【連載:工藤大輝と偶像音楽論。】第6回
アイドル界だけの話ではないですが。
CDを買う人が本当に減りました。
皆買いましょう !って話ではなくそれがアイドル界にどういう影響を及ぼしているかという話です。
殆どの人が昔のようにCDショップの試聴機で聴き漁ったり、ジャケ買い(死語かな?)したりすることを音楽を手に入れるルーティンにしていない。YouTubeでの映像やiTunes等の配信やサブスクリプションからのダイレクトで完結してしまう。まぁ、それは時代の流れなので仕方ない。しかし、そうであるにも関わらず大きな仕事を得たり分かりやすい結果を示す為の大きな指針としてCDの売り上げ枚数は未だ大きな影響力を持っています。
売れなくなっていくモノを売り続けなければならない。矛盾が生じていることを知りつつ現状を打破できる手立ても無い。
その結果、インストアライブイベントや特典イベントが増える。増え続ける。地方遠征に次ぐ地方遠征、2部制3部制は当然の如く。そこにフェスや制作、撮影などが多々加わっていきます。そりゃ消耗するし色々ありますとも。求めるモノと求められるモノが比例していない。このポイントを抜け出すまでが大変なんです。抜け出せるグループはほんの一握り。
少数構成グループは稼働中メンバー全員にプレッシャーとストレスがかかりますし、大人数構成グループはどの立ち位置のメンバーでも背負った看板をキープし続けなければいけないプレッシャーとストレスがあり、どちらも種類は違うものの本当に難しい。危ういバランス。シーンは間違いなく今が過渡期です。
じゃあ、その中で僕達オーディエンス側はどう支えていけるのかいうと「なんだ当たり前じゃん」と思ってしまうかもしれませんが、やっぱり「広めること」と「参加すること」なんです。最近色んなグループに色んな変化が起きているのを見てきて、その辺りを改めて考える機会が多々ありました。
昔のシーンと確実に違うのは接触イベントの増加とSNSの発達。どちらともインディペンデント型グループもしくはその個人にとっては知名度を上げるのにもってこいなツールですが、それと同時に危うい部分も多々あります。いわば諸刃の剣。
でも諸刃の剣を使って戦っていかなければ生き残れない。「アイドル」の定義は既に「偶像」ではなくなっています。そんなグラグラと揺れて崩れそうな橋を、危ういと分かっていても渡っていかなければいけない。2017年もそんな状態が続いていくと思われます。
個人的にアイドル戦国時代は終わりを迎え、切り込む時代ではなく守り抜く時代に差し掛かり、世はアイドル冷戦時代と呼ぶべきなのではないかと考えてしまうほどに危うい。
危ういと理解した上で、そんな時代の中でも誇りと熱量を持って前線で戦っていくアイドルの皆さん及び運営の皆さんを今年も応援していきたいです。いきましょう。
ということで今回はこの辺で終了とさせていただきます。来月からまた一曲を紹介していきますので、次回も楽しみにしていただけると幸いです。したっけ。
文:工藤大輝
※ニッポン放送アナウンサー吉田尚記をアイコンとしたカルチャー情報サイト「yoopy」より転載