2/1(水)放送のFM93AM1242ニッポン放送「垣花正とあなたとハッピー」9時のききどころでは森永卓郎さんが「働き方改革」と「副業」はサラリーマンを幸せにするのかについて解りやすく解説しました。
安倍総理が掲げる「働き方改革」によって副業がしやすくなる
垣花)給料が上がらない、生活費が足りないということで副業をしたいというサラリーマンは多いし、雑誌の特集などをみてもみなさんが興味を持っていますよね。
森永)休日にアルバイトをしているサラリーマンというのは、実は少なくないのですが、なんと、政府がその副業を後押ししようと、方針を大きく転換しました。安倍総理が「働き方改革」ということを一つの政策の柱として掲げているので、副業しやすくしましょうというように変えようということです。
垣花)「働き方改革=副業のススメ」と捉えてもいいのですか?
森永)その一つに含まれています。実は、今までは表向きに言うと、サラリーマンの大部分というのは副業してはいけなかった。公務員は全面禁止。民間のサラリーマンも、ほぼすべての会社の就業規則には、ある調査によるとその4分の3に兼業禁止規定に「副業してはいけません」という規定が入っています。
ただ、厳密に言うと、今までも、禁止と会社の就業規則に書いてあったとしても3条件を満たせば、裁判では懲罰が有効にならないというケースが多かったのです。3条件というのは「ライバル企業で働く」「勤務時間中にやる」「副業することによって本業に悪影響が出る」、例えば居眠りしてしまうなど。この3条件がないということであれば、仮に兼業禁止規定があっても首にはならないというのが今までの判例の多くなのです。
だから私は隠れてやりましょう。仕事の不倫をしましょうと言っていたのですが、それを堂々とできるようにしましょうというのが、今回の政府の方針なのです。
垣花)先日そのニュースがネットで流れたのですが、実際に副業を認める、あるいは副業したい人材を採用するという企業が出てきているそうで、ロート製薬なんかそうなんですね。2016年の4月から従業員が就業時間外や休日に副業することを認めるように社内規定を変えました。ソフトウェアー開発のサイボウズという会社は副業したいサラリーマンを対象に募集を開始すると発表しました。
副業の効果とは?
森永)なんで会社もこう変わって来たか、政府も態度を変えたかというと、副業の効果というものは二つあります。
一つは労働者の視野が広がる。新しいアイデアというものは無からは生まれないのです。複数の異質な知識が融合した時に新しいものが生まれる。会社の中の狭い世界に閉じこもっていると、どんどん変化する新しい時代について行けないわけです。その視野を広げましょうというものが働く側と使う側に同時に出て来たというのが一つ。
二つ目は今は人手不足ですから、企業にとって人材確保につながるということもあり、これはメリットです。
長時間労働になるマイナス面も
森永)ただ、マイナス面もあって、今の仕事をしながらもう一つ仕事をすると長時間労働になるということです。
垣花)政府は副業を勧めている。しかし世の中は残業禁止、働きすぎに警鐘を鳴らしている空気がある。まったく矛盾しますね。
森永)ただ政府は長時間労働を防止するための対策を検討すると言っていますが、それは無理だろうという話です。
好きなことを副業にすること
垣花)ということは森永さんは副業には反対なのですか?
森永)いや、私は副業推進です。辛い仕事を副業にするということはストレスが高まるだけなのですが、好きな仕事をもう一つやるということは気分転換にもなるし、長時間労働にはなるのですが、好きでやっている分にはそれほど辛くないと思います。
垣花)好きなことを副業に選んだ時にいい効果が表れるわけですね。実際に森永さんがそうですよね?
森永)私の場合、30年少し前、バブルが来るということを予測して所沢に家を買ったのですが、その住宅ローンのおかげで手取りの残りが6万円台になってしまいました。同僚とか同期が結婚するとお祝いを出せないのです。そこで、追い詰められてライターの仕事を始めたのが副業のスタートです。
垣花)書くことが好きだったのですか?
森永)書くことは全く苦にならない。速いし。昨日も『ベストカー』という雑誌から「原稿を至急書いてくれませんか。明日なんですけど、大丈夫ですか」という依頼がきたのですが、「全然大丈夫です。今でも大丈夫です」(笑)
その仕事の仕組みを理解すること
垣花)この臨機応変さは重宝されますよね。みるみるうちに仕事が増えてかなり連載を抱えたわけですよね?
森永)ピーク時は37本くらい抱えていました。今でも20本以上書いています。私の一番の得意技は年末進行とかでライターが行き詰まって倒れた時の救急隊員なのです(笑)。
垣花)自分の役割もわかっているのですね。どういう時にニーズが上がるかということが。
森永)でも、難しかったのは、編集者が「適当に書いてください」って言うので、本当に適当に書いたら怒られました(笑)。
垣花)森永さんの場合、好きなことが副業にできた、ラッキーなパターンだと思うのですが、きちんと仕組みがあればあなたにも副業ができますよということなのですね。
経済アナリスト・森永卓郎の誕生
森永)そうです。私は前に三和総合研究所というところに勤めていて、テレビのバラエティ番組に出るって言ったら、「シンクタンクの研究員がバラエティ番組なんか出ていいと思っているのか」と社長に言われました。
「でも出たいんです」と交渉したら、「会社の名前出すなよ」ということで、その時に担当のディレクターがでっちあげたのが「経済アナリスト」という肩書でした。
垣花)日本初の経済アナリストが誕生したのですね。
森永)そうなんです。今100人以上いるようですが(笑)。
垣花)その時に会社の名前を出さなかったからこそ、そういう肩書が生まれ、そのテレビ出演がきっかけでメディアにでる仕事が増えていったわけですね。
好きなことを何でもやってみよう
森永)楽しいことは何でもやってみればいいのです。うまく行くのと、行かないのがありますね。カメラマンとしては日経BP専属カメラマンを1年2カ月でリストラされました。
バブル期にカメラマンになった人はたくさんいましたが、金のためにカメラマンになった人はほとんど辞めています。写真撮るのが大好きな人だけが残っています。だから好きなことをやらないとダメですね。
垣花)考え方なのですが、実は森永卓郎さんは今までずっと給料をもらい続けているんです。今は教授ですから大学からですが、給料を振り込んでくれる先は違えど、ずっとどちらかに所属し続けているのですよね。
森永)女房、子供を養わなくてはいけないので、その上で他の仕事をやってきたのです。
垣花)ということは、森永さんは違う言い方をすれば、ずーとサラリーマンであって、今やっているようなラジオに出るというようなことが副業みたいなものなのです。副業が大きくなっているから気づかないのですが、究極の形ですよね。
やろうよ、副業!
森永)常に新しい副業にチャレンジしていて、今は、とりあえず童話作家を目指していていくつも書いています。まだ本になっていないので、あちこちの出版社に営業しています。
あと、最大の副業の課題が歌手になることなんです。
垣花)森永さんは理想だと思います。自分の好きなことを副業に出来て、それが収入につながるのですから。
森永)ようやくそれを政府が認めたわけです。だからやろうよ、みんな。
垣花)それでうまくいくコツは好きなことをやろうということですね。
森永)それで、あまり稼げなくても楽しければいいではないかということです。
垣花)トライ・アンド・エラーの中で、向いている副業は転がり始めるということでうね?
森永)そうです。歌手が転がるか、まだわかりませんが(笑)
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垣花正のあなたとハッピー!
FM93AM1242 ニッポン放送 月~金 8:00~11:30