ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!激論 Rock & Go!」(4月16日放送)に日本感染症学会の専門医で東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科の寺嶋毅教授が出演。新型コロナウイルスの医療体制について解説した。
危機感が少なかった諸外国
辛坊)各国の死者が10人を超えてからの伸びをグラフで見ていたら、スペインやイタリア、アメリカなどは死者が10人を超えてから1ヵ月くらいで1万人を超えているのですよね。不思議でしょうがないのですが、日本は10人を超えてから1ヵ月経つのだけれど、それでも100人くらいにしかなっていません。なぜヨーロッパやアメリカのように日本は死者が増えていかないのでしょうか?
寺嶋)諸外国は、増えてきたのに驚いて緊急事態宣言などいろいろと措置を取ったのが少し遅かったというか、それ以前のあまり危機感がない状態から、急に増え始めることに追いつかなかったというか。日本はクルーズ船のこともありましたし中国に近いこともあって、2月初めくらいからみんなが少しずつマスクをしたり手洗いをしたりするなどの準備をしてきたので、爆発的に増えなかったということで、医療体制のサポートがなんとか持ちこたえていいるということが、ひとつにあります。重症の患者さんにも必要なだけの医療レベルを提供していることもあると思います。
ひっ迫する医療現場の現状
飯田浩司アナウンサー)メールでもいろいろいただいているのですが、“トラックG”さん「いまはテレビでこのままでは医療崩壊の危機があると言われていますが、大丈夫なのでしょうか。本庶佑さんや山中伸弥さんなども警鐘を鳴らしていますが、もっと日本中の知恵を総動員して素早い対策を取った方がいいのではないか」と。重症者の数が報じられずに感染者が新たに見つかったという数字が報じられるので怖いと思う人も多いと思うのですが、実際の現場としてはどういう状況ですか?
寺嶋)日本でいま発表されているので9500人くらいで、だいたい190人くらいですから2%くらいの死亡率です。もともと重症化する人が20%くらいと言われていて、我々が見ていると酸素吸入がどうしても必要で入院した方がいい人や呼吸器がつくような人は10%くらいの感覚です。
飯田)ベッドの数やマスク、防護服も足りないということも言われていますが、現場は逼迫している状況ですか?
寺嶋)そうです。もともとマスクは使い捨てが当たり前でしたが、もう厚生労働省の方からマスクの再利用の指針さえ出ていますし、我々もある日3日後からアルコールが底をつくかもしれないとか、このままでいくとこれくらい日にちが経つとマスクが厳しいという風になっていますし、ガウンというか脱ぎ捨てるものも節約して使っています。
飯田)このところ院内感染が報じられるようになりました。これも物資の不足と関係していますか?
寺嶋)そこまでではないと思います。欧米では不足するなどしてゴミ袋のようなものを利用していますが、日本はまだそれが原因で院内感染というのはあまりありません。コロナとわかっている人への対応は物資を節約しつつも慎重に対応していますが、コロナとわかっていない肺炎球菌やウイルス性肺炎だと思って入院したらコロナだったとか、別の病気で入院していてコロナだったという人は1週間から10日ほどコロナの対応とは違いますから、そのときに残念ながら医療従事者や周りの患者さんにうつってしまうケースが多いと思います。
(※データや状況等は放送日4月16日時点のものです)
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)