金正男氏殺人事件で朝鮮半島情勢流動化!高嶋ひでたけのあさラジ!
公開: 更新:
2/27(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!④
金正男氏殺人事件で朝鮮半島情勢流動化!
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)
殺害に使われたのは神経剤VX
北朝鮮の金正男氏がマレーシアで殺害された事件で、死亡原因は、体内に致死量を遥かに超える猛毒の神経剤VXが吸収されたことによるとみられることが分かりました。また、死亡に至ったのは、顔に毒を塗りつけられてから、15~20分後であったことも明らかになりました。
高嶋)まずニッポン放送報道部、畑中秀哉デスクです。
DNA鑑定、未だに出来ず
畑中)週末にはマレーシアのスブラマニアム保健相の記者会見が行われました。これまで指摘されている通り、金正男氏の死亡原因はVXで、死亡に至るまでの時間は15~20分だろうと。正確な死亡時間が明らかになったのは、これが初めてということになります。
一方で「死亡した人物は果たして金正男氏なのか?」については、実はマレーシア当局としてはいまだに確定していません。「DNA鑑定を行う」とは言っているのですが、その為の親族のマレーシア入りが実現していないのが現状です。このためにマレーシア当局は歯形や顔のホクロの照合も確認の方法として検討しているとのことですが、歯形の照合には金正男氏が過去に訪れた歯医者の記録を確かめなければならないため、簡単ではなさそうです。マレーシアの警察は現場となったクアラルンプール国際空港を検査した結果、VXなどの有害物質は検出されなかったことを明らかにしました。高嶋)随分後になってやりましたね。
畑中)そうですね。空港自体は安全宣言がようやく出されたことになります。一方で実行犯として逮捕された女の1人、インドネシア人のシティ・アイシャ容疑者は、逃走中のタクシーで嘔吐したことも明らかになっております。もう一つの謎として「実行犯の2人はVXを素手で触って平気だったのか?」ということです。実際に嘔吐したので影響力はあったわけですが、これについては2人が別々の薬品を金正男氏の顔で合成したとか、事前に解毒剤を飲んでいたなどさまざまな説が出ていますが、真相は明らかになっておりません。いずれにしても、今回の事件は『北朝鮮の国家犯罪』という可能性が濃厚になりつつあり、アメリカのトランプ政権は、北朝鮮を再び『テロ支援国家』に指定する検討を始めているということです。
『貧者の核兵器』VXと北朝鮮の関係性
高嶋)我々は勝手に北朝鮮の仕業に違いないと思っているし、殺害されたのも本人だと思っている。だけどまだ身内からはDNA鑑定に必要な物の提供は無く、完全にこうだと言い切れない部分もあるのですね。推測を交えていろいろとやっていますが、よく貧者の核兵器と言われるVXガスを、北朝鮮はかなりの量を保有しているそうです。これは怖いですね。
須田)そうですね。今回VXが確認された段階で、恐らく北朝鮮の組織的な関与があったのではないかと、色濃く推測される訳です。実はVXというのはそんなに簡単に扱える代物ではありません。例えばVXが液体から気化するのに必要な沸点が300℃です。すると液体を顔の付近で混ぜ合わせる場合、相当な技術的困難を伴うことになります。
高嶋)ただ塗りたくれば良いというわけではないと?
須田)その通りです。あんな短時間で混合させるというのは、はっきり言って不可能です。
高嶋)ということは、解毒剤の効き目というのは?
須田)実はオウム事件の時に噴霧した側が同じようにVXの被害にあっています。その時に解毒剤で事なきを得ている状況がありました。ですから解毒剤を飲んでいれば何とかなるかもしれませんが、それでも素手で扱うのは危険だと思います。
高嶋)とにかく諸説紛々で、昨日の某テレビ番組なんかでは「女性二人は『やらせ』で犯人は別にいる」みたいな観点でやっているのもあった。須田さんの情報では、どうなっているのでしょうか?
須田)そういった意味で言うと、そもそもマレーシアには北朝鮮の情報機関の拠点があるのですよ。そこがバックアップして、犯行を外部に委託して……本人たちがやりますと、やはり北朝鮮の組織的関与が窺われてしまうので。
高嶋)委託説?
須田)ええ。委託は間違いないだろうな、と。ただその背後には、やはり北朝鮮の組織関与があった、ということですね。
高嶋)アジトだと思われているところから、薬品系の何かが出てきたそうですね。
畑中)そうですね。アジトであるということが明らかになってきています。
輸入ストップ、中朝に緊張走る
須田)もう一つね、直接この事件にかかわる問題ではありませんが、気になるニュースが流れてきていて、中国が北朝鮮からの石炭の輸入をストップしたというニュースです。言ってみれば「資金提供しませんよ」という対応に出てきたと。これをいつもの出来レースかと思っていたら、そうでは無いようで、朝鮮中央通信、北朝鮮のメディアが中国を直接名指しすることは避けながらも、強烈に批判しています。つまり中国当局は今回の事件は北朝鮮がやったと認識しているのだろうな、と。
高嶋)北朝鮮側が新聞としてこれだけ言うということは、かなりの締め付けをされたと判断していい訳ですね。
須田)そうですね。そういった意味で言うと、別の局面で中朝関係が物凄く緊張している状況にある。そうなってくると中国と北朝鮮の間で、何かコトが起こるのかもしれない。朝鮮半島の情勢が非常に流動化しつつある。その辺のリスクを我々日本人は見ていかないといけない、ということですね。
この話を聴き逃したあなたは、下のバナーをクリックしてradikoのタイムフリーで聴いていただくことができます。