巨人・内海 すでに予測されていた西武への移籍

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日は、20日にFAの人的補償で西武に移籍することになった巨人・内海哲也投手のエピソードを取り上げる。

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力投する巨人先発の内海哲也投手=2018年9月14日、横浜スタジアム 写真提供:時事通信

「日本一のファンに支えられた、ジャイアンツでの15年間は最高の思い出です」(内海コメント)

西武は20日、巨人へFA移籍した炭谷銀仁朗の人的補償として、内海を獲得すると発表しました。内海は現在36歳。2011・12年には2年連続最多勝を獲得するなど、巨人のエースとして活躍。プロ15年間で通算133勝を挙げ、6度のリーグ優勝、2度の日本一に貢献しました。

その大功労者が、こういう形でチームを去ることになったことに、巨人ファンから批判の声も上がっていますが、プロテクトできる人数には限りがあり、球団としても苦渋の選択でした。石井一夫・球団社長兼編成本部長のコメントでも、それが分かります。

「長年にわたってジャイアンツのエースを務め、同僚選手たちの精神的な柱でもあった内海投手の移籍は、大変残念でなりません」
「今後は埼玉西武ライオンズで、これまで通り、子どもたちの憧れの的として活躍し続けていただき、いつの日か、再びジャイアンツに戻ってくれることを期待しています」

実は事情通の間で、「西武が“指名”するのは内海では?」という予測はされていました。内海は2014年を最後に2ケタ勝利から4年間遠ざかっており、今季も5勝止まり。来季絶対に外せない先発要員・リリーフ陣をプロテクトして行くと、どうしても優先順位は下がってしまいます。

また西武側も、エース・菊池雄星がメジャー移籍する見込みで、来季の先発左腕が榎田だけになってしまうため、辻監督は人的補償について、優勝旅行の前にこんなコメントをしていました。

「今後のための選手じゃない。やっぱり即戦力。投手で今すぐ、がいちばん欲しい」

内海は今季、15試合に先発登板。5勝とはいえ4年ぶりの完封勝利も挙げており、またパ・リーグは初めてですが、交流戦でパ相手に2011年5勝0敗、12年4勝0敗という相性の良さを見せています。(ちなみに、交流戦通算22勝はセ・リーグ現役トップ)

連覇を狙う辻監督にとっても、今季リーグワーストのチーム防御率4.24の投手陣を立て直すために、経験豊富な内海がローテに加わってくれることは何より心強いことです。

人的補償で移籍と言うと、どうしても「プロテクト漏れ」「戦力外」というイメージで捉えられがちですが、“指名”した側にとっては「欲しい選手」であり、今回、内海も必要とされて行くのです。

また辻監督は、内海の野球に取り組む真面目な姿勢や、人柄も高く評価しており、若手の良き手本となることも期待されています。

DH制があり、打線が強力なパ・リーグへの移籍は、セの投手にとって厳しいと言われますが、前述の相性の良さに加え、今季阪神から西武に移籍した榎田が11勝を挙げたことは、同じ技巧派左腕の内海にとっては、心強いデータです。しかも、浅村が抜けたとはいえ、西武打線は依然強力。援護も見込めます。

「ジャイアンツで培ったすべてを生かし、新しいチームでも気持ちを新たに頑張ります。ジャイアンツの皆さん、日本シリーズで対戦しましょう」

と、新天地での活躍を宣言した内海。交流戦での対決もありそうですし、来季のピッチングに注目です。

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