森永卓郎が高齢者75歳に引き上げに待った!目的は年金支給開始年齢の繰り上げでは?【垣花正あなたとハッピー!】

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2/8(水)放送のFM93AM1242ニッポン放送「垣花正とあなたとハッピー」9時のききどころでは高齢者の定義を65歳から75歳以上に引き上げるべきという話に森永卓郎さんが「ちょっと待った!」
森永さんの見解から「高齢者の位置づけを75歳に引き上げ」の理由を紐解くと同時に、強く推奨する『生涯恋愛』について語りました。

高齢者75歳から-生涯現役、時代の流れ- 高齢者の定義について記者会見する日本老年学会などの関係者=5日午後、東京都千代田区

高齢者は75歳から~高齢者の定義について記者会見する日本老年学会などの関係者:2017/1/5千代田区 写真提供:共同通信社

【元気な65歳を高齢者と呼ぶのは失礼?だから75歳から?】

垣花)少し前にこんな話題がありました。日本老年学会と日本老年医学界が、現在は65歳以上とされている高齢者の定義を75歳以上に引き上げるべきだという提案を発表しました。「75歳からにしましょう」と10歳も上げるというのは突然な気もします。

森永)今は世界的にWHOでも65歳以上を高齢者と呼ぶことでほぼ定義がそろっているのですが、日本老年学会は65歳~74歳までを准高齢者、75歳~89歳を高齢者、90歳以上を長高齢者と呼ぶことにしましょうということです。今は65歳からが高齢者ですが、それを75歳からにしましょうという提言です。

垣花)よくわからないのですよね。そこが。

森永)日本老年学会というのは偉い学者さんたちの集まりです。だからいい加減なことを言うはずはないと思って、その発表資料を見ると、最近のお年寄りはどんどん元気になっている、と。データで取ってみても、例えば、運動能力や知的能力が20年くらい前と比べると5歳から10歳も若返っていると。肉体的にも精神的にも若くなったので、65歳から高齢者と言うことは、間違いだし、科学的にも間違えているし、65歳以上の人たちに高齢者だというラベルを貼ることは失礼にあたるというのが、この老年学会の主張です。
確かに、昔のお年寄りと比べたら、今の60代は元気だということは事実です。終戦直後なんて日本人の平均寿命は50歳くらいだったのですから。それが人生80年時代になったということは事実なのですが、私がちょっとおかしいのではないかと思うのは、WHOが2000年に健康寿命というものを提唱しました。それは介護の必要がなくて健康に生活できる、つまり、一人で元気に動けるところまでを健康寿命としたのです。

【健康寿命では12年前と比べて1歳しか延びていないという事実】

垣花)ということは平均寿命と健康寿命は違うのですね?

森永)違います。健康寿命が終わったら、その後介護を受けるわけです。
この健康寿命ですが、直近の2013年のデータによりますと、男性が71.19歳、女性が74.21歳。男性は71歳、女性は74歳までは平均的に言うと、健康で元気で介護なしでいけるというのが日本の今の実態です。
2001年に最初の健康寿命の推計がなされていますが、その時は男性が69.4歳、女性は72.65歳でした。確かに健康寿命は延びています。

垣花)2001年と2013年を比較している。12年の差があります。健康寿命はその12年の間に延びてはいる。

森永)延びてはいるのですが、その延びは12年で男性が1.8歳、女性が1.6歳。つまり、1歳ちょっとしか延びていない。にもかかわらず、高齢者の定義をいきなり10年も延ばすというのはオイオイと私は思うのです。

【年金の支給開始年齢を繰り上げるために、老年学会が空気を読んだ?】

垣花)これが世界的な流れだったらまだわかるのですが、日本だけがこれをやろうとしているのですよね?

森永)はい。メンバーを見ると政府の人間は入っていませんから政府の意向が入っているということもないと思いまし、わざとやったとは思いませんが、ただ、この日本老年学会というのは、ナントカ病院の医院長とかナントカ研究所の所長とか、偉い人ばかりです。ワーキングメンバーもみんな偉い人です。偉い人というのは往々にして空気を読む能力に長けています。私のような、言いたいことを言っている奴は出世しないのですよ。
だからこの老年学会が空気を読んだのではないかな。空気というのは実は、今、日本の年金制度が非常に厳しい状況になってきています。なぜかというと、厚生年金の保険料が毎年上げてきたのですが、今年で18.3%になったので、そこで打ち止めになります。来年以降は保険料率を上げないという設計になっています。そうすると収入が増えなくなる。
一方、高齢化が進みますから、年金の支出、給付はどんどん増えていく。そうすると、年金が苦しくなるわけです。そうなると、手立ては年金の給付水準を下げるか、支給開始年齢を繰り上げるしか手はない。でもあまり下げすぎると、今度老後の生活ができなくなってしまうので、厚生労働省が年金の支給開始年齢を繰り上げると…。

【75歳から高齢者だから、年金は70歳からでいい?】

垣花)ただ、支給開始年齢70歳というワードは当然、ものすごく反発がありますよね。

森永)そこで考えたのだと思うのです。70歳と打ち出すのではなくて、「75歳からが高齢者です」とバーンと打っておいて、「それと比べたら、70歳はやさしいよね」…というやり方です。

垣花)「皆さんはまだ、高齢者ではないのです」ということは、「まだ、年金をもらうような年ではないでしょう? だからもっと自分たちで働いて収入を得ましょうよ。年金はもっと先でいいですね?」というロジックですね?

森永)そう。それをたぶん、世の中の動きを見ながら言ってくるのではないかな、と見ています。

垣花)ということは、日本老年学会はその旗振り役を空気を読んで買って出たとも言えなくはない。

森永)私は暗黙の共謀が成立していたのではないかな、と思うのです。ただ、本当にそれでいいのかなと思います。最終的に70歳支給を目標にしていると思うのですが、今の健康寿命を前提にすると70歳から年金をもらうと男は平均寿命71歳ですから1年で介護施設・病院に行かなければならない。これでは、悠々自適の期間がないだろう! と私は思うのですけれど。

【いかにずっと元気でいるか】

垣花)でも年金が払えないという、現実的な問題ですよね。

森永)これはもう、庶民の防衛策としては、いかに健康を維持するかということしか手がないですよね。やはり、ワクワク・ドキドキして生きていると、元気でいられるのですよ。私は前から言っていて、顰蹙を買っていますが、「生涯恋愛社会の構築」、ワクワク・ドキドキする、「おはよう」と言う前に「今日も綺麗ですね」という社会にしましょうと言っているのですが、これが全然受けないのですよ、役所だと。

垣花)役所だと? いやいやいや、役所だけではないですよ(笑)。でも、そのような斬新なアイデアでしか切り抜けようがないという、生涯恋愛社会という、あくまでも概念ですけれど、そういうものを持ち込まないと、みんながワクワクして歳を重ねられない。でも一番大事なのはワクワクして歳を重ねる、健康でい続けるということが防衛策なのですね。

森永)そうです。だから「みんな、恋をしようぜ!」(笑)と提唱しているのです。

垣花)まあ。しかし、どういうカテゴリーを与えられるという問題ではなく、森永さんの言うように何歳であろうと自分は現役なんだという意識は必要ですね。

森永)やはり、働いている人のほうが歳とってからは元気だということは間違いないですね。働くというのはお金を稼ぐということだけではなく、自分の活躍の場を持っているということです。囲碁やったり将棋やったり、ボランティアをやったり、なんでもいいです。その活躍の場をいかにたくさん作るかということが、私は元気に秘訣になると思います。

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