名』は、「十三代目市川團十郎白猿」と「八代目市川新之助」の親子同時襲名披露を正面から捉えたドキュメンタリー映画。日本の伝統芸能である歌舞伎の名跡継承を通して、歌舞伎界の“今”が壮麗に映し出されます。

『襲名』市川團十郎×市川新之助、ヴェネチア受賞作がスクリーンに

(C)2026 K2 Pictures・3Top

『襲名』のあらすじ

江戸歌舞伎の中心として歌舞伎の歴史を築き、300年以上続く大名跡「市川團十郎」。市川海老蔵が十三代目市川團十郎白猿を襲名し、その大名跡が復活することとなる。同時に息子・堀越勸玄が、八代目市川新之助を襲名。

これは、歌舞伎界にとっても喜ばしいニュースであり、時代の節目となる大切な催しだった。
しかし2020年5月から7月に予定されていた興行は、新型コロナウイルスの影響でやむなく延期となる。

そして2年半の時を経た2022年11月、ついに歴史的舞台の幕が開ける……。

『襲名』市川團十郎×市川新之助、ヴェネチア受賞作がスクリーンに

(C)2026 K2 Pictures・3Top

『襲名』のみどころ

メガホンを取ったのは、本作が自身初のドキュメンタリー映画となった三池崇史監督。市川團十郎と三池崇史監督が映画作品を共に作り上げるのは、『一命』『喰女-クイメ-』『無限の住人』に続き、この『襲名』が4作目。

「十三代目市川團十郎白猿襲名披露」の舞台裏と成田屋の歴史に迫った映像からは、市川團十郎と三池監督の深い信頼関係が感じられ、「継承」と「個」の狭間で揺れる表現者・市川團十郎の覚悟と葛藤がスクリーンから伝わってきます。

そして、ナレーションを俳優の杏が務めているのも大きな特徴。落ち着いた語りが歌舞伎の世界を紐解いてくれるので、「歌舞伎はあまり詳しくなくて……」という人も安心して楽しむことができますよ。

また襲名披露公演の祝幕を手がけた現代美術家・村上隆による制作工程を垣間見ることもできることも、見どころのひとつとなっています。

『襲名』市川團十郎×市川新之助、ヴェネチア受賞作がスクリーンに

(C)2026 K2 Pictures・3Top

圧巻なのは、「十三代目市川團十郎白猿襲名披露興行」の舞台映像。團十郎が演じる『勧進帳』の弁慶、『助六由縁江戸桜』の助六。成田屋の十八番に挑む姿はひたすら美しく、華のある一挙手一投足に目を奪われるばかり。

そして新之助が演じる『外郎売』の外郎売実は曽我五郎は、成長著しい姿を見ることができ、彼がやがては市川團十郎を継ぐ人なのだと思うだけで 、えも言われぬ感動が込み上げてきます。

まさに歴史的瞬間に立ち会っているかのような興奮を覚える一作です。本作を観て、私もまた歌舞伎座に足を運びたくなりました。

『襲名』市川團十郎×市川新之助、ヴェネチア受賞作がスクリーンに

(C)2026 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

『ハート・オブ・ビースト』人間と犬の絆を描いた感動ストーリー

デビッド・エアー監督との再タッグが実現した、ブラッド・ピット主演最新作『ハート・オブ・ビースト』。退役軍人ジェームズと、義足の元軍用偵察犬オーディン。彼らはかつて、陸軍特殊部隊で生死を共にし、今でも相棒として深い絆で結ばれている。

ある時、アラスカ上空を飛行中にアクシデントが発生。「魔の領域(ハート・オブ・ビースト)」と呼ばれる奥地に不時着してしまい……。

マイホームへの生還を目指して、過酷な大自然の中で生き抜くジェームズとオーディン。大切な相棒を見つめるブラッド・ピットの表情が慈愛に満ちていて、年輪を感じさせる深みのある演技に魅了されます。そしてオーディンの危険をも顧みない献身的な行動に、これまた胸を打つことしきり。

号泣必至の感動作。映画館に足を運ぶ時は、ハンカチをお忘れなく。

『襲名』市川團十郎×市川新之助、ヴェネチア受賞作がスクリーンに

(C)2026 K2 Pictures・3Top

<作品情報>
襲名
2026年9月25日(金)から全国ロードショー

出演:市川團十郎 市川新之助
ナレーション:杏

監督:三池崇史
祝幕:村上隆
製作:紀伊宗之
プロデューサー:田中傳次郎 坂美佐子
制作プロダクション:オー・エル・エム. PlanD
協力:松竹 日本俳優協会
配給:K2 Pictures
(C)2026 K2 Pictures・3Top
特別協賛:飯田グループホールディングス
協賛:⻄日本シティ TT 証券 都築育英学園 成田市 アイレクス 山梨中央銀行 卯月 林業 ファミリーコーポレーション ブッシュクロフィード スタジオぴえろ ティーアールズ

公式サイト https://k2pic.com/film/shumei

『襲名』市川團十郎×市川新之助、ヴェネチア受賞作がスクリーンに

(C)2026 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

<作品情報>
ハート・オブ・ビースト
2026年9月25日(金)全世界同時公開

出演:ブラッド・ピット J・K・シモンズ アンナ・ラム

監督:デヴィッド・エアー
製作:デイミアン・チャゼル マーティン・ボーウィン ブラッド・ピット
脚本:キャメロン・アレクサンダー
原題:Heart of the Beast
配給:東和ピクチャーズ・東宝
(C)2026 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
公式サイト https://heart-of-the-beast.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

Page top