3/16(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
南スーダンが危険地域になった理由は中国の石油開発だった
6:29~ニュースやじうま総研ズバリ言わせて!:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)
中国が狙う南スーダンの石油
高嶋)南スーダンの話を伺います。ニュースはもう政府は引き上げると伝えていますが、南スーダンはどうして急にあんな危険な地域になってしまったのでしょうか?
佐藤)結論をまず言うと”中国”ですよ。
高嶋)中国!
佐藤)以外に思うかもしれませんが、今の国際情勢の大きな構造を言うと、メジャーリーグ3国しかないのです。アメリカとロシアと中国。大きく言ってアメリカは変わっていないです。ロシアは弱くなっている。中国は強くなっている。ただし中国の唯一のネックが資源です。アメリカもロシアも持っていますけれども、中国は持っていない。
そこで中国は本格的にどこかと提携し、自前の油田を持てば中国の軍事力、政治力、経済力が伸びる。そこで中国が目を付けたのが、当時はまだ統一国だったスーダンの、南での石油開発だった。高嶋)なるほど。
佐藤)そこでオバマ前大統領ですね。あの人が静かに画策して、南スーダンを独立させてしまった。例えるなら、日本が作った満州国みたいな感じです。無理に造った国ですから、軍隊を入れておかないと持たない。日本は対中牽制が目的です。ここの石油を中国に取られたら、これは中国の影響がぐっと伸びて、尖閣でも何でも日本が大変になるからです。
宗教対立も含めて大混乱のスーダン佐藤)ところが、もともと部族対立がある。それに加えて、最近では宗教的対立も出てきている。北スーダンはイスラム教です。南スーダンは蜘蛛。あれを信じているアフリカの土俗宗教。そういう宗教を信じている人たちと、キリスト教を信じている人たちがいて、仲が悪いのです。
高嶋)南が。蜘蛛とキリストが。
佐藤)それで、こういう状態になっているのに先月の26日、日本ではあまり報道されていないですが、地元の教会から言われているので、「私は今度南スーダンに行く予定があります」ということを、ローマ法王が言っている。直接、ローマ法王が南スーダンに乗り込むということもあり得る。
高嶋)戦闘地域じゃないですか!?
佐藤)もちろん。戦闘地域。だから命がけで乗り込む。それだけ、そこにいるキリスト教徒を応援して、要するにあの地域にイスラム教徒が、ああ言った原始宗教がある中でのキリスト教の拠点ですから。そこでキリスト教徒は支える、という姿勢を鮮明にするわけです。そういうことをすると、この蜘蛛を信じている人たちとか、あとスーダンはもともとアルカイダの拠点でもありますから。イスラム国系の人たちも来て、大混乱になる。だから良いタイミングで逃げました。
このタイミングでの撤退は安倍政権のインテリジェンス能力が高い証拠
高嶋)質問。日本では、戦闘地域とか、そうじゃないとか、ぎゃあぎゃあ言葉の問題で上っ面をいつもやっていますけれど、実際にスーダンに派遣される自衛隊の人というのは、佐藤さんが言ったような、そういう背景や微妙なところをキチンとレクチャーを受けた上で行っているのですか?
佐藤)全部分かっていると思います。でなければ、このタイミングで国内要因のような感じで、元々退くつもりだったと言っていますけれど、それで退くというのは、全部分かっています。
高嶋)国民はほとんど理解していないでしょうそれは。
佐藤)ええ。ただこれは全部言ったら、対中関係が保たないでしょう。だからインテリジェンスの機微に触れるところすけど、安倍さんはよく分かっていますね。だからこれは自信を持って「おっとマズい」と。しかし国益上、重要だったから、危ないところでも出さざるを得なかった、というのが本音ですけれど、それは言えない。
高嶋)正直なところで本音は言えないけれど、今の時期撤収するということは……
佐藤)そう。国造りが新しい段階に入ったということ。新しい段階に入るというのは状況が変わるということですから。だから今回、意外と安倍政権のインテリジェンス能力が高いし、これはリスクを負ってでも、最終的には日本の国益、国民の利益を守っているということですから、これは南スーダンに出すのは、やむを得ないのですよ。
高嶋)なるほど。専門家はそう分析するけれど、一般の国民はですね、そこまで説明されませんから……
佐藤)「何で関係ないところに行ってるの? 森友学園の問題とかがあるから、そっちの方に目を逸らすんじゃないの?」という見方になってしまいますよね。
高嶋)戦闘云々ばかりですよ。
佐藤)危ないところへ行くのが自衛隊の仕事ですから。安倍政権はよくやっているということです。
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