話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日は、19日に契約を更改した巨人・岡本和真選手のエピソードを取り上げる。
「こんなに変わるんだというか、一気に変わってビックリ。最大限の評価をしていただきました」
巨人・岡本和真が19日、契約更改交渉に臨み、今季年俸の1,200万円から、球団史上最高の567%アップとなる年俸8,000万円でサインしました。
期待されながら、過去3年間でホームランをわずか1本しか打っていなかった岡本。ところが、4年目の今季は30発と大ブレイク。チームで唯一全試合に出場し(しかも全試合スタメン)、6月からは第89代となる4番打者も務めました。
終わってみれば、史上最年少の22歳で「打率3割・30本塁打・100打点」を達成。シーズン最終戦を前に、「28本塁打・97打点」だった岡本ですが、3打席ノーヒットでどちらも大台に乗らなかったか……と思いきや、第4打席に勝ち越しのソロアーチ、第5打席にダメ押しの2ランを打って、ジャスト「30本塁打・100打点」を達成。
しかもこの2発は、チームの3位を決める貴重なホームランとなり、まさに4番の働き。球団フロントも「文句の付けようがない」と最大限の評価で応えてくれました。
「税金は関係なく、全部貯金します(笑)」
と報道陣を笑わせた岡本。しかし、その目はもう来季を向いています。
4番を務めて痛感したことは、自分の成績が勝敗に直結すること。4番が勝負所で打てばチームも勝てますが、不発に終われば負ける。4年連続でペナントを逃し、高橋由伸前監督の辞任につながった責任を、誰より感じているのが岡本なのです。
球団からは「3割、30本、100打点は最低ライン。一段高い『40本塁打・120打点』を目標にしてほしい」と厳命された岡本。
過去、長い巨人の歴史のなかで「40本、120打点」を達成したのは、王貞治・ラミレスの2人だけ。球団がそれだけ高い目標を設定したのは、5年ぶりのV奪回は岡本のバットに懸かっている、と考えているからです。
「高い目標の方が、モチベーションになる」
来季、原監督は岡本を「4番・サード」に据える構想を考えています。今季は主にファーストかレフトでの出場が主でしたが、長嶋茂雄→原辰徳と受け継がれて来た「4番・サード」を継承するのは岡本しかいない、という思いがあるからです。この構想に、
「サードがいちばん緊張感がある。やりたい」
と意欲を見せる岡本。丸の加入も大きな刺激になっています。
「来年からは世間の期待値も変わる。高いところから始まるので、それに恥じないように、もっともっと上に行けるように。チームの優勝、日本一に貢献できるように頑張りたい」
来季、岡本がどんな進化した姿を見せてくれるのか、注目です。