中国が国家安全法を採択~強く非難する米政府、日本は「憂慮する」だけでいいのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月29日放送)に北海道大学教授・国際政治経済学者の鈴木一人が出演。中国の全人代で香港の反体制活動を厳しく取り締まる国家安全法が採択されたニュースについて解説した。

28日、台北中心部にある香港政府の出先機関前で、国家安全法の香港導入に抗議する香港と台湾の学生ら=2020年5月28日 写真提供:時事通信

中国が香港の治安統制を強化、全人代で国家安全法を採択

中国の国会にあたるとメディアでは報道されている全国人民代表大会(全人代)で、28日、反体制活動を厳しく取り締まる「国家安全法」を香港に導入する方針を採択し、閉幕した。これは香港で続く抗議デモを抑え込む狙いがあると見られている。

飯田)アメリカのトランプ大統領やポンペオ国務長官などはずっと警告して来ましたが、29日にトランプ大統領が会見の方向で、中国に対して、制裁などの対応の発表をする可能性があるということです。香港への締め付けは去年(2019年)あたりからずっとありましたけれども、それが一線を踏み越えたと各新聞は報道しています。どうご覧になっていますか?

人民大会堂で、政府活動報告を聴く中国の習近平国家主席(中国・北京)=2020年5月22日 写真提供:時事通信

米国と本気で衝突することも踏まえ、覚悟を決めた中国

鈴木)中国は、ある種の覚悟を決めたという感じがします。一昨年(2018年)あたりから、犯罪人引渡し条例の問題で、香港では非常に激しいデモが起こっています。それを抑えないと中国としては、中国の一部としての香港が確立できない。国家安全法を使ってでも、香港を力で抑え込むという判断をしたのだと思います。当然、そのマイナスのサイドとしては、外国からの非難、場合によっては香港を助けようとして外国が介入して来ることも考えられます。そういう意味では、最悪の場合、アメリカと本気で闘うことも仕方がないと思って選択しているのだと思います。

27日、香港のデモで、取っ組み合いになる警官隊とデモ支援者(ゲッティ=共同)=2020年5月27日 写真提供:共同通信社

香港にも対中関税をかけることが制裁の1つとなる

飯田)アメリカ側は香港人権法を去年制定していて、制裁までのプロセスも固まっていると考えると、衝突軌道にいま乗っているような状態だと考えられますか?

鈴木)そうですね。判断はトランプ大統領に投げられた感じで、トランプ大統領がどこまで反応するかということが、次の見どころだと思います。会見をするという話ですけれども、これまで香港と中国は、貿易では別の扱いだったので、香港には対中関税をかけていなかったのですが、対中関税をかけることによって、中国からの輸出品を香港経由で安く出すことができなくなるということが、制裁の1つの形だと思います。ただ、それ以上踏み込んで何らかの圧力をかけるのかと言われると、これはアメリカにも、米中対立が更にエスカレーションするというリスクもありますから、簡単な話ではないと思います。

香港中文大で「激戦地」となった二号橋で警官隊の攻撃に備える若者たち=2019年11月13日 写真提供:産経新聞社

日本はどのような立場を取るべきか

飯田)日本の立場としては、基本的には「憂慮する」と発言するくらいに留まっています。どのようなスタンスを取るべきだと考えますか?

鈴木)日本としては習近平氏の訪日という問題も含めて、日中関係が良好なのは基本的に望ましいことであるというスタンスなので、いきなり勢いでアメリカと一緒に対立方向に行くということにはなりにくいと思います。しかし、この状態は看過できるものではないですし、当然OKではないので、どのように中国に対してメッセージを出すかと言うと、やはりアメリカの出方を見ながらということになります。いちばん怖いのは、米中対立が激しくなることなので、そうならないようにコントロールすることを、まずは念頭において考えるべきだとは思います。

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