リオオリンピック・体操男子団体で金メダルを獲得した、加藤凌平選手、内村航平選手、白井健三選手、田中佑典選手、山室光史選手、の5人に、ニッポン放送の垣花正アナウンサーがインタビューしました。
(スタジオでの聴き手は1984年のロサンゼルスオリンピック種目別・鉄棒で金メダル、跳馬では銀メダル、体操団体で銅メダルを獲得した森末慎二さん)
垣花)先週、森末慎二さんにわかりやすく説明いただきました。予選1位を通過することが、団体金メダルへの最短距離であると。
森末慎二)それが蓋を開けてみると予選はボロボロで、オリンピックに飲まれちゃったのかなと思いました。ただ、試合が終わってみると中国がトップでしたが、270点と少し。275点くらいとると思っていたのですが、日本は269点と少し。日本と中国は1点と少ししか差はなかった。それを見た瞬間に「これは行けるかも」と思いました。
垣花)つまり、日本体操陣がいつも通りのことをやれば金メダルを獲ることができるのだということを証明した団体金メダルでした。
森末)大きなミスはあん馬の山室の落下だけで、あとはほとんどノーミスに近い演技をしたということは素晴らしいことだと思います。
垣花)その加藤凌平選手、内村航平選手、白井健三選手、田中佑典選手、山室光史選手、5人に私、垣花がインタビューしました。
垣花)団体金メダル、おめでとうございます。予選から振り返ってお聞きしたいのですが、4位と出遅れた後、皆さんが宿舎などでどういう会話をしたり、どういう過ごし方をしたのかということを伺いたいのですが、内村さんどうですか?
内村)特別なことは何もせずに、いつも通り。終わってしまったことはどうしようもできないので。ミスの原因はみんなわかっていたので、それで開き直ることができ、決勝でのいい演技につながったのだと思います。
垣花)言葉を掛け合ったというようなことは意識してやらなかった?
内村)そうですね。そこまではしなかったですね。
垣花)白井さん、いかがでしょう。
白井)ミスがない演技をすれば日本が勝つということは全員がわかっていたことなので、そのミスのない演技を決勝でできるように、特に言葉はなく、間の一日を調整しました。
加藤)みんないつもと変わらない生活を送って、いかに体を休めるかを考えました。後は個々で修正するだけなので、開き直ってできたと思います。
田中)自分たちの力を出せば金メダル獲れると思っていたので、自分たちを信じてやりきるだけだと。
山室)失敗がけっこう多かったので、決勝までの間にもう一回確認して、あとはやるべきことをやるだけと思って整えました。
垣花)みなさんに共通の質問です。この5人は世界一○○なチームと名付けるなら、なんというチームになるでしょうか。
白井)言葉なくして繋がれる5人なので、団結力は世界一強いと思います。
加藤)チームワークの金だと思うので、チームワークの一番強いチームだと思います。
田中)団体金と言い続けて団体金を獲ったチームだと思います。
垣花)つまり、有言実行ということですね。山室さんいかがでしょう。
山室)団結力は本当に一番かなと思います。
内村)僕は世界一メンタルが強いチームじゃないかなと思います。どこの国の選手を見ても、団体決勝で、平常心でできていたところは少ないと思いました。この5人がみんな落ち着いてできていたというところが金メダルにつながったと思います。それはメンタルが強いからだと思います。
垣花)本当にそうですね。あの展開からの持ち直しですものね。
白井さんは初めてのオリンピックですが、感想を一言でいうと?白井)予選で力が入ってしまったのですが、オリンピックだからと思ってしまいました。なので、決勝は力を抜いてやろうと思い、気楽にやった結果がいい自信につながりました。そこでオリンピックの感覚が掴めたかなと思います。
垣花)白井さんという頼もしい後輩を見て、先輩たちがどういうふうに見えているのかを伺いたいのですが。
岩室)普段はおちゃらけているのですが、体操をする時に自分の世界に入る集中力が強い。そのギャップがすごいなと思います。
田中)若さでこの落ち着きすぎるチームを盛り上げてくれます。
加藤)代表歴はあまり変わらないので、もうベテランでもあるのですが、練習見てると若さあふれて生き生きとしていますね。
内村)僕は小さい時から、コイツは宇宙人なんだろうなって思っていたんですけど、団体決勝でらしくない健三を見て、やっぱコイツ人間なんだと。宇宙人とのハーフになりました(笑)。
垣花)という先輩たちの突っ込みを受けて白井選手、どうでしょう。
白井)いや、十分人間じゃない人たちの集まりだからこそ、金メダルを獲れたのだと思います(笑)。
垣花)個人総合ですが、追う展開というのはこれまでめったにないですね。
内村)そうですね。追う展開は今までなかったですね。
垣花)このオレグ・ベルニャエフ選手が平行棒ですごい点を出しました。あの時はどんな気持ちでしたか?
内村)演技は見ていません。場内アナウンスで点数は聞こえてくるので、どえらい点だしやがったな、あの野郎という感じでした(笑)。でも冷静に思っていたのですが、やっぱり平行棒では自分も点数を上げて行かないと最後に追いつけないなというように思ったので、そこで力みが入って、狙いに行き過ぎた部分があった。鉄棒ではそれが逆に冷静になれ、それがいつも通りの自分の演技につながったのかなと思います。
垣花)平行棒の反省点をふまえて鉄棒で修正したということですね。
内村)そうです。
垣花)鉄棒の前の差が0.99。
内村)点差ははっきりとはわかっていませんでした。自分の演技をして着地を止めたら勝てるチャンスはあると思って演技をして、そのままできました。
垣花)勝利が決まった瞬間は?
内村)正直、負けたと思ったので、それから点数が出て、何秒か遅れて「あ、勝った」ということが分かって、わかった瞬間は勝手に叫んでいましたね。
垣花)聞いたら、着地がちょっとずれただけで0.1の減点なんですってね。ということは0.099差というのは紙一重ですものね。
内村)着地一歩もなかったので運でもありますし、最後ベルニャエフが二歩動いたと聞いたので、着地を止めたか止めなかったかの差が最後に出たのだと思います。
垣花)最後に一言お願いします。
内村)日本中の皆さんに応援していただいて、期待もしていただき、若干プレッシャーを感じている部分もあったのですが、それをうまく跳ね除けて団体の金メダルを獲ることができました。金メダルを獲ったことで皆さんに感謝の気持ちは伝わったと思います。帰ったらまたみなさんに感謝の気持ちを伝えたいと思います。