竹内まりや~「ベイビー・マイン」における訳詞曲の難しさ

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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、シンガー・ソングライターの竹内まりやが出演。日本語と英語の歌詞の違い、また訳詞曲の難しさについて語った。

竹内まりや~「ベイビー・マイン」における訳詞曲の難しさ

黒木)今週のゲストはシンガー・ソングライターの竹内まりやさんです。9月4日にデビュー40周年記念アルバム『Turntable』がリリースされたばかりですが、いろいろと企画があると聞いております。

竹内)この『Turntable』が終わりましたら、10月に公開される吉永小百合さんと天海祐希さん主演の映画『最高の人生の見つけ方』のテーマソングを手掛けることになりました。

黒木)これは新曲ですか?

竹内)新曲です。『Turntable』の制作をしながら、映画のための曲も書いていました。

黒木)本当に。

竹内)この『最高の人生の見つけ方』も、とても素敵な映画ですので、ぜひご覧になってください。

黒木)日本語で歌われるときと、英語で歌われるとき、イタリア語で歌われるときでは違うものですか?

竹内)違いますね。伝えたい思いは同じでも、言語が違うと発声が変わって来ます。日本語は母音が5つしかなくて、平たい平坦な言葉なのでメロディに乗りにくいのですが、英語の場合は子音がたくさん入っていることでリズムが付くので、私は英語で歌う方が楽です。

黒木)そうですか。

竹内)はい。フランス語とかイタリア語は別ですけれど。でも、日本語を大切に歌いたいということが前提としてありますが。

黒木)でも、この「ベイビー・マイン」を訳すというか、日本語の歌詞をつけられるときには、いろいろな言葉を思いつかれたのでしょうね。

竹内)英語をそのまま日本語にすると、長い文章になってしまう。それをどう凝縮して、シンプルだけれども英語の意味を伝えられるか、その言葉を選ぶことが大変ですよね。宝塚に縁の深い岩谷時子さんが、『レ・ミゼラブル』を翻訳されたときもそうだったと言われているのですが、「I love you」と言ったら「私はあなたを愛しています」だけれど、「私」しか言えない三音節で何を言うのか。「I /love/ you」が「わ/た/し」では終わらないので、それが日本語の難しいところですよね。

黒木)どのようにして作られたのですか?

竹内)やり直し、やり直しで同じところを堂々巡りしたり。字面がよくても、歌にして歌ってみると響かない場合があります。だから、響きと意味がフィットしていないといけない。そこが訳詞の難しいところだなと思います。

黒木)「don't you cry」が「どうか」になっているではないですか。そこだけ聴くとね。

竹内)あとは映画でリップシンクされる方が、日本語と英語でそれぞれに重なるようにします。そこがまた限定されるところです。「don't / you/ cry」と言ったら、「ど/う/か」で。

黒木)そうなのですね。本当に盛りだくさんの40周年ということですが、これからもパッションを持ち続けて。

竹内)これからも私のペースで、たぶんのんびりペースだと思うのですが、無理はしないで。でも、このパッションがある限り、そして声が続く限りは歌い続けて行きたいと思っています。

黒木)私たちにその素敵な歌声を届けてください。

竹内まりや~「ベイビー・マイン」における訳詞曲の難しさ

竹内まりや/シンガー・ソングライター

■1955年 3月20日、島根県出雲市大社町生まれ。
■1972年、高校3年のときにAFS交換留学生として、アメリカ・イリノイ州ロックフォールズ・タウンシップ・ハイスクールに留学。
■1974年、慶応大学文学部 英文学科入学。音楽サークル「リアルマッコイズ」に参加。
■サークル先輩の杉真理のレコーディングに参加したのがきっかけで、1978年3月、オムニバス・アルバム『ロフト・セッションズ』に誘われ参加。
■1978年11月、シングル「戻っておいで・私の時間」でデビュー。「September」「不思議なピーチパイ」などがヒット。
■1982年4月、山下達郎と結婚。
■結婚後は作家としても「元気を出して」「駅」など多くの作品を他アーティストに提供。1984年には自らもシンガー・ソングライターとして活動を再開。
■1994年のベスト・アルバム『Impressions』が350万枚の大ヒットを記録。デビュー30周年の2008年にリリースしたコンプリート・ベスト・アルバム、『Expressions』もミリオンを達成。
■2014年発表のアルバム『TRAD』は、日本レコード大賞「最優秀アルバム賞」を受賞。また33年ぶりとなる6都市9公演の全国ツアーで約75000人を動員。
■2015年、「第6回 岩谷時子賞」を受賞。これまでに発表して来たたくさんの楽曲が、いまでも世代を超えて多くの人々の支持を得ている。
■2018年11月にデビュー40周年を迎え、9月4日にデビュー40周年記念アルバム、モア・ベスト&レアリティーズ&カバーズ『Turntable』をリリース。

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毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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