「高嶋ひでたけのあさラジ!」(月~金:午前6時~8時)では
23(水)と24(木)の2日間、JRA生え抜きとしては実に16年ぶりの女性騎手として今年、鳴物入りでデビューを果たしたばかり。
まだ19歳の藤田菜七子騎手に茨城県稲敷郡の美浦トレーニングセンターでお話を伺ってきました。
美浦トレセンに来たのって、私、生まれて初めてなんですよ。厩舎がズラ~ッと並んでて圧倒されますけど… ここには、いくつ厩舎があるんですか?
藤田)美浦の厩舎は全部でだいたい100くらいはあったと思います。
そんなにあるんですか。この広い敷地の施設、ぜんぶ道案内できます?
藤田)なんとなくは分かります。
随分と慣れてきたようですね。ずっとこちらのほうで生活をしてるんですって?
藤田)歩いて10分くらいのところの寮に住んでます。
その寮… 女性は菜七子さんだけ?
藤田)わたしだけです。
そうかぁ(笑)。いや、さっき初めてお目にかかったとき、ホントに藤田菜七子騎手なの?というのもね、カラダはちっちゃくても、もっとガッチリした人を想像してきたんですよ。こう言っちゃなんですが、えらく華奢な感じですよね。
藤田)もっとトレーニングしないといけないですね(笑)。
いえいえ、そういう意味で言っているわけじゃないんですけど。なんでも、朝3時に起きるんですってね。
藤田)夏のこの時間は、だいたいそのぐらいの時間です。
何するんですか? そんな早い時間から。
藤田)まず厩舎に来て、馬に乗ります。
よく重賞レースの前なんかはテレビの取材なんかが入ったりして、追いきりがどうしたとか、やってますよね。ああいう練習を毎朝しているってことですか?
藤田)はい、馬の状態を見て。
ひとくちに馬に乗ってって言いますけどね、私なんか観光地でいわゆるパカパカ行く農耕馬に乗ったことがあるだけなんですけど、乗るとえらく目線が高くなって、怖いじゃないですか? こんなこと訊くのも今さらですけど、怖くないですか?
藤田)最初乗ったときは、まず、面白いなって思いました。
おもしろい!?
藤田)高いし、揺れるし、普通に生活してたらこんなことないので。ホント、面白いなぁと思って。
ハハハ!じゃあ、今の若い子がAKB48に憧れたりね、そんなのと気分は一緒なんですかね?
藤田))そうかもしれないです。
ところで騎手としての訓練を早朝からやって、そのあとってのは、どんな感じなのでしょうか?
藤田)朝に馬の調教をして、午後の作業は厩舎をまわったり… って感じです。
全部馬は覚えているもんですか?
藤田)だいたいは覚えていますよ!
またがってみると、それぞれの馬っていうのは、一頭一頭、違うものですか?
藤田)全然違うと思います。大きさとかも違いますし、背中の形とかも違いますし、歩き方とかも全然違うので。
ははは!じゃあ馬は馬で、背中で感じてるんでしょうね。お? こんな騎手なんだなーって。
藤田)どうなんですかね(笑)
馬って賢いって言いますけど、今までどんな経験してますか?
藤田)一緒に馬場に調教に行くんですけど、あまりそういうのをしたくないコは、「もう行きたくない!」って感じで、動かなっちゃったりとかするんです。
でもそういうのも、今後は、菜七子さんが手なずけるやり方を学んでいくんでしょうね。
藤田)そこがなかなか難しいんですけど(笑)。
ご両親は菜七子さんが騎手になりたいと言ったときに、どんな反応だったんですか?
藤田)やりたいならやればいいんじゃない?って。
ご兄弟は何人?
藤田)高校生の弟がひとりいます。
こないだ菜七子さん、19歳になったばかりですもんね。弟さんはなんて言ってます?
藤田)弟は馬にも乗らないので…
なら、たまにお姉さんを見たら、見違えちゃうでしょうね。騎手の姿でね。
藤田)そうですね(笑)
女性ただひとりということで、一番戸惑ったことはなんでしたか?
藤田)それこそ、メインで取り上げてもられると思ってなかったですし、わたしの中では別に女性がジョッキーをやっても普通というか…そんなに珍しいことではないかなと思っていたので、そういうところに戸惑いました。
いや、珍しいことですよ。ずいぶんとまた、素直なところで戸惑ってたんですね(笑)。ちなみにココにずっといて、お休みはどうなってますか?
藤田)月曜日は休みです。
月曜日のお休みの時は、美浦のトレセンから出てっていいんですか?
藤田)あ、出てっても全然大丈夫です。
だれかついてくるとか、そういうこともない?
藤田)ないですね。普通に実家に帰ったりとか、地元の友達と遊んだりとか。
そういう時間があるとホッとしますね!4月のデビューから、これまでに何鞍乗っているんですか?
藤田)200鞍くらいは乗せてもらったと思います。
全国各地で乗っていますよね?
藤田)そうですね。いろんな場所で乗せてもらっています。
私の記憶では3月3日のひな祭りに川崎競馬場でデビューしたんですよね。最初のレースはどんな気持ちでしたか?
藤田)やっと騎手になれたんだなぁという思いと、本当にたくさんの人に見られているなぁと思いました。パドックで乗っている時も距離も近くて、皆さんの声も聞こえたりして…、とても緊張したことを覚えています。
最初のレースは勝てなかったんですよね?
藤田)最初のレースは全馬がゲートに入ったあとに、一頭が立ち上がってしまった馬がいたので、ゲートの仕切り直しになってしまったんですよ。
プロデビューまで、どれくらい稽古すると乗れるようになるんですか?
藤田)競馬学校で3年間。初心者でも3年で卒業できるように教えてくれるんです。
最初は模型に乗ったりするんですか?
藤田)木馬に乗ったり、気性の荒くない、大人しい馬に乗ったり…。
馬場を走っている時というのは、やっぱり爽快感があるんですか?
藤田)早いですし、風を切って走るというのは気持ちがいいですね。
世の中、どこの世界でも、女性であるがゆえにマスコミに注目されたり…、俗な言い方をすればチヤホヤされますよね…。周りには苦労している先輩もいるわけで、ちょっと意地悪されたり、シカトされるとか…、そういうこともあるんですかね?
藤田)そういうのは全然なくて、どの先輩も優しく接してくれますね。危ない時はしっかり怒って、厳しく教えてくれますし、私が聴けば、もっといろんなことも教えてくれますし…。
今のところ、先輩は皆さん優しいと…でも勝っていくとわからないですよ。賞金ドンドン持っていかれたら(笑)
藤田)そうかもしれないですね(笑)
で、初勝利が浦和でしたよね。その日は2勝?
藤田)そうですね。ポンポンと続いているレースを勝つことができましたね。
先頭でゴールするというのは、どんな気分なんですか?
藤田)私もまだ何回かしか勝てていないですけど、たぶん騎手しかわからないと思うんですが、目の前に馬がいないというのは、すごく嬉しいですね。
「勝てる」というのは、わかるものなんですか?「行けるぞ!」「させるぞ!」というのは?
藤田)勝てるかなぁとは思うんですけど、後ろから強い馬が来ていたりするので…。
気配で追いかけてくる馬はわかるんでしょ?
藤田)横をチラっと見て、「あ、後ろから来てる~」と思ったりはしますね。
現実的な話をしますけど、お金は競馬で走って、その騎乗手当や賞金で稼ぐことになるんですか?
藤田)そうです、そうです。
結構、儲かってます?
藤田)全然そんなことないです(笑)
まだ儲かっていないんですか。私が調べたところでは4勝でしたが…?
藤田)そうですね。JRAでは4つですね。
この結果はどうなんですか?
藤田)いえいえ、全然まだまだです。
有名な騎手とレースが一緒になったり、すれ違ったりしたら、結構ときめくものでしょうね?「あぁこの人と一緒に走れるか」って。
藤田)ずっと騎手になりたいと思った頃から活躍されていた有名な先輩ばかりですから、そういう気持ちもありますね。
先輩の皆さんも興味を持っているから、声をかけてくるでしょう。「君かね、菜七子ちゃんは?」…なんて(笑)
藤田)ハハハハ…(笑)でも、いろいろ教えてくださる先輩ですね。
笑顔が可愛いですね~…こういう言われ方は嫌かもしれないけど(笑)
藤田)そんなそんな、嬉しいです。
最後に藤田菜七子騎手の夢、未来にどんな世界を描いていますか?やっぱり重賞レースとか勝ちたいでしょ?
藤田)まずは次の1勝を目指して、1つ1つ勝っていければいいなぁと思います。
基礎体力の訓練なども日々やっているんでしょ?筋トレしたり、体重を毎日計ったり…。「腹いっぱい食べたい!」とか「練習辞めたい!」とか思いません?ほかの友達はみんな遊んでいるわけでしょ?イライラしたりしません?
藤田)特にそんなこともないですね。悩むこともありますが、今は好きなことを仕事にできているので、とても楽しいです。体重も軽い方なので、毎回お腹いっぱい食べているんですけど大丈夫です(笑)
こうして話を聞いていると、本当に幸せな日々のようですね。
藤田)毎日充実していますね。
いやぁ、目がとても澄んでいますよね…。
藤田)本当ですか…(笑)
こう言っちゃ失礼ですけど…、最近の若い人で、まったく化粧っ気がなくて、純真な目をしている人を久しぶりに見ましたね。こんなことを言われても嬉しくないかもしれないけど(笑)
藤田)そうですか(笑)
絶対に「藤田菜七子、ここにあり!」というように成長して大きいレースに出てください!
藤田)はい!
8月24日(水)25日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より
明日は、東京オリンピックでの活躍を誓う、なでしこジャパンの新監督、高倉麻子監督に直撃します。