ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月20日放送)にジャーナリストの有本香が出演。横浜市が統合型リゾート施設(IR)を誘致する方針を固めたことについて解説した。
横浜市がIR誘致へ
横浜市がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)を誘致する方針を固め、今週中にも横浜市の林文子市長が表明すると各社が報じている。
飯田)候補地は、東京都心や羽田空港からも交通の便がいい、横浜港の山下ふ頭。規模にして47ヘクタールということです。他にも大阪、東京、千葉、長崎あたりも誘致に手を挙げるのではないかと言われています。
有本)事業者の方々から提案があって、それを受けた形だと報道されていますけれども、横浜市民からはあまり評判がよくないのですよね。
飯田)メールもいただいています。横浜市港北区の“やすゆき”さん、46歳の方。「横浜市は市長選の前に、一切このIR誘致を言わなくなったのですが、もともとは誘致したい意向だったように思います。一旦曖昧にしたあと、やはりここで表に出して来ましたね。いち横浜市民としては、税収も観光資源の頭打ちなのでいいのではないかと思いながら、横浜は財界も強いのでひと悶着ありそうな気がします」。また“匿名で”という横浜市の方からは、「反対です。カジノは必要なのですかね? バブルのときならまだお金や時間に余裕があったけれど、いまの若者たちがギャンブルに魅力を感じているのか。スマホの普及で時間潰しができるし、待ち合わせも簡単にできます。昔は待ち合わせだとか、ちょっとした時間つぶしに、お金に余裕があったのでパチンコでも…という人もいましたが」と、いただきました。
必ずしもカジノが好まれているわけではない
有本)いわゆるIR、統合型リゾートと言われるものに入っているカジノは、リゾート全体のなかでは3%ほどで、占める面積はとても少ないのです。大体は空港からのアクセスがいいところに作るので、要するに観光客やビジネス客、コンベンション(国際会議)などで来る人たちを見込んでいるものです。だからメールにあったような、ちょっと時間つぶしにパチンコとか、そういうニーズに応えるものではないのですよ。ただ、年間1兆円以上の経済効果が見込まれるようなことが言われているけれど、本当かなと思いますよね。
飯田)本当にそうかと。
有本)統合型リゾートを、羽田からアクセスのいいところに作りました。あるいは成田から、関空からと言うけれど、問題は箱を作ることではないのですよ。コンベンションを日本に引っ張って来れるかというところが問題なのですね。コンベンション需要を取り込むことは、世界中がしのぎを削っている部分です。ここへ入って行くにあたり、統合型リゾートのなかで売りは何ですかと言われたときに、カジノがあることだというのはどうなのでしょうか。世界的なトレンドを見ると、必ずしもカジノがあるところが好まれているわけではないのですよ。
安易な方向に流れがちな日本の観光政策
有本)カジノがある統合型リゾートを好むのはどういう人たちかと言うと、圧倒的に中国系です。日本の場合、隣国からのニーズを取り込みたいというところがある。だからマカオに大挙して押し寄せたり、シンガポールなどに行っている人たちを日本にも向けさせたいのだろうけれど、思うように行くのかなと思いますね。それから、先ほど財界というお話がありましたが、財界とは少し違うけれど、一部で反対を表明している団体も出ていますよね。
飯田)そうですよね、公安関係などが。
有本)それと、IRリゾートはカジノではない、博打場ではないということをやたらと言いますよね。でも、そもそも統合型リゾートを作って、その売りをカジノにするという作戦は、いまどきのビジネス的にいいものなのでしょうか? それがいいという調査を、果たして誰がしたのかというところなのですよ。日本の観光政策はすごく安易な方向に流れているような懸念が、私にはありますね。
飯田)数の多い求めだとか。
有本)そうです。ワッと人が動いているからカジノがいい、マカオやシンガポールに行っている人たちの流れをこっちにも、というようなね。それはどうなのだろうと思います。
飯田)確かにマカオを見ていると、中国の経済が左前になって行ったら、一気に人がいなくなったりしますから。
有本)そうなのですよ。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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