2017年10月2日に50周年を迎える「オールナイトニッポン」。歴代パーソナリティが深夜放送の時代を築いてきました。
その「オールナイトニッポン」第1回目の生放送を担当したのが、日本のディスク・ジョッキー界の草分け的存在な糸居五郎さん。数々の音楽番組に出演した伝説的DJ糸居さんの想い出の品々が北海道新冠郡の「新冠町レ・コード館」に特別展示されていると聞き、取材に行ってまいりました!
北海道の新冠郡新冠町と言えば…そうです!競走馬の故郷です。正面入り口ではハイセイコー像が堂々と出迎えてくれてます!「新冠町レ・コード館」は1997年6月8日に開館。音楽の楽しみ方がレコードからCDやデジタル配信に移行するなか、20世紀の文化遺産を世界的スケールでコレクションし、後世への文化の伝承ができればという発想が始まりでした。また、単にコレクションするのではなく人々の思い出や心を新冠に集めようとする町づくりコンセプトを掲げ、その中核としてレ・コード館が造られました。
高さ36メートルの展望塔も持つとても広くて立派な建物の中に、全国から寄贈された、邦楽洋楽ノンジャンルでタイムレスのレコードが、SP盤・LP盤・EP盤・ソノシートまで、99万4,799枚(平成29年2月末)収蔵されています。そして“聴体験文化交流館”と名付けられているとおり…それを聴くことが出来ます。アーティスト名に分類されたケースから気になるレコードをピックアップして、ヘッドフォンで自由に試聴出来、リクエストもOK。
さらに!ゆっくりと楽しめる貸切個室「リスニング・ブース」もあり、収蔵コレクションを聴くだけではなく愛聴盤の持ち込みも出来るそうです。
リスニング・ブースの奥に見えるのは「レ・コードバンク」。寄贈された膨大な量のレコードを保管している専用収蔵庫です。筆者には、なぜか懐かしい感じが。。。そうです!かつて、どの放送局にもあった“レコード室”そっくりなのです。レコードに最適な温度と湿度が保たれているそうで、集められたレコード盤にとっては天国気分でしょうね!
レコード再生専用の小ホール「レ・コードホール」では、このホールのために設計されたという全長3.4メートル、開口部1.7メートルの日本最大級の巨大オールホーンスピーカーを使用して音楽を聴くことが出来ます。
今回、リクエストをさせていただきまして、ちあきなおみさん「喝采」、ヴィヴァルディ「四季/春」を試聴させてもらいました。目を閉じて聴くとソコにオーケストラがいるような超感覚!昭和歌謡の金字塔も弦楽合奏の名曲も本当に素晴らしいですねぇ!あらためてアナログレコードの音質の素晴らしさ温かさを実感しました。
レコードだけではなく、蓄音機や懐かしいステレオ機器まで展示されています。同じ館内に併設されている「レ・コードミュージアム」では世紀の発明王エジソン氏の人形がお出迎えです。そうですよね、エジソン社は数々の蓄音機を販売した当時の最先端企業。
ガラスケースに納められているのは…1878年フォノグラフ(銀箔蓄音機)!完全な姿のティンフォイル蓄音機が見られるのは日本でココだけだそうです。
さらに、ロウ管式からディスク式への蓄音機の改良の歴史や、その当時の日本への輸入状況も詳しく解説され、世界や日本のレコードの歴史についても詳しい解説展示がされています。また、昭和史をレコードで分析する展示もユニーク。
ギャラリーには蓄音機を聴く姿の懐かしい“ニッパー君”もいましたよ!
ここでも年代物の蓄音機を使ってSPレコードを聴かせてくれます。鉄製と竹製という蓄音機の針の違いで音質が変わることを体験させてもらいました。100年前のオーディオの世界もオツなものですねぇ。
壁面に懐かしいシングル盤が解説と共に飾り付けられたコーナー「想い出の坂」!さまざまなジャンルの名曲名盤がいっぱいですね!思わず立ち止まってジッ~~~と見入ってしまいました!そして、青春の甘酸っぱい1ページが蘇ります。色鮮やかなピクチャーレコードも飾られていました。
坂を上っていくと…LPレコードの展示コーナー!中央にあるのはレコードのカッティングマシン。そして、南こうせつさんのギターまで!
そして!ギャラリーの一角で展示されていたのはニッポン放送オールナイトニッポンの名ディスク・ジョッキー糸居五郎さんの特別展!1984年に永眠された後、ご遺族から寄贈された想い出の品々は、ラジオパーソナリティとしての国際表彰を受けた楯、表彰状、書斎で愛用していたレコードプレイヤー、オープンリールテープデッキ。
1971年の50時間生放送マラソンDJを記録したテープやスタジオ写真。1967~81年まで担当したオールナイトニッポンへのリクエストカード、その他にも様々な番組が録音されたオープンリールのテープ。著作本「電波塔に乗ったキングコング」「僕のDJグラフィティ」や、オールナイトニッポンパーソナリティたちが勢揃いしたレコード等々。これらは膨大な量のうちのホンの一部だそうです。
スペースの都合上、ここに展示されていないオープンテープや紙資料、番組で使用したであろう1万枚のレコード盤、記録保存用のカセットテープ、そして沢山のリクエストハガキや手紙もあるそうです。
いつの日か見られたり聴けたり出来るといいですね!!「ハーイ!夜更けの音楽ファン、こんばんは!朝方近くの音楽ファン!おはようございます!Go Go Go and Goes On!」あの夜のMr.DJ糸居五郎さんの名調子が聴えてきそうです!
とても楽しく判りやすい解説を聞きながらの見学コースが便利です。さまざまなジャンルの名盤を聴くレコードコンサートや期待のアーティストや音楽大学との共同企画によるライブも実施中。
「新冠町レ・コード館」の近くには「新冠温泉レ・コードの湯」もあり!アナログレコードの温もりと存在感のある音を楽しんだあとには、温泉でホッコリするのはいかがでしょうか?!太平洋に沈む夕日は絶景です。
北海道へお出かけの際には是非「新冠町レ・コード館」へ!!
【取材・文:神部恒彦】
『新冠町レ・コード館』北海道新冠郡新冠町字中央町1-4
見学コース入場料:個人/一般300円 高校生200円 小・中学生100円
開館時間:レ・コード館 午前9時~午後9時
見学コース 午前10時~午後5時
休館日:毎週月曜日(祝日と重なるときは翌日)、祝日の翌日、
12月30日~1月5日
アクセス:自動車 札幌市内から約2時間(無料駐車場あり)
バス 道南バス「高速ペガサス号」(札幌⇔浦河)
新冠市街停留所下車 徒歩1分
空港 新千歳空港から車で約1時間20分
神部恒彦(a.k.a 北大路おさんどん)
1960年北海道生まれ。
1981年「オールナイトニッポン」のADとして放送業界で活動開始。
音楽やドキュメンタリーを中心としたテレビ・ラジオの構成/選曲を担当する。
1992年いったん全ての仕事を終了してシベリア鉄道で渡欧。
1年間に渡りフランス/スペインを拠点に欧州各国の景勝地や美術館を見て回る。
さらに渡米、自動車でアメリカ大陸を横断しながら様々な音楽聖地を巡って帰国。
幅広い音楽/雑学知識と好奇心でジャンルを問わない番組/イベント構成を手がける。
趣味:大相撲/F-1観戦、全国各地の居酒屋訪問と見知らぬ人々との会話。