山寺宏一が「古今亭志ん朝の落語」を見たあの日
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アニメ『昭和元禄落語心中』のテレビ放映に合わせた「アニメ×落語×声優」の異色コラボイベント「声優落語天狗連」。 その3回目となるイベントが、昨晩、「としまミュージアム」の一環として豊島公会堂を会場にして開催された。
「声優落語天狗連」は、年100本近くのアニメイベントMCを務め、落語研究会出身のニッポン放送アナウンサー・吉田尚記と、同じくアニメ好きにして落語研究会出身、イベント「渋谷らくご」をプロデュースする学者芸人・サンキュータツオのダブルMCが、放送期間中の定期イベントとして展開。
1月23日に行われた第1回は、小夏役・小林ゆうさんとのLIVEコメンタリーと入船亭扇辰師匠の『鰍沢』、2月21日に行われた第2回は、声優石井マークさんによる「声優落語チャレンジ」と、立川志ら乃師匠の『時そば』に酔いしれた。
そして、迎えた「第三回」。
これまでよりも大きくなった会場には、和服姿の女性も多く見かけられ、抽選で選ばれた700名以上もの客が訪れた。
MC2人によるオープニングトークの後、アニメ『昭和元禄落語心中』で二代目有楽亭助六役を好演中の山寺宏一さんがトークゲストとして登場。
「エヴァンゲリオン」の加持さん、「アンパンマン」のチーズなど数多くのアニメはもちろん、「フルハウス」ジョーイおじさんを始めとする吹替えなど、様々な役を担当している。
今回演じた二代目有楽亭助六役は、「‘実際に演じた落語’を提出する」というオーディションを経て選出されており、その話題に触れると、「受かった後に、断ってやろうと思っていた(笑)けど、実際はやりたくてたまらなかった。」と笑顔で語った。
ステージでは、名シーンをみながら「オーディオコメンタリー」を実施したが、そこで未発表の事実が明らかにされた。アニメ全体はもちろん、落語シーンにも台本があるのだが、アドリブを加えていたというのだ。アニメのカットごとに秒数を計り、台本にアドリブを加えていったという秘話。「初めて、ストップウォッチを手にもって、カットに合わせてレコーディングした」と語る山寺さんに、会場中から感嘆の声があがった。
そんな山寺さんは、東北学院大学在学中に、落語研究会に所属していた経歴をもつ。
落研時代には、「転失気(てんしき)」や「豆屋(まめや)」、「酢豆腐(すどうふ)」、「宮戸川(みやとがわ)」などの笑わせる落語を多く覚え、口演されていたというエピソードに始まり、アイドルでもないのに「部内恋愛禁止」だったというエピソードまで飛び出した。
最後に、予定になかった話が飛び出した。
山寺さんが、新宿で後輩と待ち合わせをしていた時のこと。
早めに新宿に着いた山寺さんは、新宿末廣亭へと向かったのだそう。
その日の主任(トリ)は、山寺さんが大好きな落語家、名人・三代目古今亭志ん朝師匠だった。
志ん朝師匠の落語を堪能し、待ち合わせ場所に戻った山寺さん。
後輩に「志ん朝師匠の落語を寄席で見れた!これを見れるのはすごいことだ!」と熱く語っていると、
隣を通りかかった知らない人が「私もそう思います!」と語りかけてきた。
たまたま同じ寄席を見ていた人だったようで、2人であつく握手をしたというエピソードだ。
さらに、このエピソードには続きがあった。
その後輩というのが、アニメ『昭和元禄落語心中』で、三代目有楽亭助六役を演じる関智一さんだというのだ。
落語が繋いだ奇跡に、会場中から感嘆の声と大きな拍手が送られた。
【LINK】
『昭和元禄落語心中』公式サイト
『声優落語天狗連』公式サイト