新型コロナウイルスによる肺炎で、3月29日に亡くなったお笑いタレントの志村けんさんの元弟子で、現在は故郷の鹿児島でご当地レポーターとして活躍している乾き亭げそ太郎が、4月27日(月)放送のニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」内のコーナー「ゲストとハッピー!」に電話で生出演。90年代の多忙を極めた志村さんと7年間365日ずっと一緒に過ごしていたというげそ太郎が、志村さんとのエピソードを明かした。
これまでたくさんの人々に笑いを届けてきた「コメディアン・志村けん」。その様子を間近で見てきた元・弟子が、その素顔を振り返った。
垣花正:改めて、志村さんってどんな方だったんですか?
乾き亭げそ太郎:すごくシャイな人で。優しさも直接的な優しさじゃなくて、ちょっと変化球な優しさなんですよね。スウェーデンに番組のロケに行った時に、志村さんのカバンを預かっていたんです。ロケの最終日に打ち上げで、「お前も飲めよ」って言われて。僕、めちゃくちゃお酒が弱いんです。それで、朝起きたら志村さんのカバンが無くて、タクシーの中に忘れてしまったのを思い出したんです。志村さんに謝った時に、怒られるのかと思ったら「そうか」の一言だけで全く怒らなかった。
垣花:一言だけ? なんで志村さんは怒らなかったんですか?
げそ太郎:あとで理由を聞いたら「あそこで怒ってもどうしようもないだろ?」って言われて。
垣花:「どうしようもないことは怒ってもしょうがない」っていう考え方なんですね。
げそ太郎:そうなんです。でも遅刻とかするとすごく怒られたりして。「直せる事」は怒って、「どうしようもない事」は怒らないという人でしたね。
垣花:確かにちょっと変化球な優しさですね。ちなみに、げそ太郎さんは志村さんの運転手も務めていたんですよね? 運転している中で志村さんの優しさを感じることはありましたか?
げそ太郎:僕が運転して、後部座席に志村さんが乗っていたんですけど。運転中、信号待ちのたびに毎回地図を広げて次の向かう場所を調べていたんです。そしたら志村さんが「そろそろこの車にもカーナビ付けるか」って言ってくれて。志村さんの知り合いの整備会社にカーナビを設置してもらったんです。それで、車が戻ってきて運転席を見たらカーナビが付いていないんですよ。よく見たら、後部座席にカーナビが付いているんです。「志村さんカーナビが後部座席に付いちゃってますよ」って報告したら「うん。俺がどこ走ってるか見たいんだよ」って言われて(笑)
垣花:えー! カーナビは運転手が見るものって思いますけど、志村さんは自分がカーナビを見たいから付けたんですね(笑)
げそ太郎:そうなんです(笑) それから、僕が少しでも道を間違えると「おい。違うぞ。」って怒るようになって。そこは怒るんだって思いました(笑)
垣花:道に関してだけ、厳しくなっちゃったんですね(笑) ――ところで、げそ太郎さんは舞台「志村魂」にも出演されていましたよね。げそ太郎さんのご両親が観に来た際に、志村さんの粋なはからいがあったとか。
げそ太郎:僕の出演は台本で2行くらいの30秒ほどのシーンだったんですが、その日だけ、志村さんがアドリブで時間を伸ばしてくれて、僕とのやりとりを2分以上作ってくれたんです。
垣花:それは優しいですね。ご両親が来たその日だけですか?
げそ太郎:他の日は、台本通り30秒ぐらいだったので、本当に僕の両親が来た時だけやってくれたんです。
志村けんさんの「笑い」だけでなく、「厳しさ」「優しさ」を誰よりも間近で見てきた乾き亭げそ太郎。伝説のコメディアンが遺したものを後世に語り継いでいくと意気込み、最後にげそ太郎は、「“志村イズム”を受け継いでいきたい」と力を込めて語った。
番組情報
ニッポン放送「垣花正 あなたのハッピー!」内で毎週月曜日9時36分頃に放送。
垣花正が様々なゲストを招いてお話を伺うゲストコーナーです!