去年2016年9月に開幕した男子プロバスケットボールリーグ・Bリーグ。
今週末の注目カードは18(土)・19(日)に青山学院記念館で行われる初めての「渋谷ダービー」です。
東京・渋谷区にホームアリーナを持つ中地区のサンロッカーズ渋谷(青山学院記念館)と東地区のアルバルク東京(国立代々木競技場第二体育館)の対戦です。
今週はBリーグで初めての「渋谷ダービー」に挑む、サンロッカーズ渋谷のキャプテン・広瀬健太選手にお話を伺っています。
193㎝と恵まれた体格、動きも俊敏な広瀬選手。ご家族はもともと「スポーツ一家」でした。
「父がレスリング教室をやっていて、自分も物心ついた時からレスリングをやっていました。」そして小学4年生でバスケットボールと出会います。
「部活動に入ることになったとき、同じ地区のお兄さんが『お前は背も高いし、運動神経もあるから、バスケットに向いているよ』と言われて。」
そのお兄さんのこと大好きだったという広瀬選手は「そんなに言ってくれるんだったらやってみようかと。」いう人と人のつながりがバスケットとの運命の出会いを引き合わせました。
しかも「中学校まではレスリングとバスケットボールを両立していました。」という広瀬選手。もしかしたらレスリングの経験がバスケットボールにも生きているかも?今度、聞いてみようと思います。
人の縁から始めることになったバスケットボール。
今、プロになった広瀬選手は「今までやってきたコーチ・チームメイト・スタッフと知り合えたのは良かったなぁと感じますね。中・高・大学時代のバスケット仲間とは今でも連絡を取り合いますし、すごく大事だなと思います。」と今ではバスケットからつながった人々の縁を感じ、バスケットをやってきてよかったと思うのだそうです。
チームではダブルキャプテンの広瀬選手(もう一人は#7 伊藤駿選手)ですが、自分のプレイだけではなくチームをコントロールする上では、色々な苦労があるはず。自分が苦難に立った時、今の広瀬選手を支えてくれるのも、やはりバスケットボールからつながった「高校時代のチームメイト」にまつわる出来事だったといいます。
「高校3年(島根・松江東高校)はキャプテンをやっていて、ケンカをしていたチームメイトもいたりして、チームが中々まとまらなかった時がありました。そんな時、皆で腹を割って話して臨んだ大会で…ケンカばかりしていたチームメイトから『広瀬、どんどん攻めろ!お前がシュートを止められたら、チームが負けたのと同じだから。それは俺らも受け止める』って言ってくれて。この時に彼の懐の大きさを感じましたし、お互いに信用もできた、成長できたんだなって。バスケットの素晴らしさを感じました。」
残念ながら「その試合は負けました」そうですが、バスケットを通じて得ることができた人の縁、かけがえのない経験が今の広瀬選手を支えています。
広瀬選手のポジションはSF=スモールフォワード。オールラウンダーの働きで主に得点を取る役割のオールラウンダーです。
速いドリブル、外からのシュート、速攻やリバウンドにも参加する総合力が求められます。
渋谷の試合を実況している私にとって広瀬選手は“攻撃でも守りでも、どこでも顔を出すなぁ。良く動くなぁ”という印象が常にあり、それを率直に伝えたところ「自分の武器の一つが運動量なので、無くなった時は潮時だと思っています。でも、そう見て貰えるのであれば、まだやれるなって感じですね(笑)。前は特に意識していなくても出来ていましたけど、30歳を超えて普段の準備も大切だってことを痛感しています。」
今年32歳になる広瀬選手。バスケットボール選手としてはベテランの域に差し掛かる年齢でもありますが、持ち味の運動量が衰えることはありません。
さらに広瀬選手のもう一つの武器は相手からボールを奪う“スティール”。
39試合に出場し1試合平均2.1をマークし、B1全選手の中でトップです。
以前、インタビューしたチームメイトのベンドラメ礼生選手もスティールは得意(1試合平均1.7)でしたが、広瀬選手は「(ベンドラメ)礼生は(ポジショニングなどで)天性の感がすごいなって見ていて感じます。『お前そこにいるのかよ』って(笑)僕の場合は相手が油断しているところを作らせてやっているところはありますね。」とナンバーワンの秘けつをこっそり教えてもらいました。
獲物を狩るようにスキを狙うベンドラメ選手とスキを作らせるように罠をしかける広瀬選手。
恐らく対戦相手のボールマン(ボールを持った選手)は心もとなく渋谷のエリアに入ってくるはずです。
もちろん週末の「渋谷ダービー」でも広瀬選手が強力なアルバルク東京のオフェンスからボールを“刈り取る”シーンが想像できます。
東地区で激しく首位争いを繰り広げているアルバルク東京の印象について広瀬選手は「1人ひとりが個(個人の力)で打開できる力を持っているチーム、というのは感じます。逆に自分たちが、その個に対して1対1で勝負したら厳しくなるので、いかに5対5の戦いにもっていけるかですね。そうすれば勝機はあると思います。」と話します。
アルバルク東京の選手については「やっぱりギャレットと(田中)大貴のところは点数が入ると乗ってきますね。ただ、どちらかでも押さえれば(攻撃の)バランスは崩れると思います。新戦力も入っているので、まだ研究が必要ですね。」と2人のSG=シューティングガードを警戒していました。
さあ、いよいよBリーグで初めての「渋谷ダービー」。
選手はダービーマッチへの意識やイメージ、気持ちの高まりはありますか?と伺うと「(まだ)ないですね(笑)」と一蹴されてしまいました。というのも「アルバルクとは地区も違います(アルバルク東京は東地区、サンロッカーズ渋谷は中地区)し、順位も違うのでダービーというよりチャレンジャーの立場です。」とあくまで冷静。
そして「アルバルクは2勝して当たり前。うちは正直、勝ちにいくというポジションでひとつでももぎ取れればいいかなという感じです。でも強いチームに1勝すれば自信にもつながっていくと思います。」とあくまで平常心でダービーに臨むキャプテンの姿勢を見せてくれました。
なお3月5日(日)は西地区で首位独走中のシーホース三河に対しアウェイで87-66で快勝したサンロッカーズ渋谷。
しかも広瀬選手がチーム最多・今季最多の25得点を奪う大活躍を見せました!
チームも個人も自信を持って、いざ「渋谷ダービー」に臨みます。
最後に広瀬健太選手から応援してくれるブースターにそしてこれからバスケットを見に来てくれる皆さんにメッセージをいただきました。
「チャンピオンシップ進出争いで負けられない試合が続いていきます。特にホームではブースター・皆さんの力を貰って一つも負けないつもりで戦います。そのためには皆さんに会場に来て、パワーを送ってもらうことが一番です。ぜひ同じ目線で一緒に戦いましょう。よろしくお願いします!」
どんな質問にもプレイ同様、時には冷静に、時には熱く答えてくれたサンロッカーズ渋谷のキャプテン・広瀬健太選手。
まずはチャンピオンシップ進出へ、どうやってチームを導くかそしてアルバルク東京を相手にどんなバスケットボールを見せるか注目です!
いよいよ週末の18(土)・19(日)は青山学院記念館にてアルバルク東京を迎えた2連戦・「渋谷ダービー」です。
サンロッカーズ渋谷 vs アルバルク東京
開催日:3/18(土)18:00~、19(日)14:10~
会場:青山学院記念館(東京メトロ・表参道駅から徒歩5分、JR渋谷駅から徒歩10分)チケット:https://www.bleague-ticket.jp/index
サンロッカーズ渋谷:https://www.hitachi-sunrockers.co.jp/
サンロッカーズFacebook:https://www.facebook.com/HitachiSunrockers/
サンロッカーズtwitter:https://twitter.com/we_r_sunrockers
次回は今年のオールジャパンで優勝、東地区で東京・栃木と激しい首位争いを繰り広げる千葉ジェッツから日本代表・小野龍猛選手が登場です。
(清水久嗣)
前編【初めての「渋谷ダービー」は選手と同じ目線で声援を! サンロッカーズ渋谷キャプテン・広瀬健太選手インタビューその① 清水久嗣のB.LEAGUEレポート!】はこちら>