香港警察が民主派15人を逮捕~ほころびの見えて来た習近平政権の焦り

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月20日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。香港警察が民主派15人を一斉に逮捕したニュースについて解説した。

ライ氏とマーティン氏が2013年に参加したパレード(黎智英-Wikipediaより)

香港警察、デモ参加容疑で民主派15人を逮捕

香港警察は2019年に違法なデモに参加した容疑で、民主派15人を一斉に逮捕した。これに対して欧米からは批判が相次ぎ、アメリカのポンぺオ国務長官やバー司法長官、イギリス外務省などが懸念を表明している。

飯田)逮捕されたのは、香港民主派の父とも言われる弁護士の李柱銘氏や、当局に批判的な香港メディア創始者の黎智英氏など、著名な民主派15人です。去年(2019年)の容疑でいま逮捕というのもなかなか横暴ですけれども、中国はコロナの裏でこういうことをやっているのですね。

李柱銘-Wikipediaより

新型コロナにより、経済的な恩恵を国民に与えられなくなり、まず、香港を抑えにかかった

須田)コロナの裏でと言うより、新型コロナウイルスが社会や経済にも大きな影響を与えたからこそ、こういう強硬策に打って出たと見るべきだと思います。新型コロナウイルスが中国全体に大きな影響を与えていたときは、そこに集中していたのですが、いざ収まりを見せて来ると、まだエリアや都市の封鎖が完全に解けていない状況のなかで、国内経済の落ち込みや消費に加えて、生産体制も落ち込んで来た。しかも中国だけでなく、世界経済全体が大きな落ち込みを見せて来るとなると、中国の経済もさらに大きく減速するという状況が露わになります。これまで高い成長率をもって、昨日よりきょう、きょうより明日が豊かになって行くことによって、国民の不満を何とか回避して来た。その一方で、人権的には大きな制約をしながら、何とかバランスを取っていた。しかし経済的な恩恵を国民に与えられなくなって、おそらく今後はデモや暴動が頻発して来るはずです。それを力で押さえつけなくてはいけないなかで、いちばん大きな懸案材料だった香港を、まず最初に押さえつけにかかったという流れだと思います。

飯田)中国の1~3月期のGDPが、不思議なことに1ヵ月と経たないうちに発表されましたが、統計開始以来、初めてのマイナス成長になりました。これだけ減速して来ると、社会不安は相当高まるということになりますよね。

「五大要求」を掲げて香港中心部をデモ行進する市民ら=2019年12月8日(共同) 写真提供:共同通信社

習近平一強体制が崩れる可能性も見えて来た

須田)そうですね。収入が減っているだけではなく、失業にもつながります。失業者が都市に滞留するとなると、それは不穏分子になって行きますからね。その辺りの治安をどう安定させて行くのかが、中国政府にとって今後の大きなポイントになるのではないでしょうか。中国版ツイッターのウェイボーを見ますと、いままではネットパトロールが全部潰していたのですが、かなりの政府批判がそのまま出ています。制御が利かなくなって来たところを見ても、その感じが伺えます。

飯田)いままでであれば大規模なデモや暴動というと、チベットやウイグルで起こったときに、力で苛烈に抑え込むということができました。しかし、同じ漢民族を相手にいろいろなところから出て来ると、対応できなくなる可能性もあるわけですね。

須田)習近平一強体制だったものが足元から大きく揺らいで、国民人民の方ではなく、中央においても権力抗争が出て来かねない。地方の暴動や抗議活動などでも、習近平国家主席の影響力を削ぐというセンテンスで利用されかねない状況です。これは近年では見られなかった傾向だと思います。

中国、全国で新型コロナの哀悼活動 北京駅で黙祷をささげる人たち=2020年4月4日午前10時 写真提供:産経新聞社

米中の衝突につながる可能性も

飯田)コロナウイルス対応で、影が薄かった李克強さんが目立って来ました。

須田)そうですね。李首相が当初言っていたことを、習近平国家主席が無視したからだというような、ある意味で体制批判にもなって来る話です。このような話が、中国のネット上でも頻繁に見られるようになっています。その部分も制御が利かなくなって来ているのかも知れません。そういう強硬策は国内だけではなくて、国外においても展開される可能性が大きくなっています。結果的には、それが米中の衝突につながる。一部の専門家に言わせれば、全面衝突はあり得なくても、局地的な衝突が起こるのではないかということを指摘する人たちも出ています。

飯田)台湾海峡をめぐり、アメリカの駆逐艦が中間線を超えて中国側を航行しました。それに対して中国は、空母打撃群を出して台湾の東や南側で演習したりと、力の見せつけ合いをしています。

須田)そうですね。南西諸島を含めて、沿岸国との摩擦はどんどん激化している。中国は、ベトナムやフィリピンとの緊張関係も高まっている状況にあると思います。

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