中井貴惠が初めて翻訳に挑戦した絵本『ハンナとシュガー』
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、女優でありエッセイストの中井貴惠が出演。初めて翻訳した絵本『ハンナとシュガー』について語った。
黒木)今週のゲストは女優でエッセイストの中井貴惠さんです。
20年にわたって読み聞かせ、朗読で活躍されている中井さんですけれども、この度、『ハンナとシュガー』という絵本の翻訳をなさいました。これは作家のケイト・ベアビーさんのデビュー作ですか?
中井)デビュー作で、「ハンナ」というのが女の子で、「シュガー」が犬の名前です。作家であるケイト・ベアビーが実際に、シュガーという名前の犬を飼っていました。その犬はシェパードで、この描かれている犬とは似ていないのですが、私の飼っている犬がこの描かれている犬とそっくりなのです。私の飼っている犬も絵本に出ているのですが、この茶色い犬とシュガーがそっくりです。
黒木)犬種は何ですか?
中井)フラットコーッテド・レトリーバーと言う犬です。ハンナという女の子は犬が嫌いなのですが、毎日スクールバスのバス停に犬を連れてお迎えに来るバイオレットというお友達の家の、その犬がシュガーなのです。
黒木)ちょっとお願いして良いですか? この4ページぐらいを、中井さんの声で。
中井)まだこれは読んだことがないのですが…。緊張しますね、じゃあ読みます。
「ハンナのパパはスクールバスで帰って来るハンナを毎日お迎えに行きます。シュガーもスクールバスで帰って来るバイオレットを毎日お迎えに行きます。バイオレットのママはいつもハンナに、『シュガーと遊ばないの?』と言います。ハンナはいつも、『ううん、遊ばない』と言います。ハンナのパパはきょうもスクールバスで帰って来るハンナをお迎えに行きます。シュガーもスクールバスで帰って来るバイオレットをお迎えに行きます。バイオレットのママは、きょうもハンナに『シュガーと遊ばないの?』と言います。ハンナは、『ううん、遊ばない』と言います」
黒木)この後ハンナはどうするのでしょうか。
中井)ずっと「遊ばない」と言い続けます。
黒木)この後どうなったかご興味のある方は、『ハンナとシュガー』を購入してください。イマジネイション・プラスから出版されています。可愛いですね。
中井)可愛いですよ。でも朗読は、俳優さんにとっては音読に近いもので、普段からやっていることなので、それほど大変じゃないかなと思って始めたのですが、やればやるほど難しいですね。
黒木)そう思います。
中井)ラジオと同じことですよね。声だけを聞いて、情景を浮かべるという。それを伝えることは、「すみません、朗読のことを軽んじていました」という感じでした。
黒木)20年も続けてらっしゃるし、小津安二郎さんの映画もやってらっしゃるし、大人の絵本の朗読会もやってらっしゃるから。絵本の翻訳はどこが大変でしたか?
中井)私は英語の専門知識もないのですが、出版社の方に「英語力ですか?」と聞くと「いいえ、日本語力です」とおっしゃいます。英語の原作と日本語の翻訳を両方手に取って読む方はいなくて、日本語訳を読むわけですから、忠実に訳すということではなく、この表現にどのような日本語を入れるかというところが、翻訳する人のチョイスになって来ます。いかようにも世界は膨らむし、逆につまらなくもなってしまうので、責任は重大だと思います。
中井貴惠/女優・エッセイスト■1978年、早稲田大学在学中に東宝映画「女王蜂」のヒロインでデビュー。以後、映画、テレビ、CFなどで活躍。
■1987年に結婚。アメリカ・札幌と移り住み、現在は東京在住。
■女優業のほか、執筆でも活躍。数々のエッセイや翻訳・抄訳作品を出版。また、エッセイやコラムなども手掛け多方面で活躍。
■1998年には「大人と子供のための読みきかせの会」を結成。
仕掛けたっぷりの大型絵本と生の音楽をつけた独特の読みきかせは大人気を博し、幼稚園、小学校や小児病棟などで行われる公演は既に1,300回以上を数える。
■2006年より、中井貴惠の朗読と音楽だけによる「音語り」シリーズをスタート。
■2009年からは小津安二郎監督作品の音語り公演「小津安二郎映画を聞く」シリーズを展開。『晩春』『秋日和』『東京物語』『お早よう』『秋刀魚の味』『麦秋』を上演。これまでにない朗読のスタイルとして各地で注目を集めている。
■2017年12月には、中井自身が作品を厳選し、ゆったりと落ち着いた空間で、大人が絵本の朗読を楽しむ公演『おとな絵本の朗読会』をスタート。表現の幅を更に広げた活動を展開している。
■JXTG童話賞の選考委員を務める。
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