オランダ議会選挙~中道右派の自由民主党が第1党に!高嶋ひでたけのあさラジ!

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3/16(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

注目の極右政党・自由党失速!第2党争いか?
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)

オランダのロッテルダムで行われたテレビ討論で議論を交わす自由党のウィルダース党首(右)と自由民主党を率いるルッテ首相=20170313 写真提供:共同通信社

オランダのロッテルダムで行われたテレビ討論で議論を交わす自由党のウィルダース党首(右)と自由民主党を率いるルッテ首相=20170313 写真提供:共同通信社


オランダ議会選挙 中道右派の自由民主党が第1党、極右政党・自由党は第2党争い

大型選挙が相次ぐ今年のヨーロッパ政治を占う、オランダ議会選挙の投票が15日行われ、移民の排斥やEU(ヨーロッパ連合)離脱を訴える極右政党が躍進するか注目されています。オランダ議会選挙は即日開票され、16日未明、日本時間の今日午前にも体制が判明する見通しです。

高嶋)さぁどういうことになるのでしょうか。まずニッポン放送報道部、森田耕次解説委員です。

森田)オランダ議会選挙は日本時間の今日未明開票が始まりました。オランダの公共放送が伝えた出口調査によりますと、ルッテ首相が率いる中道右派の自由民主党が、第1党の勢いです。台風の目となりました極右政党、自由党は伸び悩んでおりまして、他2つの政党と2位を争っているということです。オランダ議会選挙は定数150を全国区の比例代表制で争います。任期は4年。前回の選挙の時には第1党の自由民主党が41議席。第2党の中道左派労働党が38議席を獲得して、この2つの政党で連立政権を発足させていたのです。今回の選挙の出口調査に基づく予想獲得議席は、与党の自由民主党がやや議席を減らすものの、31議席で第1党。極右政党の自由党はいまの12議席から上澄みするものの、19議席にとどまるという予想です。この他、キリスト教民主勢力と、新EUの中道政党。この2つの政党も、それぞれ19議席を獲得しそうだという予想になっています。推定投票率はおよそ81%と非常に高くなっています。極右政党の自由党は、支持率で一時独走したのですが、ウィルダース党首が連帯感を示しておりました、アメリカのトランプ大統領によるアメリカ政治の混乱などを受けて、終盤は失速気味となっていました。イスラム教のモスクの閉鎖、聖典コーランの禁書を公約とするウィルダース党首は、投票の後記者団に対し、「選挙結果がどうあれ、もう状況は後戻りしない」と述べ、ヨーロッパで同じ様な政党の影響力は消えないだろうと、このように主張しています。


セム民族の排斥が吹き出しているオランダ

高嶋)昔の共産主義の亡霊ではありませんが、今はとにかく“極右”、これがどこの国でも非常に成り行きが注目されている。まずオランダ、この後、いろいろとフランスの大統領選挙があったり、ドイツの議員選挙があったりといろいろ言われていますが、今のこの戦いぶりでどう判断したら良いですか? 第2党になりそうだと……

佐藤)第2党に“なる”ということは2党に“なった”ということよりも大きな影響があるのです。まず、比例代表制ですからね。ということは、ほぼ現時点での国民への世論調査、ということなのですよ。ですから、国民のかなりの部分がこうした勢力(極右政党)を支持している。その中にあるのはアンティセミティズム、反セム主義です。普通、アンティセミティズムというと反ユダヤ主義なのですが、アラブ人もセム族。だからセム族に対する忌避反応というのは、実はオランダは、アンネの日記の話もありますが、もの凄くユダヤ人排斥をした国ですから。

高嶋)そうか、アンネの日記、オランダでしたね。

佐藤)ナチスと協力していたオランダ人は多いわけですから。今まではそれがあるから「まさかこういう勢力だけは出てこない」と。単にオランダがすばらしい国だから、という単純な愛国運動ではないのですよ。そこの中にアンティセミティズムがあるということですよ。ということは、ヨーロッパの病理であるセム民族の排斥、あるいはセム人種の排斥という、人種主義が吹き出しているということですよね。この人たちはスキンヘッドといって、結構暴力を使いますから。暴力怖さに何となく黙ってしまう。こういう人たちがでると、国民の多くやマスコミもそうなってきますね。本当に襲撃とか、しますから。

高嶋)心配ですね。かつてのナチスドイツのようです。あれの中で人種問題というのは、言うまでもなくもの凄い部分を占めていたわけですけれども。そういうのに揺り戻しが来ているみたいな……

佐藤)来ていると思いますよ。それと同時に、ドイツの場合には左翼党という、旧東ドイツの政権となっている社会主義統一党と、様々な過激派が一緒になった政党も、60議席ちょっとくらい持っていますからね。そうなると、今度はヨーロッパ全域において、もう影響力のない共産主義勢力も、極右の台頭に伴って出てくる。それからイスラム政党も。自分たちの身を守らないといけない結果、社会の軍団が激しく進んでしまうのです。そうすると我々が知っている安定していた安全で旅行していて1番大丈夫な場所という感じのヨーロッパというのは急速に崩れていく。こういう状態になっていますよね。


かつてのナチスのよう

高嶋)この、最近になって注目されている自由党ですか? ウィルダースさん。この人はもともとそうした過激な思想の持ち主だったのですか?

佐藤)私はこの人についてよく知らないのですよ。それから、この種の運動に関しては、人物について調べてもあまり意味がないかもしれない。要するに、その人がいなくても同じようなのが出てきますから。社会の雰囲気があるのです。だから、その構造から生まれてくるわけですから。ですから、拝外主義な傾向、特にアンティセミティズムが述べている、反イスラム感情。「自分たちと違う人たちは追い出せ、その人たちの施設は閉鎖しろ、本は読ませるな!」と。ヨーロッパの伝統においてはここ少なくとも百数十年は無かった、こういうことが起きているわけですね。

佐藤)このナチスを彷彿させるようなことが、今、ヨーロッパで起きているという、深刻な話ですよ。

高嶋)ナチスも、第2党の時代とかがありましたけれど、もういろいろな手を使って。結局国民に選ばれたのですからね。

佐藤)そうです。あの時も国民党、右派政党をもっと突き上げるという形でもナチス党が機能を果たしたのですから、怖い話です。

高嶋)歴史は繰り返すとか、あるじゃないですか……

佐藤)同じ形では繰り返さないですけど、似たような構造で繰り返しが出てくるのです。本当にヨーロッパは心配になってきました。

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