お手本にしたのは、ドミニカ出身で、かつてはレッドソックスのスーパースターのデービッド・オルティスでした。昨年、惜しまれつつ現役を引退。野手最年長で今シーズンを迎えた井口は、
「オルティスのようにスパッとやめたい。まだ、できるというところで、やめたかった。」
と昨日、今シーズン限りでの引退を正式発表しています。
ただ、正式ではないにしろ、井口の引退は選手や担当記者などが、それとなくわかっていました。実際、昨年の契約更改でフロントへ、現役は17年までと申し入れています。そうはいっても、肝心の人は寝耳に水。伊東監督です。「お話があります。」と監督室を訪ね、引退を伝えると、思わず「エッ」と絶句したとか。その後井口に、こう言っています。
現役で今年のように、負けたことがあるか。
井口が
ありません。監督はどうですか。
と逆に質問すると、
おれもだよ。
と苦笑していたそうでした。
井口の発表を受け、巨人の高橋監督もコメントを。1歳上の井口を交流戦時に表敬訪問して、短い昔話をしたそう。
バットもいただいたことがあるし、むこうは東都のスーパースターでした。
と懐かしんでいます。自主トレは毎年、沖縄で行ってきた。ところが、ここ数年、トレーニング量が増えたのは、やはり年齢的な衰えを感じたからでしょう。毎朝、午前5時55分に起床して、ゴルフ場で4キロのランニングを行う。そして、朝食をはさみ、午前8時30分からストレッチ、キャッチボールなど、70種類のメニューを約2時間でこなし、午後も、もちろん本格的なトレーニングを。
30歳を過ぎてから、時間が経つのを、とてもはやく感じるようになった。
と漏らしています。
1996年ドラフト1位でダイエーに入団。05年にはメジャー移籍し、1年目のホワイトソックスでワールドシリーズを制覇しました。日本シリーズとワールドシリーズ両方で優勝した、日本人初の快挙を達成。09年から家族の事情などで日本球界へ復帰して、ロッテの主砲として活躍します。13年、日米通算2,000本安打をマーク。とはいうものの、最近は出場機会が減って、代打やDHなどが多い。低迷が続く、ロッテ。今シーズン、井口にとって最大の喜びは5月25日の通算250号本塁打でした。
試合後、ソフトバンクホークスの王会長から、『おめでとうございます。体に気をつけて、1本でも多くホームランを打ってください。』というメールが送信されてきたことが、
涙が出るほど嬉しかった。
生まじめすぎて、ダイエー時代は浮き沈みが結構激しい。そんな時、当時の王監督から、
(打撃)フォームは完成しないものだ。だから、毎日違っていい、おれは若い頃、三振王と呼ばれた。ちょっと打てないぐらい、気にするな。
など、励まし続けられたそうです。
シーズンはこれから。井口選手の打席では、ひときわ声援が高くなることでしょう。
6月21日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」