“マリナーズ・イチロー”の復帰を予言していた昨年4月の出来事
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今年は、日本人メジャーリーガーの去就がなかなか決まらないシーズンですが、ついに「日本が誇るレジェンド」にもオファーが届きました。
そう、古巣シアトル・マリナーズに復帰が決まったイチロー選手・44歳です。
去年まで、マイアミ・マーリンズでプレーしていたイチロー選手。メジャー17年目の去年は136試合に出場しましたが、代打での出場が多く、ヒットの数は、メジャー移籍以来、最も少ない50安打。打率は2割5分5厘で、ホームランは3本、盗塁はわずかに1つでした。
この成績に「衰えは隠せない」と判断したマーリンズは、契約更新を見送り、イチロー選手は、所属が宙ぶらりんのまま、どこにでも移籍できるFA選手としてよその球団のオファーを待つことになったのです。
しかし暮れになり、年が明け、2月になってもオファーは来ず、3月に突入。「日本球界に戻って来るかも…」という声も出ていた矢先に手を挙げたのは、2001年から2012年途中まで在籍していた古巣、シアトル・マリナーズです。レギュラーの外野手が脇腹を痛め、開幕に間に合わないことから、手薄になった外野を埋めようと、経験豊富なイチロー選手への復帰要請となったようです。
イチロー選手にとっては、メジャーでの第一歩を記し、11年以上も在籍した愛着の深いチームであり、6年ぶりにシアトルへ戻ることが決まったのは、原点回帰の意味でも、非常に嬉しいオファーだったに違いありません。
そして、シアトルの人たちにとっても、イチロー選手は特別な選手なのです。メジャー移籍1年目の2001年、いきなり首位打者・盗塁王のタイトルに輝き、新人王と、アメリカンリーグのMVPまで獲得してしまったイチロー選手。
4年目の2004年、メジャーのシーズン最多安打記録を84年ぶりに更新する「262安打」を達成。入団から10年連続で200安打以上をマークし、イチロー選手がヒットを打つたびに、手製のメーターの数字を1つずつ増やしていく女性ファン・エイミーさんも登場。この手作りのメーターは「イチメーター」と呼ばれ、エイミーさんともども、マリナーズの本拠地・セーフコフィールドの名物になったのです。
2012年のシーズン途中、イチロー選手がニューヨーク・ヤンキースに移籍しても、シアトルのファンはイチロー選手のことを忘れていませんでした。
シアトル市民の「イチロー愛」を象徴する出来事が、去年の4月にありました。セーフコフィールドで行われた、マリナーズ対マーリンズ戦で、イチロー選手が3年ぶりにシアトルへ姿を見せることになったのです。
メジャー通算3000本安打を達成してから、初のシアトル凱旋ということで、大々的な祝賀セレモニーも行われました。念のため申し上げておきますが、この時点でイチロー選手は、マリナーズではなく、相手チームの選手です。でも祝わずにはいられない、祝って当然……これがアメリカの野球文化であり、イチロー選手がいかに特別な存在かが、よく分かります。
そしてイチロー選手は、やはり千両役者。なんとこの凱旋試合で、最終回にホームランを放ちました。その瞬間、スタンドは興奮のるつぼ。スタンドにいたエイミーさんも大喜びしながら「イチメーター」の数字をまた1つ増やしたのは言うまでもありません。
そんなエイミーさんにとって、イチロー選手の復帰は何よりの朗報。今シーズンはどれだけ「イチメーター」の数字を増やせるのか、楽しみです!
3月7日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」