全米オープンで、リオ・オリンピック金メダルのマレーを破って、ランキングを5位に上げたテニスの錦織圭選手。
国別対抗戦「デビスカップ」入れ替え戦でも、錦織選手がチームを引っ張ってウクライナを下し、来年の大会でのワールドグループ残留を決めました。
そこで、錦織圭選手の成長プロレスと、有名選手のコーチたちについて、1970年代からグランドスラムを欠かさず取材し、錦織選手をつぶさに見つめた記録「錦織圭さらなる高みへ」が大きな話題になった日本のテニスジャーナリストの草分け的存在、塚越亘(わたる)さんに、いろいろと伺いました。
全米オープンを観戦してきたそうですが、生で見て錦織選手の活躍は率直にいかがでしたか?
塚越)準決勝は、スイスのワウリンカは伸びてきていた。フェデラーから教わったことが大きかったのだと思う。
日本人の中にいるとそうでもないですが、他の選手と比べると錦織選手は小柄な部類に入ると思いますが、コンディションはどうだったでしょうか?
塚越)他の外国人に比べると体力がないのはしょうがない。そういう意味では、怪我をしないようにケアをしたり、トレーニングをしたりして補ってきた。そのかいあって、今年は大きな怪我もなく、いい状態。去年は様々な経験のない状態で、そこから積み重ねる段階だった。
マイケル・チャンコーチと組んで実力が上昇したが、テニスコーチが必ず付くのは当たり前なのでしょうか?
塚越)ジョコビッチにはボリス・ベッカー、フェデラーにはステファン・エドベリ、マレーにはイワン・レンドル、ラオニッチにはジョン・マッケンローと、かつてのスター選手が付いている。昔からコーチがいるわけではなく、最近は賞金額が高いので、ギャラを払ってでもコーチを雇うことができるようになった。今やコーチが付くのは当たり前。
さらには、1人のコーチがずっと一緒に帯同できるわけではないので、いない時間を埋める別のコーチと、複数のコーチと契約するのが常。マイケル・チャンにしても大きな大会のみの契約。いいところの大会だけで、それ以外は別のコーチと契約して、それ以外の大会は自分たちで何とかしてほしいという感じ。コーチのギャラは1億円はいっている。
トップ30の選手には必ずコーチがいる。トップ100だとコーチをシェアすることになる。
最後にお金の話も。錦織選手が稼ぐギャラはどのくらいなのでしょうか?35億円ぐらいという話もありますが?
塚越)賞金は数億だろうが、胸につくスポンサー契約でかなり高い金額が稼げる。
ジョコビッチだと賞金だけで4~5億はいく。
錦織選手の場合、ウェアだけではなく、CMだけに出る契約だとかいろんな種類の契約があるので、最低1本5,000万円、重ねればかなりいくのではないか?
【塚越亘さんプロフィール】群馬県前橋市出身。
テニス・フォト・ジャーナリスト。 ウィンブルドンなどのグランドスラム大会は1973年より毎年欠かさず取材。
テニスカメラマン・ジャーナリストの草分け的存在として国際的に活躍。
世界の指導者およびテニスプレイヤーや関係者とは親交が厚い。
ジュニア時代から知っている松岡修造のプロツアーに密着取材。著書
『松岡修造―九一九日の闘い』(ベースボールマガジン社刊)
「錦織圭 さらなる高みへ」(廣済堂出版)は大きな話題となった。
1973年から雑誌などに寄稿。
1990年代には「TENNISJapan」という、試合結果速報や松岡修造、クルム伊達公子らの直筆コメントなどを掲載したFAX新聞を発行。
9月27日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より