「垣花正 あなたとハッピー!」(4月3日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。決裂に終わった米朝首脳会談、その裏で動いていた影の主役は韓国の文在寅政権。その韓国は恐ろしい計画を立てていた——。森永卓郎が鋭く解説する。
米朝首脳会談が決裂した本当の理由
2月28日にハノイで行われた米朝首脳会談は事実上、完全な決裂に終わりました。なぜ決裂したのかと言うと、アメリカが北朝鮮に核を完全に放棄しろと言ったら、北朝鮮があまりに大きな交換条件を出して来たからです。アメリカの主張によると、北朝鮮は事実上すべての制裁を解除しろと言って来た。北朝鮮は「制裁の一部で、民生分野に限っているから全部とは言っていない」と主張していますが、北朝鮮の解除要求には北朝鮮産の石油の輸出禁止や、北朝鮮が輸入する石油の完全解禁などが含まれていると言われています。
つまり「細かいところではなく、重要な部分を全部解除しろ」ということで、一部と言いながら、大部分なのです。
中国・韓国の手助けによって経済制裁は形骸化している~現状よりも改善するための大幅な解除要求
なぜ北朝鮮がこんなに強い要求をして来たのか、中国の専門家に聞くと、国連が課している経済制裁は中国や韓国の手助けによって事実上かなり形骸化していて、大幅な解除要求をしなければ、北朝鮮にとって現状よりも改善にならないという事情があったのだと思います。瀬取りと言って、沖合で密貿易をするわけです。一説によると韓国の軍隊がそれをきちんと見守る役割をしているということです。
だから、例えば自衛隊機にレーダー照射をして来たではないですか。あれは自衛隊機が密貿易を監視するために低めの高度で飛んで、国連決議に反することをしていないかチェックしたところ、韓国がレーダーを発射して来たということのようです。
中国も北朝鮮が極度の経済不振にならないように配慮し出している。だから北朝鮮にとって現状を改善するためには、完全制裁解除をしないと取引が成立しなかったということです。
ただそんな要求をされても、トランプ大統領が交渉に応じる可能性はあったと思います。コーエンさんという元顧問弁護士が、議会でトランプ大統領の大スキャンダル暴露に出ていまして、政権がゆらいでいるので。ただ、北朝鮮が欲をかきすぎたのは事実だと思います。そもそも取引条件としては、開城工業団地や金剛山観光の再開、あるいは朝鮮戦争の終結宣言などで折り合うのではないかと言われていました。
その朝鮮戦争の終結宣言をいちばん望んでいたのが、韓国の文在寅大統領だと思います。
文在寅政権が反日に進む理由
韓国は、皆さんニュースでご存知かと思いますが、このところ反日行動が続いています。慰安婦問題は言うに及ばず、徴用工の問題も日本企業の資産を差し置さえたと言っていたり、自衛隊機にレーダーを照射したり、文在寅大統領がどんどん反日攻勢に出て来ている。2月26日の閣議では大統領自身が、親日を清算して独立運動を適切に礼遇することが、正義ある国へ進む出発点だと。親日を清算するとまで言ってしまった。
以前はなぜ反日をそれほど強力に押し出さなかったかと言うと、アメリカの存在です。アメリカはずっと「同盟国同士で仲たがいしてどうするのだ」と、日韓は仲良くしろという圧力をかけ続けて来たのです。ところが文在寅大統領は、そのアメリカの要請をこのところ無視している。なぜ無視しているかと言うと、朝鮮戦争の終結宣言が取れれば何が起こるかという話なのですね。
朝鮮統一によって在韓米軍の撤退と北朝鮮の安い労働力の確保が可能に
韓国には、日本に駐留米軍がいるのと一緒で、在韓米軍がいます。駐留米軍を置いておくとアメリカに逆らうことがなかなかできない。逆らったら、米軍が攻め上がって来てしまう。
ところが朝鮮戦争が終結すると、韓国に米軍がいる理由がなくなるので、駐留米軍は撤退する。撤退させて、北朝鮮と中国と仲良くするという戦略です。北朝鮮と仲良くする政策を文在寅さんは言い続けているのですが、もう1つ、国として統一するのは難しくても、経済的に統合すると非常においしいことがある。
韓国はずっと安い賃金で物を作って、半導体から家電製品まで世界中に輸出して成長して来たのですが、最近行き詰っています。価格競争力が無くなって、最低賃金が日本より高くなってしまっているからです。
ところが経済的に北朝鮮と統合すると、北朝鮮には低賃金労働力が山のようにいます。だから、再び同じ戦略で輸出攻勢をかけられるということです。それと経済的な部分以外で大きなことは、北朝鮮が核を持っていることです。北朝鮮と事実上統合すると、「核を持った韓国」という、とてつもなく強い南北統一がはかれるのです。
これは日本にとって最悪なシナリオで、在韓米軍がいなくなると防衛ラインが日本に行くのです。だから日本はもっと米軍を受け入れなければいけなくなって、万が一戦争が起こった際には日本が最前線になってしまう。
一方では支持率が下がっている文在寅大統領
この会談の決裂によって、文在寅さんが描いていたシナリオが遠のいたのかなと思います。ただ、本人は諦めていないでしょうね。
私が韓国の国民はまともだなと思うのは、こういう極端な政策、要するに「日本を仮想敵国として一気に南北統一だ」という極論に走る文在寅大統領の支持率が、どんどん落ちていて、いま過去最低を更新しているということです。大統領は独走していますが、意外と韓国国民は冷静です。「日本好きだぜ」という韓国の人は少なくないです。特に私の付き合っているオタク系の韓国人は皆、日本が大好きです。
垣花正 あなたとハッピー!
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