歌手の森山良子が、オリジナルのパイ「この広い野原いっパイ」をプロデュースしたところ、大好評となっている。このユニークなお菓子の誕生のきっかけとは。
森山は、ニッポン放送のラジオ番組「オールナイトニッポンmusic10」(月~木曜 夜10~12時)の月曜パーソナリティを務めているが、この番組の放送作家・藤井青銅(ふじい・せいどう)の影響で“パイ”に興味を持ったという。藤井は作家であると同時に「一般社団法人 日本パイ倶楽部」の理事を務めている。全国各地のお土産パイを集めた図鑑「ゆるパイ図鑑」を出版したことがきっかけで、理事を務めることになったのだ。この話を聞いた森山は「え? 青銅さんってパイ倶楽部の理事なの?」と興味津々になり、コンサートで全国各地に赴いてはご当地のお土産パイを購入し、「青銅さん、こんなパイ知ってる?」とスタジオに持参することもしばしばあるとか。
2017年に日本中のご当地パイを集めた「全国ゆるパイ展2017」を日本パイ倶楽部の主催で開催した際には、直前まで山梨県のご当地パイが手に入らず頭を抱えていた藤井だったが、森山のコンサートが偶然山梨県で開催されることを知り、森山のスタッフに購入を頼んだ。「番組のおかげで日本全国のパイが揃いました」と当時を振り返りながら喜びを語った藤井。
そして2019年、森山のデビュー曲「この広い野原いっぱい」というタイトルの中に“パイ”が含まれていることにスタッフが気づいたことから、日本パイ倶楽部が全面協力する形で、オリジナルのパイを作るプロジェクトが始動した。
まず、パイのデザインは森山自身が考案。“広い野原に咲きこぼれる花と葉”をモチーフに、森山のイメージするパイをラフなイラストとして描き、イラストをもとに試作品が作られた。
パイの“味”に対してもこだわりがあり、「お花は甘く、葉っぱは少し大人の味にしたい」という森山のリクエストで、1箱で2種類の味を楽しめる商品になっている。パイの味を決める過程では、「花の形のパイ」の味は円滑に決まったが、もう一方の「葉っぱの形のパイ」の味は何度も試作を重ねる中で森山も自ら味見をした結果、チーズ味に決定したという。
また箱のデザインは、「この広い野原いっぱい」の歌詞の中にある「赤いリボンの花束にして」というフレーズにちなんだものに決定。箱の中には森山からのメッセージカードも同封されている。
こうした過程を経て2019年11月、大阪フェスティバルホールで開催された森山のコンサート「森山良子コンサートツアー2019 〜Prime Songs〜」で初めて「この広い野原いっパイ」をお披露目したところ、大人気で短い時間のうちに完売。
ファンの感想は、「まさか、あの歌がパイになるとは」「面白くて、おいしい!」と大好評で、番組にもパイを食べた感想が殺到しているとのこと。その後も森山のコンサート会場で大好評の『この広い野原いっパイ』。コンサートに行けない人のために、日本パイ倶楽部の通販サイトでも扱いが始まった。
ヒット曲や話題、そして人気パーソナリティ……様々なものが生まれるのが「ラジオ」であるが、この番組からは、おいしくて愛情のこもったパイのお菓子が生まれた。
番組情報
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